ホーム > 統計データ > 消費者物価指数(CPI) > 消費者物価指数に関するQ&A
ここから本文です。
【A.消費者物価指数について】
消費者物価指数は、全国の世帯が購入する各種の商品(財やサービス)の価格の平均的な変動を測定するものです。すなわち、ある時点の世帯の消費構造を基準に、これと同等のものを購入した場合に必要な費用がどのように変動したかを指数値で表しています。
このように、消費者物価指数は物価そのものの変動を測定することを目的とするため、世帯の生活様式や嗜好の変化などに起因する購入商品の種類、品質又は数量の変化に伴う生活費の変動を測定するものではないことに留意する必要があります。
物価は、経済活動が活発となり需給がひっ迫してくると上昇率が高まり、経済活動が停滞し需給が緩むと上昇率が低下する傾向があります。このため、消費者物価指数は「経済の体温計」とも呼ばれており、経済政策を的確に推進する上で極めて重要な指標となっています。家計調査やGDP統計における家計消費支出など他の重要な経済指標を実質化するためのデフレーターとしても利用されています。また、国民年金や厚生年金などでは、物価変動に応じて実質的な給付水準を見直すことが法律によって定められており、この物価の動きを示す指標として消費者物価指数が使われています。さらに、日本銀行が金融政策における判断材料として使用しているほか、賃金、家賃や公共料金改定の際の参考に使われるなど、官民を問わず幅広く利用されています。
消費者物価指数は、世帯が購入する商品(財やサービス)のうち家計消費支出割合の大きいものから順に指数に採用する品目を選びます。次に、この家計消費支出割合に基づいて指数の計算に用いる各品目のウエイトを求めます。なお、家計消費支出割合は家計調査の結果などを用います。
各品目の価格は、主に毎月の小売物価統計調査によって調査したものを用います。
指数の計算は、調査市町村別の平均価格を用いて個々の品目の指数(基準年=100)を計算し、これらをウエイト(家計の消費支出に占める割合)により加重平均して、中分類、10大費目、総合などの指数を計算します。
現在の消費者物価指数の基準年は平成17年ですが、基準年は5年ごとに改定(基準改定)しています。
指数に採用する品目とそのウエイトはこの基準改定にあわせて見直しを行っています。平成17年基準で指数に採用している品目は584品目です。なお、今後急速に普及し一定のウエイトを占めるに至った新たな財・サービスについては、基準改定以外の年においても品目の見直しを行うこととしています。平成20年1月に中間年見直しを行い、2品目を整理統合、3品目を追加したため、20年1月分結果より585品目となっています。
消費者物価指数については、国際労働機関(International Labour Office : ILO)が国際基準を作成しています。平成15年12月にジュネーヴで開催された第17回国際労働統計家会議では、消費者物価指数に関するこれまでの国際基準を見直し、新しい国際基準を決議として採択しました。また、これと並行して、消費者物価指数に関する国際的なマニュアルの改訂版「消費者物価指数マニュアル:理論と実践(Consumer Price Index Manual : Theory and practice)」が作成され、ILOのホームページでも公開されています。
消費者物価指数の作成方法については、国際的にみても唯一最善の方法が完全には確立されていない部分があり、議論の対象となる点も多々ありますが、我が国の消費者物価指数は、おおむね国際基準に沿って作成されています。
消費者物価指数は、原則として毎月26日を含む週の金曜日の午前8時30分に公表しています。公表内容は、東京都区部の当月中旬速報値と全国の前月分です。また、12月分及び3月分公表時には、年平均指数及び年度平均指数をそれぞれ公表しています。
最近、物価動向の要因をみるための指標として、いわゆる「コア」指数、あるいは、いわゆる「コアコア」指数という指標が注目されることがあります。 しかし、これらは、公表された指標または利用者において加工計算した指標に対する通称であり、正式な名称ではありません。
物価の基調をみるための指標として、「総合」から天候に左右されて振れの大きい「生鮮食品」を除く総合指数を「コア」指数と呼ぶ場合があります。
また、アメリカ等諸外国で重視されている指標と同様のものとして、「総合」から「食料(酒類を除く)及びエネルギー」を除く総合指数があり、それを「米国型コア」指数、または「コアコア」指数と呼ぶ場合があります。利用者によっては、内閣府が個々の品目指数をもとに計算し、月例経済報告等において報告している「生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合」のことを「コアコア」指数と呼ぶこともありますが、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」とは対象が異なっていますので注意が必要です。
