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統計Today No.82

経済センサスから見た日本の個人企業
−個人企業は218万、法人企業を含めた全体の半数以上−

総務省統計局統計調査部長 會田 雅人


ポイント

  • 我が国の個人企業は、法人企業も合わせた企業全体の付加価値額では4.7%を占める一方、企業数では218万企業と、企業全体の半数を超える52.7%を占め、従業者数は634万人と、企業全体の11.9%を占めています。
  • 業種ごとに見ると、企業数では、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業」、「医療,福祉」が多く、経済規模(付加価値額)では、「医療,福祉」、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」が多くなっており、総体としてみると第3次産業が中心となっています。

個人企業とは

 「個人企業」とは、法人としての登記をしていない個人が経営する経営体を意味します。例えば、街中の法人登記をしていない個人営業の工場、工務店、小売店、飲食店、美容室、学習塾、税理士などは個人企業ですし、医療法人となっていない医療機関も1つの個人企業です。また、例えば、複数の店舗を持つ美容のチェーン企業であっても法人登記していなければ個人企業になります。(企業と事業所の概念の違いについては、末尾の【参考】を参照してください。)


なぜ経済センサスで個人企業を見るのか

 個人企業は小規模な企業が圧倒的に多いため、その活動状況を捉えることはなかなかできませんでした。平成24年2月1日に我が国初の「経済センサス‐活動調査」において、全ての企業、事業所(農林漁家、公的部門等を除く。)を対象に、売上、費用などの会計情報について初めて調査を行ったことから、例えば、「個人企業による付加価値額が、企業全体の付加価値額の4.7%となっていること」など、我が国企業の半数を超える個人企業の活動を捉えることができました。以下、個人企業を主要な業種ごとに、企業数、従業員数、付加価値額などについて、見ていきます。


個人企業は企業数では218万企業、全体の52.7%を占める

 個人企業を総括的に捉えると、個人企業は、法人も合わせた全体の付加価値額の点では4.7%を占めるにしか過ぎませんが、企業数では半数を超える52.7%を占め、雇用の観点では、従業者数は634万人と全体の11.9%を占めています。なお、設備投資では1%程度です。(第1表)


第1表 総括表

第1表 総括表


 ※ 付加価値額及び付加価値率の算出方法は以下のとおり

付加価値額は売上高から費用総額を引き、給与総額と租税公課を足したもの。付加価値率は付加価値額を売上高で除したもの。


個人比率が高いのは沖縄県で71.4%

 個人企業の数を都道府県別に上位・下位5県で見ると、都道府県の人口規模にほぼ関係し、東京都が一番多く約19万企業で、一番少ないのは鳥取県で約1万企業です。(第2表)


第2表 都道府県別個人企業数(上位、下位)

第2表 都道府県別個人企業数(上位5都府県は東京都、大阪府、愛知県、兵庫県、神奈川県。下位5県は鳥取県、島根県、徳島県、佐賀県、香川県)


 法人企業と個人企業を合わせた企業全体に占める個人企業の割合(以下、「個人比率」という。)は全国では52.7%(第1表)ですが、都道府県別に上位・下位5県を見ると、一番高いのは沖縄県で71.4%、一番低いのは東京都で40.0%です。地方圏の方が個人比率は高い傾向にあります。(第3表)


第3表 都道府県別個人比率(上位、下位)

第3表 都道府県別個人比率(上位5県は沖縄県、和歌山県、高知県、青森県、秋田県。下位5都道県は東京都、神奈川県、北海道、岡山県、千葉県、埼玉県)


個人企業が多い業種は「卸売業,小売業」(約49万)、「宿泊業,飲食サービス業」(約45万)

 218万の個人企業はどんな事業を営んでいるのか? 主要な業種(産業大分類)別に個人企業数、個人比率を見てみます。(第4表)


第4表 主要業種別の個人企業数など

第4表 主要業種別の個人企業数など


 全体では、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」の3つの業種(産業大分類)で合計約125万となり、全体の57.6%を占めています。
 「卸売業,小売業」では個人比率が半分で、飲食料小売業が1/3を占めます。
 「宿泊業,飲食サービス業」では個人比率が8割を超えており、この業種では「飲食店」がほとんどを占めています。
 「生活関連サービス業,娯楽業」でも個人比率が8割を超えています。この中でも、「洗濯・理容・美容・浴場業」が多くを占めます。
 「医療,福祉」では個人比率が6割で、この中にはクリニックなど「一般診療所」、「歯科診療所」、骨接ぎ、整体など「療術業」などがあります。
 「建設業」では個人比率が1/3程度です。「一人親方」の職人さんのような左官、鳶(とび)、大工などの「職別工事業」が約半数を占めます。
 「不動産業,物品賃貸業」では個人比率が半分弱で、個人によるアパート経営など「不動産賃貸業・管理業」が多数を占めます。
 「製造業」では個人比率が1/3程度で、「繊維工業」、「金属製品製造業」、「食料品製造業」などいわゆる軽工業のウェイトが高くなっています。
 「学術研究,専門・技術サービス業」では個人比率が半分強で、いわゆる「士業」を始めとして様々な業種が含まれていますが、比較的多いのが、公認会計士・税理士、司法書士、弁護士などです。
 「教育,学習支援業」では個人比率が約3/4で、この中には、学習塾もありますが、お稽古事などを教える、「教養・技能教授業」が2/3を占めています。


