スポーツと統計学

 野球、サッカー、バスケットボール、アイスホッケーなどの数多くのスポーツにおいて、欧米諸国を中心として、様々なデータ収集や高度な統計分析などが行われ、科学的な見地からの戦術解析や選手起用・評価が行われています。
 スポーツと統計学の関わりについては、野球界における統計学の活用が有名です。特に世間に知られるようになった契機は、2011年に公開された映画『マネーボール』でしょう。
 これは、メジャーリーグで資金力がなく弱小であった野球チームが「セイバーメトリクス」と呼ばれる統計的な手法を駆使し、強いチームを作り上げたという実話を基にしています。チームの勝率を上げる要因を統計的に分析し、選手の出塁率(※1)や長打率などのデータを基に選手の起用や獲得を行い、強豪球団と張り合えるチームを作り上げたのです。
 最近では、2012年に開催されたロンドンオリンピックにおいて、試合中にタブレット端末に表示された自チームと相手チームに関する分析データを見ながら、選手に指示を与えていた真鍋監督率いる全日本女子バレーボールチームが28年ぶりの銅メダルを獲得するという快挙を成し遂げるなど、スポーツにおいても統計学を用いたデータ分析が広がっています。

(※1) 出塁率については、当時の野球界ではあり得なかった、ヒットだけでなく四死球を含む基準で選手を評価しました。これは、出塁すれば得点に結びつく可能性があるため、ヒットを打てる選手と選球眼が優れている選手を同レベルとして評価するものです。資金力のない球団としては、ヒットを打っていない選手ならば、契約金を大幅に抑えられる利点がありました。

 

参考文献

・マネーボール 完全版、マイケル・ルイス著、早川書房

・日本統計学会 スポーツ統計文化会ウェブサイト