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GISポータル構築による業務改善

東京都 豊島区 都市整備部 都市計画課 街づくり情報グループ

東京都豊島区 統計局長賞 公共インフラ・まちづくり 行政運営 行政データ 新規に調査

「道路台帳現況平面図」サムネイル画像

概要

 オンプレミス*1(自社運用)で構築したGIS*2ポータルの活用と来庁者の統計データにより、業務分析を行い業務データ公開に結びつけ、業務効率化につなげました。また、街路灯の点検にモバイル端末、GISのクラウドサービスを導入し、経費の節減と大幅な工期短縮を実現、空間統計分析で維持管理につなげました。

導入費・運用費

導入費 −(ソフトの保守費のみ)
運用費 −(ソフトの保守費のみ)

受賞

  • 「第2回 地方公共団体における統計利活用表彰 統計局長賞」(2017)

取組の流れ

  • PPDAC-problemアイコン画像

    まちづくりに関する総合窓口の資料の発行と閲覧に伴う来庁者・職員の負担が大きい

  • PPDAC-planアイコン画像

    GISデータをウェブ公開することで窓口業務を効率化したい

  • PPDAC-dataアイコン画像

    蓄積された来庁者データを分析してニーズを割り出す

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    データをウェブマップアプリに落とし込み公開

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    利便性が向上した上に、来庁者・職員ともに大幅な負担減を実現

ヒアリング・ここが知りたい!

取組のきっかけを教えてください。

まちづくり情報の提供に関して来庁者の待ち時間、職員の操作負担が多かった

 まちづくり情報の資料の発行と閲覧に伴う来庁者・職員の負担を、職員自身で構築できるウェブマップアプリの公開により、解消したいと考えました。まちづくりに関する資料の発行・閲覧は、これまで職員がすべての情報提供をその都度GISの操作によって行っていたため、来庁者に対するオペレーションが多岐に及び、来庁者の負担、職員の業務負担ともに少なくありませんでした。そこで業務データを公開することによって、双方の負担軽減に効果があると考えました。街路灯点検の場合は、紙地図から落とし込んだGISデータを、街路灯の健全度点検の際に利活用できないかと考え、業務委託でのモバイル端末導入を視野に入れました。

どのような計画を立てましたか?

ニーズを優先に、分析から効果検証まで順序立てて計画

 ニーズの高い情報を優先的に、業務分析から公開、効果の検証まで手順を立てて計画しました。道路台帳や関連の高い業務データを、GISのクラウドサービスから配信されるウェブマップアプリに公開して、誰でもインターネットを通じてデータを閲覧できるようにすることで、業務を簡略化できると考えたのです。まず統計活用による業務分析の後、公開用ウェブマップアプリの構築、政策提言・内部調整を経て業務データをアプリに公開、経過を統計分析することで効果の検証をするという手順で計画しました。

各資料の実需要の算出表
各資料の実需要の算出表

情報のニーズはどのように分析しましたか?

GISデータに来庁者データをかけ合わせて分析

 主な利用者である不動産関連事業者のニーズは、もともと分析しやすい環境にありました。当部署には不動産関連事業者が必要とするすべての情報がGISデータとして集約されていたからです。さらに蓄積されていた来庁者データをかけ合わせることで、データそれぞれのニーズも把握できました。これら2種類の空間データと統計データにより、効率的にプロジェクトを進めることができました。また、街路灯のデータに関しては、紙地図で管理されている街路灯のポイントデータ約13000点を職員で手分けして紙データから変換し、GISとして活用していました。

どのようにして効果を分析しましたか?

公開前後のデータを効果の分析へ活用

 道路台帳や境界確定図、狭あい道路図面など公開前後のデータを取って効果の分析にもつなげました。蓄積されていた不動産関連事業者の取得率による見かけのニーズとGISで集計した各資料の存在率との対比から、実際のニーズを把握することで、どの部分が双方にとって負担がかかっているのかを詳細に分析しました。またGISデータの公開後においては、来庁者数、資料の取得数、電話の問い合わせ数などを比較することで、効果の分析につながるようにしました。

工夫した点や難しかった点は?

壁は縮尺精度が異なる地域の一元化

 調査精度が違う地域を一元化する際の技術的な問題は難しかったですね。納得いくまで作り直しました。地籍調査の有無によって精度が違う地域を一元化するために、操作フローにおける極めて技術的な壁にぶち当たりましたが、タイルレイヤー(ウェブで画像を高速で公開する手法)を納得いくまで作り直して最適な形で本番公開につなげました。街路灯点検については、専用アプリから1か所ごとにデータをアップロードしていくことで、調査票整理や成果物の提出を不要にし、現場調査だけで委託業務を完結させるために、日々の進捗管理や成果表作成の自動化ツールを作成しました。

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

道路台帳の取得数は48%減

 道路台帳の取得数については約半分に減少させました。さらに、GISデータの公開後、来庁者数、資料の取得数、電話の問い合わせ数は明確に減りました。特に道路台帳の取得数については48%減と大きな効果が出ています。同時に、統計検定を用いて効果を示すことで、建築基準法の道路種別と狭あい道路図面の新たな業務データ公開に結びつきました。

道路台帳取得率と受付者の推移
道路台帳取得率と受付者の推移

今後の展望をお聞かせください。

来庁者・職員の大幅な負担減、災害時の提案にも活用

都市整備部都市計画課街づくり情報グループの担当者
都市整備部都市計画課街づくり情報グループの担当者

 来庁者、職員ともに大幅な負担軽減につながりました。これまで煩雑な手続きが必要だった情報の取得がインターネットでのGISによる閲覧が可能になり利便性が向上したのです。併せて、来庁者、職員の大幅な負担軽減および経費削減につながりました。また、平常時でのスマートデバイスを導入した街路灯点検の有用性が確認できたことで、災害時活用への積極的な提案にもつながりました。

脚注

 *1 オンプレミス:
 サーバーやソフトウェアなどを使用者が管理する設備内に設置し、運用することを意味する。
 *2 GIS:
 Geographic Information System の略称。日本語では「地理情報システム」と訳されている。地理情報をコンピューターの地図上に可視化して、情報の関係性やパターン、傾向を示した。

参考サイト

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