(参考)

消費者物価指数のような月次統計には、例えば、衣料品の価格が季節の初めには高値で、季節の終わり近くになるとセールなどで値下がりするといった、季節的な要因で毎年同じような動きをするものがあり、これを季節変動と呼んでいます。
消費者物価指数では、このような季節変動を除去した季節調整値を、「総合」、「生鮮食品を除く総合」、「持家の帰属家賃を除く総合」、「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合」、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」、「財」、「生鮮食品を除く財」及び「半耐久消費財」の8系列について公表しています。
ただし、季節調整値は過去の指数から計算した平均的な季節変動を基に調整するため、授業料や診療代など特定の月の価格変動が他の月にも影響して、実際に価格変動がない月でも季節調整値が変動する場合があります。
一方、こうした季節性の除去は、ちょうど1年前の同じ月と比較した、前年同月比をみることによっても可能です。前年同月比は価格変動がない限り1年間は変動することがありません。このため、消費者物価指数では物価のすう勢を表すものとして前年同月比をよく用いています。
なお、値動きの大きい生鮮食品や、電気・ガス料金などの改定月の価格変動については、前の月と比較した前月比が消費者の実感に近いと考えられることなどから、季節調整を行わない前月比についてもあわせて公表しています。
[参考]
消費者物価指数における季節調整については、「平成17年基準消費者物価指数の解説」(38ページ)「第7章 季節調整(PDF:19KB)」にも掲載されています。
季節調整プログラム(X-12-ARIMA(X-11パートを含む))は、アメリカ商務省センサス局のホームページからダウンロードできます。
また、日本銀行のホームページには「X-12-ARIMA操作マニュアル」が掲載されています。
住宅や土地の購入は、財産の取得であり消費支出ではないことから、消費者物価指数に含まれていませんが、持家に住んでいる世帯(持家世帯)が、自分が所有する住宅からのサービスを現実に受けていることは確かです。そしてそれは、元をたどれば土地や住宅の購入からきており、実際に住宅ローンの返済を負担している持家世帯も多いでしょう。そこで、何らかの方法で持家世帯の住宅費用を計れないかという問題がでてきます。
持家世帯が住んでいる住宅を借家だと仮定すれば、当然家賃を支払わなければなりません。そこから、持家の住宅から得られるサービスに相当する価値を見積もって、これを住宅費用とみなす考え方が成り立ちます。このような考え方に基づいて、持家の住宅を借家とみなした場合支払われるであろう家賃(これを「持家の帰属家賃」と言います。)を消費者物価指数に算入しています。
指数の計算に当たっては、総務省で実施している全国消費実態調査において推計された持家の帰属家賃額を基に、住宅の構造及び規模ごとにウエイトを求め、それに対応する持家の帰属家賃の動きは、小売物価統計調査で調査している民営借家の家賃の動きを用いています。
なお、この帰属家賃方式は、多くの先進国で消費者物価指数のほか国民経済計算(93SNA)でも用いられています。
【B.価格調査】
消費者物価指数では、世帯が購入する商品(財やサービス)を585の品目に区分して、品目ごとに支出額に基づくウエイト(消費支出に占める割合)を計算し、品目ごとに毎月の価格を調査することにより指数を算出しています。この品目区分の設定に当たっては、機能等が類似したものを一つの品目にまとめ、かつ、その品目内の商品の価格の動きがほぼ一様になるように配慮しています。例えば、店頭売りの牛乳と配達される牛乳は、牛乳という点では同一ですが、配達という付加的サービスの有無によって価格の動きが異なるため、別々の品目にしています。
理想的には、各品目の価格動向をとらえるには、品目内のすべての商品の価格と販売額を各調査店舗で毎月調査し、フィッシャー算式などによる指数を計算することが望ましいのですが、各店舗において全商品の毎月の販売額と価格を調査することは現実的には不可能です。このため、消費者物価指数の作成に当たっては、上述のような配慮の下に品目を設定した上で、品目ごとの価格変動を代表的な1銘柄によってとらえることとしているのです。
なお、現実に調査可能な方法の中から、例えば、1銘柄でなく複数の銘柄の価格を調査して、基準時点の販売額をウエイトにして加重平均するなど固定ウエイトで平均化する方法を採った場合、相対価格の変化による商品間の代替関係が強く銘柄ごとの販売額が変化するため、現在行っている方法よりもかえって結果に偏りを生じる可能性が高くなります。
