顧客満足度の把握

 物や情報が氾濫し、競争が激化している現代において、企業では、より顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)の高い商品やサービスをいかに提供できるかが非常に重要です。より効率的に顧客満足を高めていくためには、顧客の満足な点と不満な点を把握した上で、満足な点はより伸ばし、不満な点に対してはどの不満について優先的に対応するかなどを判断することが必要になります。

  この判断材料を得るために行われるのが「顧客満足度調査」です。顧客満足度調査にはいくつかの分析手法がありますが、ここでは一般的な「CSポートフォリオ分析」について紹介したいと思います。

 顧客満足度調査は、まず商品の購入者やサービスの利用者に対して、自社の商品やサービスに関する満足度を調査します。具体的には、調査票上には、総合満足度という評価項目を質問項目として設け、それ以外の質問項目は、商品の操作性、デザイン、価格などの個々の満足度に関する項目を設けておきます(図1)。

図1 商品Aに関する顧客満足度調査の質問項目(イメージ)

   

Q1 総合満足度
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

Q2 操作性
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

Q3 画質
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

Q4 容量
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

Q5 耐久性
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

Q6 デザイン
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

Q7 価格
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)

 得られた調査結果から、総合満足度と個別満足度(操作性、デザイン、価格など)との評価の相関性を求めます。これによって、総合満足度と相関性が高い項目、つまり、満足度の改善に当たり重要度の高い項目を判断することができるわけです。そして、横軸に重要度(※1)、縦軸に満足度(※2)をとって、顧客満足度の評価項目を座標軸の中にプロットすると、図2のようになります。

(※1) ここでは「総合満足度」と「個別満足度」との相関係数をそれぞれ算出したものを横軸としています。

(※2) ここでは「個別満足度」の平均値を縦軸としています。

図2 CSポートフォリオ分析(イメージ)

CSポートフォリオ分析(例)

 図2は、横軸の重要度と縦軸の満足度の関係によって、以下のとおり大きく4つのエリア(象限)に分けることができ、重点的に改善しなければならない項目が明確になります。

1.右上のエリア(第1象限)は、重要度及び満足度の高いエリア(強みとして維持強化すべき)

2.左上のエリア(第2象限)は、重要度は低いが、満足度は高いエリア(維持してくことが必要)

3.左下のエリア(第3象限)は、重要度及び満足度の低いエリア(改善の優先順位は低い)

4.右下のエリア(第4象限)は、重要度は高いが、満足度は低いエリア(優先的に改善すべき!)

 右下のエリア(第4象限)は、重要度が高いのにも関わらず、顧客の満足度は低いエリアであることから、ここに属する項目は、最優先に改善すべき項目と判断することができます。図2の場合であれば、「操作性」と「デザイン」が優先度の高い改善項目と考えられます。
 また、右上のエリア(第1象限)の項目については、重要度及び満足度が共に高い項目であるため、企業の強みとして維持強化すべき項目と考えられ、左下のエリア(第3象限)は改善の優先順位は低い項目などと判断することができます。

 このように、顧客満足度調査の実施、調査結果の統計的な分析によって、自社の商品やサービスの強みや問題点の把握、改善すべき事項の優先順位などの判断材料を得ることができるのです。