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平成28年社会生活基本調査の実施に際してのメッセージ
NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤 哲也
前回の平成23年の社会生活基本調査によると,共働き家庭においてパパの1日当たりの炊事,掃除,洗濯などの家事に費やす時間は10数分であるのに対し,ママは207分でした。最近は「イクメン」の増加により,育児に対して積極的な夫の姿勢は見られるものの,家事においては,未だママがその大半を担っていることを示しています。
28年度より女性活躍推進の法律が施行され,ますます育児しながら働く女性は増加傾向にある中,家事の省力化が望まれます。最近は,食器洗浄機,乾燥機能付き洗濯機,ロボット掃除機などの電化製品が増え,活用する家庭も増えていますが,まずは男性が家事についても「自分ごと」として取り組む必要があると思います。しかしながら仕事が忙しく,残業や休日出勤が常態化している父親たちが,家事に使う時間はそう多くはありません。そこでファザーリング・ジャパンでは,平成26年より「イクボスプロジェクト」を展開。職場における上司(管理職)の意識改革を促し,業務効率を上げたり,休みが取りやすい環境づくりを行い,社員のワークライフバランスやダイバーシティ推進を企業と共に進めています。
政府においても「一億総活躍」をテーマに「働き方改革」が政策の中心になっており,今後,国会での議論を踏まえ,いよいよ長時間労働の見直しなどが本格的に始まることでしょう。これは男性も仕事をしながら,育児や家事にしっかりと関われる環境が整備されてくるということです。働くママに家事負担が偏っている状況が改善し,またパパにとっても家庭での役割が増し,家族の一員としての存在感も高まり,家庭生活が楽しくなるでしょう。加えて,子どもとの関係,夫婦の関係においてもポジティブな変化が期待できます。
今回の平成28年社会生活基本調査では,そうした変化の兆しがどう出てくるのかに注目しています。男性のワークライフバランス,就業時間の理想と現実など,今回の調査における男性(父親)たちの生活の実態が,今後の動向のキーになります。みなさんで一緒に,意義のある調査にしていきましょう。