(消費者物価指数における「品目」と「銘柄」)
世帯が購入する商品(財やサービス)には無数の種類がありますが、消費者物価指数では、これらの商品を機能や価格の動きの類似性により、一定の支出割合(家計調査結果の支出割合で原則として1万分の1以上)のある585のグループにまとめ、価格の動きをとらえています。このグループのことを「品目」と言います。
この品目の中には、品質、規格、容量などが異なる複数の「銘柄」が含まれています。消費者物価指数の作成に当たっては、これらの銘柄の中から、その品目を代表するものを指定してそれを「調査銘柄」とし、毎月の価格を調査します。したがって、消費者物価指数における「銘柄」とは、同一の品目に属する複数の商品の中から品質、規格、容量などを指定して絞り込んだものと言えます。なお、絞り込みの程度は品目によって異なり、単に商品の特性を条件として示すだけのものから単一あるいは複数の商標を特定するものまで様々です。
価格調査に当たっては、地域的な出回りの違いを配慮して、上述のように指定された「調査銘柄」に該当する商品の中から、各調査店舗で最も売れている製品等(例えば、「ヨーグルト」(品目)-プレーンヨーグルト・400〜450g入り(平成21年10月現在の調査銘柄)の場合、調査銘柄に該当する製品のうち、各調査店舗で最も売れている製品)を選定してその価格を継続して調査しています。
調査銘柄については、各品目において代表的な銘柄の出回り状況を調べ、調査銘柄の出回りが少なくなっている場合には、出回りの多い銘柄に変更します。この変更は定期的(年2回)に行っていますが、例えば調査銘柄が製造中止になって後継の新製品が発売されるなど、出回りが急速に変化する場合は、定期的な変更時期以外でも調査銘柄の変更を行い、新製品の迅速な取り込みを図っています。このような調査銘柄の変更は、毎年数十件程度行っており、常時、品目を代表する銘柄の価格をフォローする仕組みになっています。
※小売物価統計調査において、どのようなものが調査されているかについては、「小売物価統計調査」の「調査品目及び基本銘柄」を参照してください。
Q プライベートブランドは調査されていますか。Q 特売価格は調査されていますか。Q 調査対象にディスカウント店などは入っていますか。など、調査に関する疑問については「小売物価統計調査に関するQ&A」を参照して下さい。
【C.基準改定】
消費者物価指数は、基準年を設定し、基準年に比べてどれだけ物価が変化したかを表しています。世帯が購入する品物は、新しい商品(財やサービス)の出現や嗜好の変化等によって時代と共に変化し、基準年を長い期間固定すると、次第に実態と合わなくなります。そのため、基準年を一定の周期で新しくする「基準改定」を行い、指数に採用する品目とそのウエイトなどを見直します。我が国の消費者物価指数は、5年ごとに改定され、西暦で末尾が0と5の年を基準年としています。国際的に見ても5年程度の周期で基準改定を行っている国が多く、我が国では昭和56年の統計審議会の答申で、他の経済指数を含めて5年周期の改定が適当とされています。
なお、今後急速に普及し一定のウエイトを占めるに至った新たな財・サービスについては、基準改定以外の年においても品目の見直しを行うこととしています。
消費者物価指数では、家計調査結果による支出割合を基に作成されたウエイトを5年ごとに更新する公式系列のほかに、消費構造の変化の影響を確認するため、毎年ウエイトを更新して作成する連鎖基準方式によるラスパイレス指数を公表しています。この連鎖指数は昭和50年基準から年次で公表してきましたが、消費構造の変化を適時に指数に反映させるため、平成17年基準から月次で公表することとしています。
また、代替効果も含めて家計の消費構造の変化をより迅速に消費者物価指数に反映させる方法として、基準年と比較年の中間に当たる年の消費構造を用いて作成したウエイトにより計算する中間年バスケット方式による指数も公表しています。
なお、我が国では、消費者物価指数や企業物価指数などの物価指数を始め、鉱工業生産指数、輸送指数などの数量指数も含めて、大半の指数が5年ごとに基準改定されています。
消費者物価指数の採用品目は5年に1度の基準改定の際に、家計調査結果に基づいて支出割合が一定以上のものを選定するという方法で決定しています。平成17年の基準改定では、情報関連品目を中心に薄型テレビやDVDレコーダーなどを品目に追加しました。
なお、今後急速に普及状況が変化した財・サービスについては、基準改定以外の年においても品目の見直しを行うこととしています。
