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統計研究彙報 第67号 No.3
概要
タイトル
非線形状態空間モデルおよびモンテカルロ・フィルタによる可変NAIRUの推定
著者
高部 勲
刊行年月
2010年3月
要旨
本稿では、我が国の構造的・摩擦的失業を分析するための指標として可変NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:インフレを加速させない失業率)を推定し、その性質について分析している。本稿では状態空間モデルによる方法に着目し、推定を試みた。パラメータを定数と考えて推定した場合、推定期間中にパラメータの大幅な変動があった場合に、パラメータの値を過大(又は過小)に評価してしまうことになる。そこで本稿ではすべてのハイパーパラメータが時間とともに変動するような非線形な時変パラメータモデルを考え、モンテカルロ・フィルタにより推定を行っている。カルマンフィルタの手法によって 推定されたNAIRUについて分析したところ、既存の研究や日銀短観などの指標と整合的であり、構造的・摩擦的失業に関する既存の研究結果をよく裏付ける結果となっていることが分かった。モンテカルロ・フィルタによる推定結果を見ると、失業率とインフレ率をつなぐ係数の絶対値は一貫して0に近づいていることが観察され、失業とインフレの関係が弱まっていることが改めて確認された。
キーワード:構造的・摩擦的失業率、修正フィリップス曲線、NAIRU、状態空間、カルマンフィルタ、モンテカルロ・フィルタ、自己組織化モデル
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【問合せ先】
- 総務省統計研究研修所研究開発課