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統計研究彙報 第66号 No.3
概要
タイトル
家計消費状況調査における調査票回収率の低下による調査結果への影響について
〜統計調査の民間委託から得られたインプリケーション
著者
佐藤 朋彦
武下 朋広
刊行年月
2009年3月
要旨
本稿では、総務省統計局が民間の調査機関に委託して実施している家計消費状況調査について、委託先の交代に伴って生じた調査票回収率の低下を分析し、そのことが調査結果に与える影響を明らかにした。そして、今後の統計調査の民間委託における注意点のほか、月次調査における調査委託先変更の際の変更方法に ついて、具体的な対応を示した。
平成17年8月に同調査の委託先において、調査員による不正行為が判明したため、18年3月末で委託契約を打ち切り、新たな調査機関(2社)へ委託することとなったが、その過程で調査票の回収率が大きく低下した。そこで、調査票の回収率低下による調査結果への影響を検証したところ、「支出総額」において、「千円未満の桁まで記入している世帯」の割合が相対的に上昇したことが分かった。また、これらの世帯は「千円・万円単位で記入している世帯」に比べて、支出総額の水準が5万4千円ほど高いことから、全体の 平均支出総額が上方にシフトし、前年同月比に影響していることが分かった。「千円未満の桁まで記入している世帯」は、家計支出を詳細に記録しているなど、何らかの家計上の特徴があると考えられる。標本世帯 の中でのこのような世帯の割合の変化は、集計結果にも影響を与えているとみられるため、この影響を除去した前年同月比を試算したところ、平成18年4月で1.3%から0.3%となり、1.0%ポイント低下することが明らかになった。
キーワード:統計調査、民間委託、回収率、統計の精度
全文
【問合せ先】
- 総務省統計研究研修所研究開発課