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統計Today No.29

アジア太平洋統計研修所の40年
−40周年記念式典に寄せて−

総務省政策統括官(統計基準担当)付国際統計管理官付国際研修協力官 松尾 和彦


はじめに

 国際連合アジア太平洋統計研修所(SIAP)別ウィンドウで開きます。(以下「研修所」という。)は、アジア太平洋地域の開発途上国の政府統計職員に対する統計研修の実施を目的として、1970年(昭和45年)に国際連合が設立した、世界で唯一の統計研修の専門機関です*1。本年、設立40周年を迎えることとなりました。日本国政府(総務省)は、招請国として日本国政府と国際連合との間の協定に基づき、研修所の運営を支援するために財政的支援及び現物(事務所、備品、施設等)の提供を行っています(平成22年度は、財政的支援:約170万米ドル、現物の提供:約120万米ドル相当)。


アジア太平洋統計研修所設置のころ(1970年)

 今から40年前、1970年(昭和45年)6月にアジア統計研修所(現在の研修所)は開所しました。1970年といえば、大阪で日本万国博覧会が開催された年です。日本は高度成長期の真っただ中で、既に1968年(昭和43年)には国民総生産(GNP)が世界第2位になっていました。また、アジア諸国は第二次大戦後に独立を遂げた国も多く、ようやく国造りに力を入れ始めた段階の国がある一方で、インドシナ地域のように戦乱の中にある国もありました。国の基盤造りにすら大変な思いをしていた時代です。

 その中で、各国の経済社会開発計画の適切な進行を阻害している原因の一つに統計の不備があり、それは統計職員の極度の不足によるものであるとの観点から、国連アジア極東経済委員会(ECAFE(現在の国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)別ウィンドウで開きます。)総会でアジア地域内各国の統計職員の養成機関を至急に設ける必要があるとの意向が示されました。日本国政府は、域内諸国の総意を受け、研修所を日本に設置することとし、以後40年にわたる支援を続けているわけです。


1970年代の研修風景


アジア太平洋統計研修所の貢献

 40年間にわたる研修所の歴史の中で、アジア太平洋地域の統計職員を数多く養成しました(124か国、約12,000名)。各国統計局長等要職に就いた人を多く輩出しており、現職では、ブータン、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイの国家統計局長等がいます。これらの要職にある人々がある一定の期間、日本に滞在し研修を受講したことは彼らの記憶の中に日本の存在が色濃く残っていることを意味します。各府省や都道府県への実地研修、日本人の特別講師からの講義を通じて、日本の統計制度や統計調査の仕組みに関する知識を持つアジア太平洋地域の統計職員が育っていることは、統計関連の各種国際会議において、彼らが発する研修所への評価・支援の言葉が具体性に富んだ価値のあるものとなっていることを意味します。日本の統計活動にとっても大いなる応援者を得るだけでなく、それにも増して、アジア地域の国々の中枢にある人たちが日本の良き理解者となることで、各国政府内全体における日本への共感を広める効果が表れています。


時代の要請に対応した研修活動内容と各国の協力の在り方

 40年間にわたる研修所の活動の成果として、各国の統計レベルの底上げは図られてきましたが、社会・経済のグローバル化や情報通信機器の高度な発達等に伴い、研修所に求められる研修事業の内容も一層多様化・高度化の方向をたどっています。1981年(昭和56年)のコンピュータ施設の設置以降における機器の整備充実やカリキュラムへの対応、SNAや新たな国際統計基準への対応等逐次変化への対応を図っています。開設当初の1970年度(昭和45年度)には、わずか2コース、47名の研修生受入れでスタートした研修所ですが、2009年度(平成21年度)には、24コース、555名もの研修実績にまで拡大しています。

 また、域内諸国の研修所に対する考え方も、従来の受け身の姿勢から積極的な運営協力を示すなど変化の兆しがあります。例えば、研修所外で開催されるアウトリーチコース(研修所から講師を派遣して実施)に際しては、各国は開催に係る支援要請のみではなく、研修に掛かる経費(施設・機器の提供、国内他地域参加者の参加経費)の負担等に積極的に対応しています。研修所の運営に関する重要な案件を討議する管理評議会(5年任期)のメンバー国になることへの関心も高く、本年5月に行われたメンバー国選挙では、8か国の選出枠に対し、12か国が立候補しました。研修所が域内各国にとって自ら運営に深く関与すべきもの、つまり自らが育てるべき研修所との認識が高まったものだと言えます。


初期のコンピュータ実習風景(1985年)


現在の研修風景


40周年記念式典とこれからの10年に向けて

 記念式典は、平成22年8月31日に国際連合大学を会場として開催され、アジア太平洋地域30か国・地域の統計部局長を始め、国際機関、在京大使館、統計委員会委員、各府省統計部局関係者等約150名が参加しました。式典ではダバスーレン・チュルテムジャム(Davaasuren Chultemjamts)所長のあいさつの後、来賓として原口前総務大臣から御祝辞を頂きました*2。このように、多くの来賓を迎えることができたのも、研修所へのこれまでの高い評価のたまものであると思います。また、これからの一層の発展に向けての期待も込められていると思います。式典の際に上映された研修所のビデオ(40周年記念式典に際して作成した研修所の紹介ビデオ)の表題は「The 5'th Decade」でした。正に次の50年目に向けての期待を込めたメッセージでもあります。


*1 国際連合アジア太平洋統計研修所については、統計Today No.24にその活動内容等が記載されています(清水前国際統計管理官寄稿)。御参照ください。

*2 40周年記念式典の模様につきましては、統計調査ニュースNo.286号(PDF:13.8MB)で詳しく紹介されていますので御覧ください。また、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)のホームページでも詳しい情報が御覧いただけます(http://www.unescap.org/news/asia-pacific-un-statistical-training-institute-turns-40)別ウィンドウで開きます。


(平成22年9月30日)


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