消費者物価指数では、基準改定によって採用する品目や計算に用いるウエイトを新しいものに更新するため、改定前と改定後の指数は厳密には内容が異なります。しかしながら、長期的な物価変動を時系列的に分析できるようにするため、基準改定時においては、新旧指数を接続する処理を行っています。
新旧指数の接続は、基準年における旧基準と新基準の年平均指数値(新基準は100)の比で、旧基準の指数を換算することにより行っています。接続処理は項目ごとにそれぞれ独立に行い、接続した指数による上位類指数の再計算はしていません。なお、変化率(前月比、前年同月比、前年比及び前年度比)については、接続した指数により再計算することなく、各基準において公表された値をそのまま用いることとしています。また、各基準の基準年の1月の前月比、1〜12月の前年同月比、前年比及び前年度比についても、旧基準の指数によって計算されたものを用いています。
全国の平成18年7月の結果から、「総合」の改定幅を寄与度(影響度)でみると、新旧両基準の差▲0.50のうち、交通・通信で▲0.16ポイント、教養娯楽で▲0.18ポイントと、この二つの費目で大部分を占めています。
新旧両基準の差の要因としては次の3つが考えられます。
(1)消費者の購入が価格下落の著しい商品にシフト
交通・通信のうち「移動電話通信料」は、ウエイトが1万分の74から208へとおよそ3倍に増大しました。また、世帯での利用も割引率の高いプランにシフトしました。
(2)情報関連品目の追加の影響
教養娯楽については、基準改定で追加した「テレビ(薄型)」などの情報関連品目の価格下落が著しく、マイナス寄与が大きくなっています。
(3)価格下落が著しい品目の指数を100にリセット
価格下落の著しい「パソコン(ノート型)」の指数は旧基準では約16と非常に小さくなっていましたが、基準改定により100にリセットしたために、マイナス寄与が大きくなりました。
(100÷16≒6倍)
なお、具体例についてはこちらをご覧ください。
新旧両基準の差の要因(平成18年7月・全国)(PDF:17KB)
【D.品質調整】
消費者物価指数は純粋な物価の変動を測定することを目的としていることから、同一の商品(財やサービス)の価格を継続して追跡することを原則としています。しかしながら、追跡している商品の出回りが少なくなったり、後継商品が出て製造中止になったりして、物価の変動を代表するものでなくなってしまった場合には、調査する対象を入れ替えなければなりません。このとき、新旧の商品の間にある容量や機能・特性などの品質の違いが、物価指数に入り込まないようにするために行うのが、品質調整です。
消費者物価指数では、調査対象の入れ替えの際に、オーバーラップ法、容量比による換算、単回帰式を用いた換算、オプション・コスト法、インピュート法、直接比較などの中から適切な方法を選択し、品質調整を行っています。なお、品質向上が著しく製品サイクルが極めて短いパソコン及びデジタルカメラについては、POS情報を用いたヘドニック法により、品質調整済みの物価変動を直接求めています。また、パソコン用プリンタにおいて調査銘柄を入れ替える時の品質調整にヘドニック法を用いる場合があります。
(POS情報)
小売店舗のPOS(Point of Sales:販売時点管理)システムによって集められた、各製品の販売価格及び販売数量に製品特性が付加された情報です。消費者物価指数では、全国の主要な家電量販店及びパソコン専門店等(約3,400店)が販売した全製品の、製品別販売価格、販売数量及び特性に関するPOS情報を用いています。
ヘドニック法とは品質調整に用いられる方法のひとつで、各製品の品質がこれを構成する複数の特性(性能)に分解でき、価格は性能によって決定されると考え、これらの諸特性(例えば、パソコンなら画面の大きさ、CPUのクロック周波数、HDD記憶容量など)と各製品の価格との関係を、重回帰分析という統計的手法で解析することにより、製品間の価格差のうち品質に起因する部分を計量的に把握しようとする手法です。
消費者物価指数では、品質向上が著しく製品サイクルが極めて短いパソコン及びデジタルカメラについて、品質調整済みの価格変動をヘドニック法により直接求める方法を採用しています。なお、より客観的で信頼度の高い重回帰分析を行うためには、多数の製品についての大量の価格、数量及び特性に関する情報が必要となるため、これらのヘドニック法の適用に当たってはPOS情報を用いています。
また、パソコン用プリンタにおいて調査銘柄を入れ替える時には、ヘドニック法も品質調整の選択肢の一つとして検討しています。平成15年以降平成19年まで、毎年10月に調査銘柄を入れ替えた時には、ヘドニック法によりリンク係数を算出して接続してきました。なお、平成20年はヘドニック法を適用せず、直接比較による接続としました。
なお、今後もパソコン用プリンタにおいて調査銘柄を入れ替える際、性能向上が著しい時には、ヘドニック法も品質調整法の選択肢の一つとして検討していきます。
