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大津市EBPMの推進に向けたデータ分析業務(移住・定住促進に向けた分析)

滋賀県 大津市 情報システム課イノベーション戦略室

滋賀県大津市 特別賞 人口問題 公的統計データ 行政データ 新規に調査

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概要

 本市における人口増加の傾向や要因を分析し、本市への移住・定住を促進する施策の検討に利用することを目的に、移住・定住に関する各種データの整理・分析を実施しました。人口統計及び異動データをはじめ、地価、住宅供給、平成30年度に実施した移住・定住に関するアンケート調査結果などの幅広いデータを活用し、複数の視点から要因分析を実施することにより、今後の移住・定住の施策を検討していくうえで必要な要素を把握しました。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 3,158千円(日本電気株式会社への委託分析費)

受賞

  • 「第6回 地方公共団体における統計データ利活用表彰 特別賞」(2021)

取組の流れ

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    人口増加が鈍化傾向にあることの要因が分析できていない。

  • PPDAC-planアイコン画像

    人口統計データや住民基本台帳の異動データに、他のデータを組み合わせることで分析

  • PPDAC-dataアイコン画像

    庁内データやe-Statを活用し、保有していないデータについてはアンケート調査を実施

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    人口統計データによる要因分析や地価、住宅供給量、住民アンケート等を組み合わせ複数の視点からの分析を実施

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    移住・定住に関する施策検討の参考材料として活用

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

人口増加が鈍化傾向であるが要因分析ができていないという現状

大津市の人口動態
大津市の人口動態

 大津市の人口は、平成26年度頃までは大きく増加していましたが、最近は人口増加が鈍化傾向にありました。将来的な人口減少を考えると、今後、移住・定住を促進していくことが重要となりますが、これまで人口増加の要因や、移住・定住に関する各種データの整理・分析ができていないという現状がありました。

エビデンス(データ)収集のために、どのような計画を立てましたか?

人口異動のデータに複数のデータを掛け合わせる事を計画

 人口増加の傾向や要因を分析し、移住・定住を促進する施策に利用するため、人口統計データ及び住民基本台帳の異動データに対して、住民アンケ−トや地価、住宅供給等の複数のデータを掛け合わせて分析することを計画しました。

データの収集はどのように行いましたか?

庁内データ、e-Stat、アンケート調査を活用

 庁内で保有するデータについては、所管課から収集し、個人情報を含むものに関しては匿名化を実施しました。公的統計データについては、e-Statを利用し収集しました。市民の移住・定住に関する意向については、庁内でデータを保有していなかったため、平成30年度に人口増加が認められる地域を対象としたアンケート調査を実施しデータを取得しました。
(活用した統計データ:国勢調査、「住民基本台帳」、移住・定住に関するアンケート調査、路線価データ、「開発行為許可台帳」及び「中高層建築物事前協議書台帳」をもとにした推定住宅供給量の集計データ)

どのような分析を行いましたか?

人口動向の要因分析や人口と地価の関係等に関する分析を実施

自然増減及び社会増減の推移

 人口動向について、転入元、転出先、年齢、転入出形態等の観点から傾向と要因分析を行った結果、本市の人口増加は、自然減を上回る社会増により維持されており、社会増の要因は主に「子育て世代」の転入によるものだと確認することができました。
 さらに、地価、住宅供給量、住民アンケート結果等を活用した考察も行いました。一例として、住民アンケートの「転入先・転出先の決め手」において、選択数が最も多かった「住宅の条件」に関連して、路線価情報、および路線価の地点と鉄道駅との距離のデータ等から、人口と地価の関係を分析しました。その結果、鉄道駅に近い地区ほど地価が高くなり、さらに本市から大阪京都への鉄道線結節点である京都市山科駅への所要時間には特に高い相関があることがわかりました。
(活用したツール等:e-Stat、EXCEL等の表計算ソフト、GIS等の地理情報ソフト、Tableau Desktop、Tableau Prep Builderなど)

路線価との関係
左:2018年路線価と最寄り駅との関係
右:2018年路線価と山科駅までの最短移動時間との関係

データ利活用(収集や分析)において工夫した点や難しかった点について教えてください。

地域毎などの細かい単位まで分解し、分析することで新たな発見

 市全体での分析では矛盾した結果(アンケート調査において、交通の利便性が、住みやすい要因と住みにくい要因のどちらにもランクインしている等)となったり、把握できなかったりすることを明らかにするため、地域毎などの細かい単位まで分解し、分析を行いました。例えば、年齢層別の人口動態やアンケート調査結果等の分析を、町丁字単位まで分解することにより、地域毎で人口動態の特徴、住んでみて良かった点、悪かった点等の回答結果に相違があることが分かりました。

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

今後の施策を検討してくうえでの参考材料として活用

取組の成果

 幅広いデータを活用したことにより、複数の視点から要因分析をすることができ、人口減少・少子高齢化社会に向け、選択と集中によるまちづくりを実践していくためには、鉄道駅を中心としたまちづくりを進めていくことが効果的であるなど、移住・定住の施策を検討していくうえで必要な要素を把握することができました。関係各課に資料提供し、今後の施策を検討していくうえでの参考材料として活用しています。

その政策によって、どのような効果が現れましたか?
また、今後どのような改善点や展望をお考えでしょうか?

移住・定住の分析にかかるノウハウを蓄積

 今回の取組により、移住・定住分析におけるノウハウを蓄積することができました。今後も定期的に分析を実施することを考えています。

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