現在の荒井正吾知事は、就任当初から、統計を重視した県政運営を行っていました。平成26年に奈良県で開催された観光に関する国際会議の主催者にEU(欧州連合)統計局(ユーロスタット)が入っており、同組織が、ユーロ圏での経済統計等に大きな役割を果たしていることから着想を得て、県が中心となって市町村の統計リテラシー向上を進める事業を立ち上げ、その事業名称を「ユーロスタット」にならって、「奈良スタット」と呼ぶこととしました。
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「奈良スタットイベント」の開催〜奈良県統計リテラシー向上事業〜
奈良県 総務部 知事公室 統計分析課 企画分析係
奈良県 広報PR 行政運営 公的統計データ 行政データ 2016
概要
奈良県では、県、市町村職員の統計リテラシーの向上を図るとともに、統計の重要性を周知するため、県、市町村での統計活用事例の発表や専門家による基調講演からなる「奈良スタットイベント」を毎年開催しています。
導入費・運用費
導入費 −
運用費 −(県費及び総務省委託金)
取組の流れ
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統計データなどのエビデンスに基づく行政運営が必要
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県、市町村職員の統計リテラシーの向上
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統計データなどのエビデンスを政策に活かす具体的な事例を知りたいという要望
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統計データなどを活用した事例発表会の開催
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県、市町村の政策における統計利活用の広まり
ヒアリング・ここが知りたい!
取組のきっかけを教えてください。
統計重視の行政運営
どのような計画を立てましたか?
統計重視の文化を広げるために奈良スタット事業を立ち上げ

県政の課題解決のためには県と市町村が一体となって取り組むことが必要であることから、定期的に「奈良スタットイベント」を開催し、県の職員だけでなく、市町村職員が統計を活用した事例を発表する機会を作りました。事例の発表にあたっては、普段より統計相談窓口を担当する奈良県統計分析専門員ほか学識経験者により、発表内容のブラッシュアップを行い、プレゼン力の向上を図りました。参加者も含め、県、市町村職員全体の統計リテラシーの向上に取り組んでいます。
統計相談窓口とはどういうものでしょうか?
統計に関するあらゆる相談に対応
統計分析課では、県や市町村の統計リテラシー向上のための行政職員を対象にした統計相談窓口を設置しています。安孫子勇一近畿大学経済学部教授が、統計分析手法などについて助言しています。ここでは統計分析や調査に関することなら、何でも相談できるようになっているので、県や市町村における、統計調査の実施や調査結果の分析等において、大いに活用されています。
工夫した点、難しかった点は?
県、市町村の統計のレベルアップ

スタットイベントでは、事例を発表していただく方を募集するのですが、なかなか見つからず苦戦することもありました。統計相談窓口での相談案件から発表していただく方が決まったこともありましたが、イベントまで時間がなく大変だったこともありました。また、県、市町村職員の統計リテラシーの向上を図るために「奈良スタットイベント」や統計研修など県の実施する統計リテラシー向上の取組内容を掲載した「奈良スタットジャーナル」を年間5000部配布しています。
結果としてどのような政策に結びつきましたか?
統計活用で地域をより良く
統計を活用すれば自分たちの地域をもっと良くできると前向きになるようなイベントを目指しています。平成28年度のイベント参加者は約200人で、イベント全体の満足度は82%という結果が出ました。今後も統計重視の文化の定着を進めるために、イベントのレベルアップに取り組んでいきます。統計相談件数も年々増加しており、統計リテラシー向上に大きく寄与しています。
今後の展望をお聞かせください。
県民参加の奈良スタットイベント
今年からは、職員だけでなく、県民も参加できるように県の広報誌での参加も募集しました。また、今後は、大きなテーマであるEBPM*1(証拠に基づく政策立案)の推進のためにイベントを活用していこうと考えています。統計の重要性を再認識できる場を広げていけたらと考えています。

脚注
*1 EBPM:
エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの頭文字を取った言葉。証拠に基づく政策立案という意。