なお、ヘドニック法の適用に当たっては、回帰モデルの当てはまりの良さや説明変数の有意性、整合性等の検証に加え、ヘドニック法で求めた指数とマッチド・モデル法(前月・当月とも販売実績のある同一商品の価格変化率を前月・当月の価格と販売数量を用いてフィッシャー算式で計算する方法)で求めた指数を比較していますが、パソコンについてはほとんど差がなく、ヘドニック法による品質調整が過剰でないことがわかります。
[参考]
「ヘドニック法について(PDF:643KB)」 清水誠,永井恵子 月刊誌「統計」2006年11月号掲載 日本統計協会
ヘドニック法では、多数の販売データ(POS情報)を利用して、統計的に製品の価格と特性(性能)の関係を計算しています。性能の各要素が価格にどれだけ影響しているかを計算すると、性能が2倍になったからといって、価格は2分の1になるとはみなせません。
「消費者物価指数年報 平成19年」に掲載してあります、平成19年11月の計算結果では「HDD記憶容量が10GB増えたとき、パソコン本体価格は2.9%上昇する」という関係が推計できます。これにより、「HDD記憶容量が10GB増えた新製品が出た場合は、実際のパソコン本体価格を2.9%割り引いて価格を比較する」ことになります(イメージは下図のとおり)。例えば、HDD記憶容量が80GBから160GB、メモリ容量が512MBから1GB、CPUがデュアルコアに高性能化したとすると、性能向上分を36.0%割り引いて比較することになります。
つまり、性能の定義にもよりますが、性能向上分の品質調整は単純な評価をすることはできません。
具体的な計算方法については、「平成17年基準 消費者物価指数の解説」(40〜41ページ)「付1 ヘドニック法によるパソコン等の価格指数の作成(PDF:48KB)」に掲載されています。
また、平成19年中の実際の計算に用いた回帰モデル等については、「消費者物価指数年報 平成19年」の「付録6 パソコン及びカメラのヘドニック回帰式(PDF:21KB)」に掲載されています。
[参考]
日本銀行で作成している企業物価指数においても、パソコン、ビデオカメラなどの品目でヘドニック法を適用した品質調整を行っています。
「2005年基準企業物価指数におけるヘドニック法の適用」
【E.モデル式】
消費者物価指数では、航空運賃や電気代、移動電話通信料などの59品目については、サービス料金体系が多様で銘柄の規定が困難であり、価格も一様でないため、これらの価格変動を的確に指数に反映させることを目的として、小売物価統計調査による価格のほか業務統計などの資料を用いた所定のモデル式により毎月の指数を算出しています。
モデル式による指数の作成方法については、「平成17年基準消費者物価指数の解説」(42〜69ページ)の「付2 モデル式による比較時価格及び価格指数の作成(PDF:193KB)」に掲載されています。
移動電話通信料の消費者物価指数は、加入台数の多い3事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の価格を、事業者・システム(第2世代、第3世代)別加入台数※(毎年更新)で加重平均した価格を基に作成しています。
各種割引等については次のとおり扱っています。
(1)家族割引は契約者数や家族間の通信実態が把握できないため、採用しておりません。
(2)使用年数による割引は経過年数ごとの契約者数や平均契約年数などが把握できないため、採用しておりません。
(3)契約年数の条件付きプランは、契約者数などが把握できないこと、また契約期間の制約や解約違約金があることから、一般的なプランとは質が異なるため、採用しておりません。
実際の指数の計算では、(1)〜(3)の考え方に基づいた一般的なプランにおいて、<20分通話・4100パケット通信>、<200分通話・11300パケット通信>、<660分・23400パケット通信>の3つの利用パターン別に、事業者が消費者に提供しているプランの中から、消費者にとって一番有利となるプラン(最も安いプラン)を事業者ごとに採用しています。なお、3つの利用パターンは、家計調査から携帯電話料金支出金額を特別に集計して決定しています。具体的には、支出金額の階級区分別世帯数と支出金額(各区分の中央値)の積を求め、区分ごとの支出金額を累積します。この累積金額を3等分して3区分ごとに平均支出金額を求め、それに対応する通話時間とパケット通信量を推計したものです。
※ 携帯電話事業者別契約者数(社団法人電気通信事業者協会)
現在のところ、各事業者の料金プランごとの契約者数やプラン間の乗り換えに関する情報を把握することができないことから、契約者数にかかわらず、契約期間の制約等がない料金プランの中から比較検討し、消費者が利用し得る最も安いプランを採用することとしています。
