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健康課題の「見える化」〜健診結果68万人ビッグデータをマップ化

静岡県 健康福祉部 医療健康局 健康増進課 総合健康班

静岡県 特別賞 健康・福祉 公的統計データ 民間データ

「静岡県総合健康センター」サムネイル画像

概要

 県内特定健診受診者の約80%にあたる68万人の特定健診データを統合し、健康課題などを分析、さらに「見える化」することで、自治体や医療保険者の生活習慣病対策の施策立案、健康づくりの活動などに役立てています。併せて、これらのデータを効率的に利活用できるよう職員の育成も行っています。

導入費・運用費

導入費 −(冊子印刷代のみ)
運用費 −(冊子印刷代のみ)

受賞

  • 「第2回 地方公共団体における統計利活用表彰 特別賞」(2017)
  • 「第1回 健康寿命をのばそう!アワード 厚生労働大臣最優秀賞」(2012)
  • 「日本心臓財団小林太刀夫賞」(2017)

取組の流れ

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    特定健診の制度が始まり、県内地域別の健康課題を把握する

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    主に3つの取組でデータを「見える化」する

  • PPDAC-dataアイコン画像

    県内に本部を置く全ての医療保険者にデータ協力を要請した

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    特に注意の必要な疾病や生活習慣などを市町別に分析

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    「見える化」によって各市町の「改善したい」という意識が高まった

ヒアリング・ここが知りたい!

取組のきっかけを教えてください。

特定健診のデータが集まったところで、より信用度の高い分析へ

 特定健診制度(平成20年)の開始から2年が経った平成22年、健診データから40歳以上(74歳以下)の健康課題が把握できないかと考えました。もともと各市町にデータなどを提示し、課題を把握してもらう取組はしておりましたが、信用度が高い母数で地域別に分析し、よりわかりやすく「見える化」することで、データを利活用しやすくする必要性を感じていました。

どのような計画を立てましたか?

県の健康課題において優先度の高い疾病や改善したい生活習慣をマップやグラフで「見える化」

 主に3つの分析に取り組みました。1つ目は「特定健診データ分析」ということで、メタボリックシンドローム該当者や糖尿病有病者のマップ化です。2つ目は「市町別標準化死亡比(SMR)の算出」です。市町別に死因を分析し、その市町の持つ健康課題の優先度を疾患の死亡率から提示します。最後に「“お達者度”の算出」として、65歳以上の高齢者が要介護や寝たきりにならず自立して生活している期間(=お達者度)を提示しています。

メタボリックシンドローム該当者の市町別の状況
メタボリックシンドローム該当者の市町別の状況

どのようにしてデータを収集しましたか?

県内に本部を置く全ての医療保険者にデータ提供の協力を要請

 今回の取組における収集データの骨子となっているのが、特定健診のデータです。これらは全て県内に本部を置く医療保険者の協力によるものです。最初は市町国保と国保組合のデータのみでしたが、平成22年に共済組合、健保組合、協会けんぽに協力を仰ぎ、その時点で49万人のデータが集まりました。以降は受診者の増加も伴い、平成28年度には68万人という膨大なデータとなりました。これは県内の特定健診受診者の約80%にあたります。

毎年、特定健診のデータを収集
毎年、特定健診のデータを収集

どのような分析を行いましたか?

特に注意が必要な疾病や生活習慣、“お達者度”を市町別に分析

 「特定健診データ分析」では、年々増加傾向にあるメタボ該当者数と高血圧症及び糖尿病有病者数を中心として、市町別、医療保険者別に分析しました。「市町別標準化死亡比(SMR)の算出」では、厚生労働省の人口動態統計から死因を集計して全国の基準と比較し、超過している死因を「超過グラム」として示し、本県の特に注意すべき疾患が脳血管疾患であるとわかりました。“お達者度”は、各市町の死亡年齢のデータと介護認定割合から算出しました。いずれも市町別にマップやグラフに落とし込み、「見える化」しています。

工夫した点や難しかった点は?

「見える化」によって各市町の「改善したい」という意識が高まった

 膨大なデータの分析結果を数字だけで表すのではなく、利活用しやすいよう「見える化」にこだわりました。市町別にマップ化・色分けすることにより、各市町がそれぞれ「良い色に変えたい(=改善したい)」と健康課題に対する意識を高く持つようになりました。また市町からは、さらに詳細な地区(公民館単位、学区単位など)の分析を望む声があり、市町職員とともに分析を行う機会も持っています。

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

健康課題を改善するための具体的な事業につながった

 これら「見える化」されたわかりやすいデータが各種新聞や雑誌で取り上げられることで、住民が自らの地区の地域課題に気づき、それぞれ行動を起こすきっかけとなっています。それに伴い、各市町も市町単位の健康増進計画での指標設定や評価、広報での学区別健康度の周知、自治会での勉強会資料の作成など、積極的に活用しているようです。また、県でも、SMRのデータを根拠に減塩の事業を立ち上げ、個人・企業双方の側面から減塩を呼びかけています。

「見える化」によって特に注意すべき疾患が明らかに
「見える化」によって特に注意すべき疾患が明らかに

今後の展望をお聞かせください。

5年後、10年後を信じて、取組を継続へ

 現在これらの取組は様々な事業につながっていますが、実際に健康課題が改善されたかどうかと言われれば、効果が数字に表れるにはまだ日が浅すぎます。住民が健康課題に気づき、各市町も意識を持って事業に取り組んでいるので、その効果は5年後、10年後に県民に明らかな数値として見えてくると信じています。この取組は継続していくものなので、今後もデータを更新し、各市町や県民に呼びかけていきたいと思っています。

参考サイト

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