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横須賀市のEBPM推進に寄与する経済波及効果分析ツールの開発と全庁的活用

神奈川県 横須賀市 政策推進部 都市政策研究所

神奈川県横須賀市 総務大臣賞 観光・国際交流 行政運営 公的統計データ 行政データ

「横須賀市の経済波及効果に関するニュースリリース」サムネイル画像

概要

 横須賀市独自の分析ツールを活用した経済波及効果分析を通して、EBPM*1の推進に寄与する取組を進めています。これまでに、分析ツール開発や活用マニュアルの作成、分析ツール操作研修の開催などにより、庁内活用の促進を図ってきました。

導入費・運用費

導入費 −(職員人件費・事務費 ※業務委託なし)
運用費 −(職員人件費・事務費 ※業務委託なし)

受賞

  • 「第3回 地方公共団体における統計利活用表彰 総務大臣賞」(2018)
  • 「第9回 都市調査研究グランプリ(CR-1グランプリ) 最優秀賞」(2019)

取組の流れ

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    イベント開催や企業誘致などによる経済波及効果や雇用創出効果を市として独自に分析できるようにしたい

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    神奈川県産業連関表をベースとして横須賀市産業連関表を作成

  • PPDAC-dataアイコン画像

    横須賀市産業連関表を基にして7種類の分析ツールを開発

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    分析ツールに数値を入力するだけで経済波及効果や雇用創出効果の簡易的な分析が可能に

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    分析ツールを活用した事業効果の検証を庁内に浸透させるとともに、経済波及効果分析について他市町村への横展開を推進

ヒアリング・ここが知りたい!

取組のきっかけを教えてください。

市の取組がもたらす経済波及効果や雇用創出効果の分析が困難

 これまで、市の取組がもたらす政策効果の把握方法としては、例えば、イベント開催による観光消費額の増加、企業誘致による固定資産税や新規従業者数の増加など、直接的な効果の把握にとどまり、市内経済全体や市内の各産業に対する経済波及効果や雇用創出効果を分析することは困難でした。そこで、これらの効果について、市として独自に分析できるようにすることが求められました。

どのように取組を進めましたか?

横須賀市産業連関表の作成から分析ツールの全庁的活用の推進まで

 取組は3カ年にわたって行われました。1年目は、経済波及効果分析に必要となる横須賀市産業連関表を作成しました。
 2年目は、これを基にして7種類の分析ツールを開発するとともに、当該分析ツールを活用するためのマニュアルを作成しました。
 3年目は、市職員を対象として、分析ツール操作研修を開催しました。また、平成31年度(2019年度)の予算要求に当たり、分析ツールの活用などによる費用対効果の検証を予算編成方針に記載しました。

分析ツールにはどのような特徴がありますか?

種類が豊富で、多くの機能を搭載

 1つ目は、種類の豊富さです。幅広い分野にわたる分析が可能となるように、観光・イベント、建設投資、設備投資など、計7種類開発しました。
 2つ目は、多機能性です。必要な操作が完了すると、分析結果について、自動的にグラフが生成されるようになっています。また、分析結果のフローチャートが自動的に作成され、経済波及効果の流れを視覚的に把握できるようになっています。さらに、分析結果が108の産業部門ごとに表示されるため、市内のどの産業にどのくらいの効果が生じると推計されるのかを把握することが可能となっています。

分析ツールの開発において、特に工夫した点は何ですか?

簡易な操作で職員の作業負担を軽減

 できる限り簡易な操作で経済波及効果や雇用創出効果を分析できるようにしたことです。例えば、観光・イベントツールの場合、分析結果の表示単位を選択したうえで、宿泊客/日帰り客の人数と、交通費、飲食費、土産・買物代などの費目別の消費単価を入力するだけで、必要な操作は完了する仕組みとなっています。

取組によってどのような結果が得られましたか?

施策の具体的な検討が可能に

 イベント開催などの経済波及効果を市として独自に分析することが可能となりました。開発した7種類の分析ツールのうち観光・イベントツールでは、経済波及効果を宿泊客・日帰り客別かつ費目別(交通費、飲食費、土産・買物代など)に分析できるため、今後の施策立案において、宿泊客と日帰り客のどちらの誘致に重点を置くことが効果的なのか、また、どの費目の消費単価を増加させることが効果的なのかなど、経済波及効果の増加に寄与する施策を具体的に検討することが可能となりました。

経済波及効果を横須賀市として独自に分析
経済波及効果を横須賀市として独自に分析

今後はどのような取組につなげていこうとお考えですか?

庁内への浸透を超えて、他市町村へも展開へ

横須賀市政策推進部都市政策研究所の担当者
横須賀市政策推進部都市政策研究所の担当者

 1点目は、分析ツールを活用した政策の検証などを庁内に浸透させることです。分析ツールの庁内活用を促進し、政策形成に当たって事業効果を検証する職員意識を醸成していきます。そのための方策として、2019年度では、市外から一定の集客が見込まれる大規模イベントを対象としてアンケート調査を実施し、経済波及効果分析を活用した事業効果の検証モデルを確立して、庁内他部局への展開を図っていきます。
 2点目は、分析ツールを継続的に活用できるようにすることです。現状の横須賀市産業連関表は、神奈川県産業連関表などと同様、平成23年(2011年)の1年間の経済活動を対象として作成されていますが、今後、データ更新を行っていきます。その際、県内市町村の産業連関表を併せて作成して分析ツールに反映させることにより、経済波及効果分析について他市町村への横展開を推進していきます。
 3点目は、分析ツールの機能拡充を図ることです。例えば、イベントの開催など、生産増加がもたらす市内への税収効果がどのくらいであるのかを分析可能としていきます。

脚注

 *1 EBPM:
 エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの頭文字を取った言葉。証拠に基づく政策立案という意。

参考サイト

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