「誰でも割」(平成19年9月1日導入)、「ひとりでも割50」(平成19年8月22日導入)、「新・自分割引」(平成19年9月1日導入)及び「自分割引50」(平成19年9月1日導入)は2年間の継続契約を条件に、これまでの利用期間にかかわらず、月々の基本使用料を最大に割り引くサービスです。「ファミ割MAX50」(平成19年8月22日導入)及び「家族割引MAX50」(平成19年9月1日導入)は家族内の割引を契約している者に対して2年間の継続契約を条件に、これまでの利用期間にかかわらず、月々の基本使用料が半額になるサービスです。
制約条件付きの割引や家族内の割引は、E-2(a)の考え方に基づき、単純に消費者物価指数に反映させることができないものとして採用しておりませんので、今回も同様の扱いとします。
なお、平成19年8月現在でもKDDIには「MY割」(MY割は平成19年9月に自動的に「誰でも割」に移行します。)、ソフトバンクには「自分割引」(自分割引は平成19年9月に自動的に「新・自分割引」に移行します。)という2年間の制約条件付きの同様の割引がありますが、消費者物価指数では採用しておりません。
「au買い方セレクト シンプルコース」と「シンプルオレンジ」(いずれも平成19年11月12日導入)、「ブループラン・バリュー」(19年12月5日導入)は、新規契約または機種変更等で携帯電話機を購入することが申込み条件、また「バリューコース」(19年11月26日導入)は、新規契約または機種変更等で905iシリーズ以降に発売される対象機種を購入することが申込み条件となっており、既存の契約者が制約条件なしに乗り換えできるものとはなっておりません。
この点で、これらのプランは当面、最も安いプランの検討対象としません。よって、従来から提供されているプラン(KDDIの場合は19年11月11日までのプラン、NTTドコモの場合は「バリューコース」、「ベーシックコース」以外のプラン、ソフトバンクの場合は「シンプルオレンジ」、「ブループラン・バリュー」以外のプラン)の中から最も安いプランで計算します。
現在のところ、「au買い方セレクト シンプルコース」、「バリューコース」、「シンプルオレンジ」、「ブループラン・バリュー」に乗り換える人がどの程度いるかを正確には把握できないこと、また既存の契約者については携帯電話機を購入するという新たな負担が生じることから、当面は従来から提供されているプランで計算することとします。
今後、これらのプランが普及し、更に契約者数などのより詳細な情報が入手できる状況になり、「au買い方セレクト シンプルコース」、「バリューコース」、「シンプルオレンジ」、「ブループラン・バリュー」が主流となったことが確認できれば、これらも最も安いプランの検討対象となり得ます。
新規契約や機種変更の場合は同じですが、「ホワイトプラン」や「Wホワイト」は既存の契約者が制約条件なしに乗り換えることができます。しかしながら「au買い方セレクト シンプルコース」、「バリューコース」、「シンプルオレンジ」、「ブループラン・バリュー」は携帯電話機の購入という新たな負担が生じることに違いがあります。
「CDMA1X WIN」の料金プランと「オレンジプラン(WX)」は、制約条件等のない一般的なプランと考えられますので、最も安いプランの検討対象となります。
小売物価統計調査においてはほとんどの場合、毎月末(公表日)に翌月の調査銘柄を公開しており、携帯電話料金プランやサービスについても同様の扱いとし、その取り扱い方法についてホームページ上で公開することとします。
ただし、急なサービス開始であったり、検討に時間を要するなど特段の事情がある場合はこの限りではありません。
また、モデル式により指数を計算している品目の中には、非公開の企業情報を利用させていただいて計算しているものがあり、基礎データを公開できないものもあります。
移動電話通信料の価格は、毎月12日を含む週の金曜日に調査することとしています。
新プランの適用開始日は、利用者の電話料金の締日により異なることがあります。NTTドコモとKDDIは全利用者について月末締めのみですが、ソフトバンクは10日締、20日締、月末締の3パターンあり、新プランのサービス適用開始日が利用者によって異なります。その場合、3パターンのうち、新プランの最も早い適用開始日と価格調査日を比較し、価格調査日以前に適用開始されていれば、その月に消費者物価指数で採用することとなります。
当月の価格調査日の時点で既に新プランが適用されているので、当月の消費者物価指数で採用されます。
当月の価格調査日の時点では新プランが適用されていないので、翌月の消費者物価指数で採用されます。
