
SDGsの達成には、あらゆるステークホルダー*2による取組が重要であり、計画的にこうした動きを誘発するためには、住民に身近な自治体が取組の方向性を示す必要がありました。
一方、大阪府は都市部と郊外で環境も異なり、居住地や年齢等によりそれぞれの住民が考える大阪府の特性は多様となっているため、17のゴールのうちどのゴールを優先するかの決定にあたっては、誰もが理解し納得できるよう、客観的に大阪の特性を分析する必要があると考えました。
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大阪府 特別賞 行政運営 行政データ 2021
大阪府のSDGs*1の取組み方針を検討するにあたり、国際的な日本の評価を諮る指標として、「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」とベルテルスマン財団が公表している指標を、国内評価を諮る指標として、「建築環境・省エネルギー機構」が公表している指標を活用し、SDGs17ゴールの現在の大阪の到達点を客観的に分析しました。
導入費 −
運用費 −
SDGsの達成に向け自治体が示す方向性には誰もが納得できる客観的な分析が必要
4つの視点から重点ゴールを絞り込み
公表されているSDGs17ゴールの評価データを活用
可視化による現状把握と重要度分析
2つの重点ゴールを設定し「Osaka SDGsビジョン」を策定
優先するゴールを示すためには、府民が納得できる客観的な分析が必要
SDGsの達成には、あらゆるステークホルダー*2による取組が重要であり、計画的にこうした動きを誘発するためには、住民に身近な自治体が取組の方向性を示す必要がありました。
一方、大阪府は都市部と郊外で環境も異なり、居住地や年齢等によりそれぞれの住民が考える大阪府の特性は多様となっているため、17のゴールのうちどのゴールを優先するかの決定にあたっては、誰もが理解し納得できるよう、客観的に大阪の特性を分析する必要があると考えました。
4つの視点からゴールを分析
SDGsの17のゴールから重点的に取り組むゴールを絞り込むため、「SDGs17ゴールの現在の到着点」「府民、企業が重要と考えるゴールの把握」「府の政策や大阪のポテンシャル」「世界の動きを視野に入れる」の4つの視点を設定しました。今回の取組では、国際的な日本の評価と国内評価を基に「SDGs17ゴールの現在の到着点」を統計データを使って客観的に分析することにより、大阪府にとって課題が多く注力すべきと考えられるゴールを整理することとしました。
公表されているSDGs17ゴールにかかる評価データを活用
国際的な日本の評価を諮る指標として、「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」とベルテルスマン財団が公表している指標を、国内評価を諮る指標として、「建築環境・省エネルギー機構」が公表している指標を活用しました。
一例として、ゴール11「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする。」については、「ホームレスの割合」「人口の増減」「市街化調整区域面積割合」などの統計データを個別指標として用いています。
(活用した統計データ:「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」とベルテルスマン財団が公表している指標、「建築環境・省エネルギー機構」が公表している指標)
可視化による現状把握と重要度分析
まずは、現状を分析するため、SDGs17ゴールに係る評価を、ゴール別の個別評価A〜Dの4段階のアルファベットに置き換えて整理しました。また、ゴール別の個別指標は、東京都と愛知県の指標値を並列することで、都市部における特異性が生じていないかを判別できるよう可視化を行いました。
現状分析を踏まえ、各ゴールの到達点と府民や若者、企業が重要と考えるゴールの重要度を把握し、大阪府の政策やポテンシャルとの整合性、国際評価の高いSDGs先進国の特性を考慮したうえで、優先すべきゴールを設定しました。
(活用したツール等:Excel)
大阪府のSDGs取組指針となる「Osaka SDGsビジョン」を策定
大阪・関西万博のテーマである"いのち"や暮らし、次世代に関わる課題を有するゴール3「健康と福祉」を「府民の豊かさ」を目指す重点ゴールとして設定し、他のゴールを集約しながらさまざまな課題解決に貢献できるゴール11「持続可能都市」を「大阪の豊かさ」を目指すもう一つの重点ゴールに設定し優先課題の絞り込みを行いました。
このような統計データを使った自己分析結果を一つの出発点として、庁内各部局における政策創造や、府民や企業、市町村などとの連携・協調について議論を深め、2020年3月に「Osaka SDGs ビジョン」を策定しました。
不要データの判別に苦戦
公表されていた自治体SDGs指標は、整合性・合理性のないデータ(「突発的な自然災害など外的要因で大きく経年変動する指標」や「データが欠損している指標」等)が含まれているため、不適なデータとして除外する必要がありました。そのため、有識者の意見を踏まえながら、140の個別指標を精査し、府独自の判断で排除し分析を行いました。
取り組むべき重点ゴールや方向性を認識
統計データを使った客観的な分析をもとに、大阪府が取り組むべき重点ゴールや方向性を示すことができたので、府民や企業・団体など多くのステークホルダーから理解・協力を得ることができました。今後はこの分析手法をほかの自治体にも広めていきたいと考えています。
*1 SDGs:
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年で達成するために掲げた17の目標。
*2 ステークホルダー:
利害関係者という意味。本取組では、SDGsに取り組むすべての機関、組織、人々などを表す言葉として使用。