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リサーチペーパー 第6号
タイトル
常用・非常用雇用間の移動分析 −『就業構造基本調査』に基づく5時点間比較分析−
著者 (原稿執筆時の所属)
相澤 直貴 (慶應義塾大学大学院経済学研究科)
山田 篤裕 (慶應義塾大学経済学部助教授)
刊行年月
2006年10月
要旨
日本の労働市場における雇用形態の多様化についてはすでに多くの研究蓄積がある。しかし、 雇用形態間の「移動」についての研究、とくに比較的若い年齢層における「移動」についての研究は少ない。本稿の目的は常用雇用−非常用雇用間の移動に焦点をあて、1982年から2002年までの20年間におけるその移動パターンの変化を明らかにすることである。分析の結果、以下のことが明らかにされた。非常雇間の移動は過去20年間に急増した。一方、非常雇から常雇への移動は90年代に入り停滞した。また常雇から非常雇への移動には大きな変化はないこと等が明らかになった。この結果は、非常雇から常雇への移動が近年になって抑圧されていることを示唆している。さらに本稿では多肢選択Logit Modelを用い、非常雇から常雇への移動の規定要因についても探索的な分析を行った。
キーワード:常用雇用、非常用雇用、多肢選択Logit Model