消費者物価指数の算式は、基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)を採用していることから、原則として17年基準内のウエイトやモデル式を変更する予定はありません。しかし、携帯電話機の価格と通信料金を分離したプランが主流になった場合は、モデル式等の見直しをすることも検討します。
なお、家計の消費構造の変化をより迅速に指数に反映させるためのラスパイレス連鎖基準方式による消費者物価指数(参考指数)の計算に用いるウエイトは毎年更新します。
高速自動車国道及び都市高速道路の料金は、毎月12日を含む週の金曜日に調査することとしています。新しい料金体系の導入日と価格調査日を比較し、価格調査日以前に新しい料金体系が導入されていれば、それがすべての曜日に導入されていると考え、その月の消費者物価指数に反映されることになります。 このたび「生活対策」等に基づき、平成21年3月28日から導入される高速道路料金の引下げについては、4月分の結果から反映されます。
「前倒し社会実験」及び「緊急総合対策」ともに、平成20年10月分の結果から反映しています。 このたび実施される割引は、高速自動車国道を対象道路とし、ETC無線通行車両を対象に、時間帯及び曜日により所定の割引を適用するものです。(高速道路料金値下げの内容については、国土交通省ホームページを参照してください。)
そもそも消費者物価指数における高速道路料金は、対距離料金区間(普通区間(地方部)と特別区間(大都市部(東京・大阪近郊)))と均一料金区間における普通車の料金を対象とし、小売物価統計調査の調査日現在の料金を採用しています(E-3(a)参照)。この料金はETCを利用しない通常料金とETC割引料金とを、ETC利用率(平成17年平均で固定)を用いて加重平均して算出しています。このうちETC割引料金は、入手可能な情報を利用して、時間帯別の割引率を通行量ウエイト(平日・休日共通、全区間共通、17年で固定)で加重平均し、更に平日と休日の日数ウエイト5:2で加重平均することによりETC平均割引率を求め、通常料金から割り引いた料金を算出しています。 このことから、時間帯別、曜日別に割引率が異なるETC割引は、これまでと同様に指数に反映されることになります。
指数の作成方法については、「平成17年基準消費者物価指数の解説」(55ページ)「付2 モデル式による比較時価格及び価格指数の作成(PDF:193KB)」に掲載されています。下記の補足説明も併せてご参照ください。
E-3(a)に基づき、3月28日から導入される「地方部の土日祝日上限1000円」は平成21年4月の消費者物価指数に反映されます。高速道路の利用方法は同じ出発地・到着地であっても相当数のルートが想定されます。しかし、平成17年基準ではあらゆる走行ルートを網羅した走行ルート別(大都市圏をまたぐルート、それ以外のルートなど)の通行量などが把握できないため、4月29日から導入される「大都市圏をまたいだ場合の地方部通算で土日祝日の上限1000円」について正確に算入することができません。つまり、地方部通算で土日祝日の上限1000円を前提とした場合のみの計算となります。 (「生活対策」等に基づき、平成21年3月から導入される高速道路料金の引下げの内容については、国土交通省ホームページを参照してください。)
上限1000円が適用される距離については、通行料金が1000円となるようETC割引率を逆算して求め、指数の計算に用いています。
【F.その他】
消費者物価指数には、企業物価指数が対象としていない授業料、家賃、外食などのサービスの価格もウエイトにして5割近く含まれています。サービスの価格は、財に比べて人件費の割合が高いため、財の価格が上昇・低下しても、それほど変化しない傾向があります。
また、消費者物価指数が対象としている財は世帯が購入するものについてであり、原油などの原材料、電気部品などの中間財、建設機械などの設備機械は含まれていません。したがって、これらの財が値上がりしても、消費者物価が直接上がるのではなく、間接的にしか影響を与えません。
このような理由から、消費者物価指数と企業物価指数の総合指数は必ずしも一致した動きをするとは限りません。
なお、両指数をできるだけ同じ対象範囲にして比較するため、消費者物価指数の「生鮮食品を除く財」と国内企業物価指数を「最終消費財」に限定した指数の間で動きを比較すると、両者はほぼ同じ動きをしています。

消費者物価指数とGDPデフレーターが乖離していることについては、対象の違いによる要因が大きく、他に算式の違いなどの要因も考えられます。
(1)対象の違い
消費者物価指数は家計消費に対象を限定している一方で、GDPデフレーターは家計消費の他に設備投資なども対象となっています。設備投資は品質向上が著しいIT関連財の比率が高いことから、これらの下落による影響が大きくなります。このため、GDPデフレーターの変化率の方が、CPIの変化率より低くなっています。
