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大学生の就職に関する意識調査

長崎県 県民生活環境部 統計課

長崎県 特別賞 人口問題 新規に調査

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概要

 長崎県内及び福岡県の一部の大学生の長崎県内企業への就職意識等を把握するため、長崎大学経済学部の教授陣が設立したコンサルタント機関(DRC)に委託し、「就職に関する意識調査」を実施し、分析を行いました。その結果、大学生にとってやりがいとは、「能力や知識が活かせること」、「自身が成長できること」が主要であり、就活中は「選考段階で企業側が自分に関心を持ってくれること」、「若手社員が活き活きと仕事をしているのを見ること」などによって感じていることが分かりました。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 3,718千円(DRCへの委託費およびその他必要経緯費)

受賞

  • 「第6回 地方公共団体における統計データ利活用表彰 特別賞」(2021)

取組の流れ

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    若年層の県外流出が問題となっていたが、県内就職に関する実態把握ができていないという現状があった

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    大学生が就職の際に県外へ流出していることが人口減少の要因となっているのではないかという仮説を設定

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    長崎県内及び福岡県の一部の大学に通う学生を対象とした大規模なwebアンケートを実施

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    因子分析(学生が就職先として重視する項目)及びロジスティック回帰分析(長崎県内企業を選択する確率とやりがいがある仕事ができるかどうかのイメージ)を実施

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    「仕事のやりがい」を意識した情報発信となるメニューを用意するように企業にアドバイス

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

若年層の県外流出が問題。実態把握ができていないという現状

 長崎県では長年人口減少が続いており、要因として若者及び女性の県外流出が問題となっていましたが、今回の取組ではそのうち若者層の県外流出に着目をしました。高校生の県内就職率は上昇傾向にあるものの、大学生の県内就職率は伸び悩んでいる傾向が続いていましたが、県内の大学生の就職意識については、大規模データによる把握や分析を行った事例がなく、実態把握ができていないという現状がありました。

エビデンス(データ)収集のために、どのような計画を立てましたか?

大学生の就職時の県外流出が人口減少の要因ではないかという仮説を設定

 大学生が就職の際に県外へ流出していることが人口減少の要因となっているのではないかという仮説を設定し、長崎県内及び福岡県の一部の大学生を対象とした大規模な就職意識に関する調査を計画しました。
 実施にあたっては、総務省統計局の統計データ利活用推進事業の枠組みを活用し、長崎大学経済学部の教授陣が設立したコンサルティング企業(DRC)と連携し事業を進めていくことにしました。

データの収集はどのように行いましたか?

長崎県内及び福岡県の一部の大学に通う学生を対象としたwebアンケートを実施

アンケート内容(抜粋)
アンケート内容(抜粋)

 令和元年度から2年度にかけて、長崎県内及び福岡県の一部の大学に通う主に1〜3年生の学生にwebアンケートを実施し、令和元年度は2,606名、令和2年度は1,798名の回答を得ました。
 アンケート項目の検討にあたっては、関係部署と数回にわたる検討を行うとともに、連携先の長崎大学(DRC)と協議しながら進めました。
(活用した統計データ:大学生の就職に関する意識調査)

どのような分析を行いましたか?

因子分析やロジスティック回帰分析を実施

 学生が就職先として重視する項目について因子分析を実施したところ、学生が就職先を決める上で重視する因子は、「生活の安定度」「企業の安定度」「働き甲斐」の3つに集約することができました。
 また、長崎県内企業の選択確率と長崎県内企業のイメージについて、ロジスティック回帰分析を実施しました。長崎県内企業の「やりがいがある仕事ができる」というイメージを、「どちらでもない」から「ややある」に変えることができると、長崎県就職希望度を20%程度向上させることができるという分析結果となりました。
(活用したツール等:SPSS、SAS、Stata等の分析ソフト)

ロジスティック分析
左:因子分析 右:ロジスティック分析

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

「仕事のやりがい」を意識した情報発信について企業へアドバイス

 分析結果については、庁内各課に呼びかけ報告会を開催しフィードバックを行いました。大学生アンケートの分析により、学生が就職を考える際に「仕事のやりがい」を重視していると判明したことから、事業課において分析結果を踏まえ、長崎県内企業と学生が接点を持つ場などで、「仕事のやりがい」を意識した情報発信となるようなメニューを用意するよう企業にアドバイスしています。

データ利活用(収集や分析)において工夫した点や難しかった点について教えてください。

大学から協力を得られる体制作りが重要

 長崎大学(DRC)と連携することで、アンケート項目を検討する際には心理学の専門家からアドバイスが得られるとともに、専門的な分析を行うことができました。また、長崎県内及び福岡県の大学にアンケート調査を依頼する際にも先生同士の繋がりを活用させていただいたことで、調査を円滑に実施、かつ、多くの回答を得ることができました。
 難しかった点としては、アンケート項目の設定にあたって、人口減少に関係する部署は多いため、関係者との調整を丁寧に進めていく必要がありました。

その政策によって、どのような効果が現れましたか?
また、今後どのような改善点や展望をお考えでしょうか?

時系列的な変化や関係部局のニーズを踏まえたデータ収集の実施

 分析結果を踏まえ施策を実施した効果を確認していくとともに、当事業は経年的な変化をみていくため、令和3年度も引き続き取組を実施しているところです。
 今後は、時系列的な変化や社会情勢に応じた関係部局のニーズを踏まえ、既存のアンケート項目の適切な見直しを実施した上、施策立案に繋がるデータ収集・分析を実施したいと考えています。

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