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統計Today No.24

アジア太平洋統計研修所 40年の過去と未来

総務省政策統括官(統計基準担当)付国際統計管理官 清水 誠


アジア太平洋統計研修所とは

 あなたは日本にある統計に関する国際機関を御存じですか?千葉県の幕張に世界を代表する統計の研修機関であるアジア太平洋統計研修所別ウィンドウで開きます。があります。国際連合のESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)の補助機関である同研修所は、1970年に設立され、2010年で設立40年になります。その間、アジア太平洋諸国を中心に毎年数多くの各国政府統計職員を研修生として受け入れ、その数は2010年3月までに計1万2千人にもなります。地域別にみると、特に東南アジア、南アジアからそれぞれ4千人前後の多数の研修生が研修に参加しています。(図1)

 政策統括官(統計基準担当)室は、日本国政府と国際連合との間の協定に基づき、同研修所に対する日本の協力機関として、財政面、設備面、運営面での支援を通じて研修の実施に積極的な協力を行っています。これは、各国と国際機関から日本の国際貢献として評価されています。


図1 地域別研修生の数 2010年3月までの合計


注.地域区分は基本的に国際連合の地域区分に従いましたが、南アジアにトルコを含め、中央アジアにアルメニア、
      アゼルバイジャン及びロシアを含めました。なお、香港及びマカオは中国に含めず別区分としました。


世界の共通語としての統計

 国際貢献が統計について必要な理由として統計が世界の共通語であることが挙げられます。まず、ある国の実情を知るためには統計が正確であることが必要です。正確な統計を作成するには、調査の設計や結果推計の手法など幅広い統計技術に関する知識が必要です。また、その国の実情は他の国との相対的な水準をもって把握することが必要なため、国際比較性の確保が必要です。例えば、失業率を国際比較するときに、「失業」の定義を同じにしなければいけません。

 このように、統計の正確性と国際比較性を実現するには、専門的な知識と技術が必要です。各国にも我が国と同様、統計局が設置されていますが、職員がそれらを身に付けるための人材育成が重要な課題となっています。発展途上国では独自で対応が困難な場合も多く、そのような国には国際的な支援が必要です。アジア太平洋統計研修所は、世界の実態を正確に反映した統計を、発展途上国も含めて整備する上で不可欠な役割を果たしています。


過去40年の成果

 研修生は、経済統計、ミレニアム開発目標指標i、情報通信技術(ICT)の活用などについて数多くのことを学びます。これまでの卒業生の多くが、自国の統計局で高い職位に就いており、中には統計局長になる人もいます。

 また、研修生を数多く派遣した国には、アジア太平洋地域の中心として発展を遂げている国も多く、アジア太平洋統計研修所の事業が各国の社会経済発展の礎となっています。統計は、どの国においても経済、社会、環境についての様々な現象に関する情報基盤であり、これらの問題に関するエビデンス(証拠)として政策や活動の指針として役立つからです。それらは正に同研修所の40年の成果です。同研修所の統計能力の形成に果たす役割の重要性は、国際連合統計委員会やESCAP総会でも強調されており、同研修所に対する日本政府からの支援に対して各国政府からも謝意が表明されています。


重要性を増すアジア太平洋統計研修所の役割

 近年、40年前と比べると、科学技術の進歩と交通通信手段などの発展により、各国間の人、財、サービス、情報、文化などの移動や交流が質・量共に大幅に拡大しています。環境への影響も国内にとどまるものではありません。このため、金融危機、食糧不足、気候変動、インフルエンザなどに見られるように、地球規模の問題が顕在化しています。このような背景の下に、各国の統計技術を向上し、統計の進歩の程度の格差をなくし、データの国際比較性を高め、これらの問題に対処することが必要になっています。

 このようなグローバル化が急速に進展する時代において、アジア太平洋統計研修所の役割はますます重要になっています。日本にこのような国際機関があると、顔の見える形での支援を通じて日本の統計の制度、基準、技術等が国際的に拡大、普及する機会がもたらされます。


アジア地域の過去と未来

 アジア太平洋統計研修所は、アジアから多くの研修生を受け入れていることから、日本とアジアをつなぐ架け橋と言えます。

 アジアにおいて、40年前の1970年と比べると、世界全体に占める人口の構成比は1970年の58%から2008年に60%とほとんど変化がないのに対し、GDPの構成比は1970年の15%から2008年に28%と2倍近くまで増加しています。(図2)


図2 地域別人口及びGDPの構成比

注.地域区分は国際連合の地域区分に従いました。計算に利用したデータは国際連合の推定値であり、出典は参考文献iiのとおりです。
      なお、人口は7月1日現在、GDPは一部の国を除き暦年の値です。また、GDPは現行ドル価格表示によるものです。


 他方、アジアにおけるGDPの構成比はいまだ3割程度であり、6割程度を占める人口の構成比の半分程度にすぎません。このように、アジアにおいては依然として人口の割に経済成長が低水準であることから、今後もその底上げが必要です。このため、エビデンスとしての統計の基盤となる同研修所の従来の役割は今後も必要です。


研修生との交流

 研修では、国際的な専門家の中からESCAPにより選任された講師が講義を実施します。講師の中には日本人もいます。

 日本の統計や統計調査については、統計局など各府省等の統計部門から統計担当者が講師として出向いて講義を行う場合もあります。逆に、研修生が統計局など各府省等の統計部門を訪問して、日本の統計担当者から直接経験などを聞き、意見交換を行ったりします。

 特に、研修期間が1か月を超える長期コースについては、地方公共団体が実施している統計調査の実地見学などもあります。その間に、研修生は地方に滞在して日本の国情に触れることができます。

 これらによって、研修生は日本の人々や統計関係者に対して親近感を持ってくれるようになっています。

 皆さんも、このような研修生に出会う機会がありましたら、是非温かい目で見ていただくとともに、皆さんの国際理解の一助になれば幸いです。


研修の様子


40周年記念事業

 今年(2010年)の8月31日には国連大学(東京都渋谷区)でアジア太平洋統計研修所の設立40周年記念式典が開催されます。これを機に、世界中から統計分野のリーダーが参集し、同研修所に対する理解と期待が高まることを期待しています。


(平成22年6月4日)



i 2000年9月の国際連合ミレニアムサミットにおいて「国際連合ミレニアム宣言」が採択され、各国が貧困を撲滅し、人間の尊厳と平等を促進するとともに、平和と民主主義、持続可能な環境の達成に努めることが国際的に合意されました。ミレニアム開発目標指標はこの宣言における具体的な達成目標の実現に向けた数値目標(1日1ドル未満で生活する人口の割合、15〜24歳識字率等)です。

ii 参考文献
United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2009). World Population Prospects: The 2008 Revision
http://www.un.org/en/development/desa/population/publications/trends/population-prospects.shtml別ウィンドウで開きます。
United Nations, National Account Main Aggregate Database, Updated October 2009
http://unstats.un.org/unsd/snaama/dnllist.asp別ウィンドウで開きます。


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