統計データを政策に活用するため、平成21年度に統計課内に政策統計担当、ビジョン課内に政策分析担当を設置しました。庁内だけでなく庁外や外部からの政策ニーズに対応する必要があるとの判断が、組織設置の背景にあります。地域における政策統計に関する調査・研究とその成果を普及させるため、県内大学と県が連携協定を締結しました。神戸大学と「地域政策統計研究会」、兵庫県県立大学と「地域経済指標研究会」、関西学院大学産業研究所と「関西経済構造分析研究会」をそれぞれ設置し、研究プロジェクトを進めています。
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兵庫県統計普及・加工分析事業
兵庫県 企画県民部 ビジョン局 統計課
兵庫県 産業振興 人口問題 公的統計データ 行政データ 2017
概要
地域経済や地域人口の政策課題に対応するため、県内大学と連携し、地域データの加工分析事業を共同で実施しています。分析事例の結果をユーザーに還元するとともに、ホームページで公開し、データを活用できる人材の育成、分析事例の蓄積を目指しています。
導入費・運用費
導入費 −(原則として兵庫県企画県民部ビジョン局統計課と連携大学が負担)
運用費 −
取組の流れ
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外部からの政策ニーズに対応する事業が始まった
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政策課題に対応した集計、加工分析情報を提供する大学と連携したシステムの構築
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データを収集整理し、加工して新しく作成
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長期時系列データ整備と産業関連分析ワークシートの作成
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地域経済の早期把握や政策評価分析に活用
ヒアリング・ここが知りたい!
取組のきっかけを教えてください。
外部からの政策ニーズに対応すべく体制整備
どのような計画を立てましたか?
精度を高めるため県内の大学と連携

統計相談への対応やニーズに応じた集計・加工データを提供するため、データの所在やデータ加工の方法の情報提供、政策課題に対応した集計値、加工・分析結果を統計ユーザーに提供しています。例えば、観光や環境など個別分野の指標の試算、分析に必要なデータ収集の方法、アンケート調査票の設計や実施方法など県内大学から技術支援を受け、庁内担当者や大学研究者と情報を共有し、互いにレベルアップを図っています。
どのようにしてデータを収集しましたか?
政府データの収集から個別アンケートも実施
データ収集は、自治体データ、政府統計に庁内や団体等に業務統計を加えたものを収集・整理し加工して新規に作成したデータもあります。ミクロデータ集計値を含む調査統計のほか、業務統計、業界団体の統計のほか、必要があれば統計ユーザーと共同でアンケート調査も行いました。統計ユーザーには、直接、電話や電子メールでやりとりし、利用者のニーズを確認し、ニーズに沿ったデータ加工を行い、統計データの利用に役立てています。古い報告書・資料などの紙データから発掘し、電子データとして活用することもありました。
どのような分析を行いましたか?
基本データを整理し、分析領域の拡大へ
県と県内大学とで連携した結果は、報告書等にまとめ、県や大学の公式ホームページ(研究会)で公表し、分析事例としてデータの利用普及を進めています。例えば、地域産業連関表の分析を進めるため、県や県内地域ブロックや市町別基本データを収集・整理し、県内地域産業連関表や市町産業連関表や経済波及効果分析ワークシートを作成し、分析領域の拡大を図りました。さらに、地域魅力創出プロジェクトなどの経済波及効果を事業実施主体と連携して調べ、施策の具体化につながりました。また、統計ユーザーとアンケート調査やデータの収集を共同で行い、分析手法の普及と分析事例の蓄積を進めています。
工夫した点や難しかった点は?
大学と切磋琢磨の関係で進歩
統計ユーザーの依頼に絶えず耳を傾け、工夫をしていますが、ユーザーに応じて分析結果をわかりやすく伝えることを心がけています。分析手法や分析結果について、県内大学との連携協定で、お互いにギブ&テイクの関係を築き、成果を積上げることが継続の基礎になっています。データの精度が異なるデータをいかに加工すればユーザーのニーズに応えることができるのか。その判断が難しかった点です。
結果としてどのような政策に結びつきましたか?
経済・雇用状況を把握する基礎資料として活用
統計情報は、従来、経済データは、県産業労働部「兵庫県の経済・雇用状況」に景気の現状判断基礎資料として利用されていました。県内大学との連携プロジェクトによる新たなデータの作成や分析により、「21世紀兵庫長期ビジョン」目標値(県将来人口推計、県内GDP将来推計等)、「兵庫県地域創生戦略」評価指標(人口移動分析等)、地域イベントの成果指標(地域観光消費額推計、スポーツイベント経済波及効果等)などで活用されています。また、大学研究所と共同で新たに作成した「兵庫県CLI(景気先行指数)」は、民間研究機関やシンクタンクでの景気先行き指標の一つとして活用されています。

今後の展望をお聞かせください。
ニーズオリエンテッドでデータ改善へ
継続して続けることが大切ですが、ニーズの変化に合わせて、求められているものを把握し、新しい分野があればネットワークを活用して、チャレンジしていきたいと思っています。統計製作者と統計利用者が連携しながら分析ニーズに応じたデータ改善を図る必要があります。今後は引き続き、外部からの政策ニーズに対応していくために依頼者に合った政策課題について県内大学と連携し、事業を実施していく予定です。