また、石油製品などの輸入品価格が上昇している中では、消費者物価指数はその分上昇するのに対し、GDPデフレーターでは製品価格にすべて転嫁されない限り、下落に働くため、両者の乖離幅は大きくなります。
なお、両指数をできるだけ同じ対象範囲にして比較するため、消費者物価指数の総合とGDPデフレーターを家計最終消費支出に限定した指数の間で動きを比較すると、両者はほぼ同じ動きをしています。

(2)算式の違い
消費者物価指数はラスパイレス算式、GDPデフレーターはパーシェ算式を採用しています。一般に比較時点の数量ウエイトで加重平均するパーシェ算式は指数が低く、基準時点の数量ウエイトで加重平均するラスパイレス算式は指数が高くなる傾向があります。また、品質向上は数量の増加とみなされるので、パー
シェ算式の場合、品質向上で下落した品目のウエイトは拡大します。このため、パーシェ算式を用いているGDPデフレーターは下落率が大きくなります。
なお、GDPデフレーターはできるだけ指数算出に伴うバイアスを軽減することができるように基準年を更新する連鎖方式により作成されています。消費者物価指数についても参考系列として連鎖方式による指数を作成・公表しています。
一口にテレビといっても、個人が自分の部屋で見るような小型で単純な機能の低価格のものから、居間で家族とともに見るような大型で多機能の高価格のものまで様々な製品が販売されています。消費者はこの中から、自らの経済状態やニーズに応じて、購入する商品(財やサービス)を選択し、購入しています。家計調査では、このような消費者が購入している主な家電製品や、食品の平均購入価格などが分かります。この平均購入価格は、個々の商品の品質(機能や特性)を考慮せずに各品目の購入価格を平均したものです。これに対し、消費者物価指数は、価格そのものの変化を測定することを目的としていることから、同じ品質の商品の価格変化を追跡するとともに、出回りの変化に対応して調査対象を入れ替える場合には、新旧商品の品質の違いによる価格の変化分を除外しています。
具体例で、平均購入価格と消費者物価指数の推移を比べてみましょう。
テレビの1台当たり平均購入価格をみると、バブル崩壊以前はおおむね一定で推移しており、以前は機能の向上した新製品を一定の価格帯で販売・購入する傾向があったことを示しています。しかし、バブル崩壊後はいわゆる価格破壊と呼ばれる現象を背景として、平均購入価格は低下傾向にありました。平成16年、 17年には、薄型テレビの普及に伴い単価の高い薄型テレビの購入が増えていることなどにより、平均購入価格は急激に上昇しています。一方、消費者物価指数は、機能向上に伴う価格上昇分を除いて作成しているので、テレビの価格指数はバブル崩壊前から一貫して低下しています。(図1)
食品でも、嗜好の変化などによって平均購入価格と消費者物価指数の推移は異なってきます。例えば、牛乳の1リットル当たり平均購入価格の推移をみると、単価が低い低脂肪牛乳の購入が増えていることなどにより消費者物価指数よりも低下しています。一方、しょう油の100ミリリットル当たり平均購入価格は、単価が高い丸大豆しょう油の購入が増えていることなどにより消費者物価指数よりも上昇しています。(図2)
このように、平均購入価格と消費者物価指数の推移の違いには品目によって特色がありますが、一般的に、技術革新により機能の向上が進んでいるテレビなど家電製品のような品目では、平均購入価格より消費者物価指数の方が下落率が大きくなる傾向がみられます。また、しょう油の例にみられるように、好況時には高級志向が強まり、不況時には低価格志向が強まる品目は、平均購入価格の方が消費者物価指数に比べて変動が大きくなる傾向があります。
これは平成10年に発表された日本銀行職員の個人的な見解を示した論文に基づくものと思われます。その論文には、例えば、消費者物価指数の作成方法が日本と全く異なるアメリカの指数作成方法に基づく固有のバイアスを日本にそのまま当てはめて推計する部分があるなど、その妥当性には多くの疑問点があります(「消費者物価指数の精度について」参照)。
なお、日本銀行では、この論文の指摘はあくまで個人的なものであり、日本銀行の公式見解ではないと回答しています。
消費者物価指数の精度については、様々な議論があるところであり、統計局としては引き続き研究していきたいと考えています(「消費者物価指数に関する検討資料について」参照)。
特に、消費者物価指数は、基準年に品目とウエイトを固定するラスパイレス式を用いているという算式上の特徴から、基準年から離れるにつれて実態より高くなりやすくなる性質があります。平成18年において「総合」や「生鮮食品を除く総合」の前年同月比は、基準年から6年を経過した平成12年基準では改定直後の17年基準よりも0.4〜0.6ポイント高くなっていました。