個人企業で働く人は、「卸売業,小売業」で約150万人

 個人企業の従業者数が多い業種を見ると、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」で100万人を超え、次いで「医療,福祉」が約84万人となっています。(第5表)
 次に、従業者数の個人比率を見ると、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「学術研究,専門・技術サービス業」の3つの業種で2割を超えています。(第5表)
 個人事業主も含めた一企業当たりの平均従業者数を見ると、「医療・福祉」ではクリニックなどで看護師などがいることから、平均5.0人と多くなっています。一方、個人によるアパート経営などの「不動産賃貸業・管理業」が含まれる「不動産業,物品賃貸業」が平均1.6人、理美容など個人で行える業種が含まれる「生活関連サービス業,娯楽業」も平均2.0人と、個人事業主を除くと、1人いるかいないか、という状況になっています。(第5表)


第5表 主要業種別個人企業従業者数、個人比率等

第5表 主要業種別個人企業従業者数、個人比率等


従業者における女性比率は、「医療,福祉」、「教育,学習支援業」で7割

 女性比率が多い業種を見て行くと、「医療,福祉」70.9%、「教育,学習支援業」69.6%が高くなっています。これは、「医療,福祉」では看護師、医療事務者などで女性が多いこと、「教育,学習支援業」では、お稽古事の指導など「教養・技能教授業」が含まれており、女性の指導者が多いことなどがあると思われます。(第5表)
 次に女性比率が高い業種は、「宿泊業,飲食サービス業」64.1%、「生活関連サービス業,娯楽業」61.7%です。飲食店や理美容などで女性が多いことがあると思われます。(第5表)


個人企業の付加価値額が高い業種は「医療,福祉」で2.9兆円

 個人企業の付加価値額では、「医療,福祉」2.9兆円、「卸売業,小売業」2.7兆円、「宿泊業,飲食サービス業」1.3兆円、「学術研究,専門・技術サービス業」1.1兆円となっており、この4つの業種で1兆円を超え、合計すると個人企業の付加価値額の3/4を占めています。(第6表)


付加価値額の個人比率が高い業種は「宿泊業,飲食サービス業」で18.0%

 個人比率が10%を超えているのは、「宿泊業,飲食サービス業」18.0%、「医療,福祉」11.9%、「生活関連サービス業,娯楽業」11.8%、「学術研究,専門・技術サービス業」10.4%の4つの業種となっており、これらの業種では経済規模に占める個人企業の割合が比較的高くなっています。(第6表)


第6表 主要業種別付加価値額、設備投資額等

第6表 主要業種別付加価値額、設備投資額等


有形固定資産設備投資額は、「医療,福祉」で1408億円

 設備投資額(有形固定資産(土地を除く))では、「医療,福祉」1408億円、「不動産,物品賃貸業」1018億円の2つの業種で1000億円を超えています。また、各業種内で個人企業が占める比率が10%を超えているのは、「宿泊業,飲食サービス業」11.9%のみとなっています。(第6表)


無形固定資産設備投資額は、「医療,福祉」で51.1億円

 設備投資額(無形固定資産(ソフトウェアのみ))では、「医療,福祉」51.1億円、「学術研究,専門・技術サービス業」26.4億円、「卸売業,小売業」17.3億円、「宿泊業,飲食サービス業」11.6億円の4つの業種で10億円を超えています。また、各業種内における個人比率では、「医療,福祉」が6.5%と一番高くなっています。(第6表)


付加価値率が高いのは、「学術研究,専門・技術サービス業」、「医療,福祉」、「不動産,物品賃貸業」の3つの業種

 全産業・全企業ベースで付加価値率は18.3%、法人企業では17.8%、個人企業では41.7%となっています。(第1表)
 個人企業で業種別に付加価値率を見ると(第6表)、「学術研究,専門・技術サービス業」59.4%、「医療,福祉」54.7%、「不動産,物品賃貸業」50.4%の3つの業種で50%を超えています。また、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」も48.2%と比較的高くなっています。労働者が生み出す部分が大きく、人件費が費用の中心となっているこれらの業種で付加価値率が高くなっていると考えられます。また、商品販売の「卸売業,小売業」では、仕入費のウェイトが高いことから、付加価値率は低く27.8%となっています。(第6表)


まとめ

  • 個人企業を総括的に捉えると、法人企業も合わせた企業全体の付加価値額では4.7%を占めるにしか過ぎませんが、企業数では半数を超える52.7%を占め、雇用の観点では、従業員数は11.9%を占めています。なお、設備投資では1%程度です。
  • 個人企業と言うと、町工場、小売店、理美容などサービス業を思い浮かべると思います。「個人企業」を業種ごとに見ると、企業数では、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業」、「医療,福祉」が多く、経済規模(付加価値額)では、「医療,福祉」、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」が多くなっています。「製造業」、「建設業」の個人企業もありますが、中心は第3次産業であり、その中でも「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「医療,福祉」のウェイトが高いと言えます。個人企業の統計を考える場合、こういった点に注意する必要があります。
  • 各業種内での個人企業の位置付けを見ると、経済規模(付加価値額)の点では、「宿泊業,飲食サービス業」、「医療,福祉」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「学術研究,専門・技術サービス業」で個人比率が1割を超え、一定の位置を占めており、これらの業種の分析に当たっては、会社企業などの法人企業のみならず、個人企業の存在も考慮する必要があると考えられます。
  • なお、設備投資額(有形固定資産(土地を除く))の点では、「不動産業,物品賃貸業」の占める割合が高く、注意する必要があります。

【参考】
 「事業所」という用語と「企業」という用語については、(1)「事業所」とは、一般に工場、製作所、事務所、営業所、商店、飲食店、旅館、娯楽場、学校、病院、役所、駅など、人及び設備を有する経済活動が単一の経営主体の下において一定の場所すなわち一区画を占めて継続的に行われるものを指します。(2)「企業」とは、会社、医療法人など、単一又は複数の事業所で構成される、資本の活動単位や経営意思決定の単位を意味します。


(平成26年8月29日)


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