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統計研究彙報 第72号 No.1
概要
タイトル
労働力調査の1年間のフローデータを用いた最近の雇用情勢に関する分析
著者
長尾 伸一、高野 正博
刊行年月
2015年3月
要旨
本稿の目的は、労働力調査の継続標本による1年間のフローデータを利用して、2009年のリーマンショック後の我が国の雇用情勢と最近の雇用情勢の変化を分析することである。リーマンショック後の我が国では、非正規労働者のいわゆる雇止めが顕在化し、失業率が上昇するとともに、就業者数も減少するなど、雇用環境に著しい厳しさがみられた。一方、最近では、失業率は比較的低水準で推移しているものの、依然として非正規労働者の増加が継続するなど、かつての終身雇用制や年功賃金といった従来型の日本的雇用システムが持続していた時期に比べ、厳しい状況が継続している。
本稿では、景気後退期における就業状態の移動の状況、転職した者に関する産業間・雇用形態間の移動の状況、どのような属性の者が失業しやすく、どのような属性の者が新たな仕事へ転職しやすいのか、について分析した。さらに、転職を「無職期間有り」と「無職期間無し」に分類し、その属性についても分析することを試みた。
また、労働力調査の1年間のフローデータの作成において、どの程度の標本が継続して観察可能なのかを検証し、男女、年齢、就業状態ごとにその継続率を計測した。これにより、1年間のフローデータが有益な情報である一方、どのような点に留意して結果を分析すべきかについての情報を提供する。
キーワード: 労働力調査、継続標本、フローデータ、就業、失業、推移確率
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【問合せ先】
- 総務省統計研究研修所研究開発課