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統計研究彙報 第68号 No.2
概要
タイトル
労働時間のジニ係数 ―労働時間の個人間不平等は拡大したのか
著者
佐藤 哲彰
刊行年月
2011年3月
要旨
多くの人は、自己の望む労働時間で働くことができていない。ワークライフバランス施策の主要な目標のひとつは、多くの人々が自己の望む労働時間で働ける社会の実現であろう。そうなれば、労働時間の個人間格差はその分縮小するはずである。本研究では、労働力調査における労働時間(就業時間)のジニ係数を、1983年から2008年について見た。ジニ係数で測った15歳以上人口の不平等度は拡大したが、生産年齢人口(15-64 歳)に限定すると、ジニ係数の上昇傾向は見出しがたい。15歳以上人口におけるジニ係数の上昇は、高齢化による週労働時間が0時間の者の割合の上昇に多くが帰せられ、生産年齢人口に限定したジニ係数に上昇傾向がないのは、女性の生産年齢における従業率の上昇から来るジニ係数下落効果と、短時間労働者の割合が増え長時間労働者の割合が減った上昇効果が相殺されたためである。また、ジニ係数で量った労働時間の不平等度は、個票データを用いなくても、非従業者及び短・中・長時間労働者の割合(人数)と平均労働時間だけから、5%弱の誤差で算出できることが明らかになった。
キーワード:ワークライフバランス、労働時間、ジニ係数、タイル尺度、労働力調査
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【問合せ先】
- 総務省統計研究研修所研究開発課