近代日本を築いた統計
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ナポレオンナイチンゲールクリミア戦争での死因分析のグラフ1769179017951801デンマークアメリカオランダイギリス各国の近代的人口センサスの始まり 16世紀以降のヨーロッパでは、各国が勢力を伸ばすため、国力を高めようとしていました。そのためには、人口や財政、産業などに関する調査が重要であるという意識が起こりました。こうした意識は、18世紀から19世紀にかけてさらに高まり、国の体制が整えられるようになりました。 フランスで皇帝の地位についたナポレオン(1769〜1821)も、統計の重要性に目をつけ、1801年に統計局を設置し、政府による統計が整備されました。欧米諸国では、18世紀から19世紀にかけて近代的な人口調査(センサス)が行われるようになりました。 「近代看護教育の生みの親」として知られるナイチンゲール(1820〜1910)は、数学や統計に興味を持ち、ケトレーの考えを信奉していました。 クリミア戦争に従軍した際、ナイチンゲールは、イギリス軍の戦死者や傷病者のデータを分析し、直接の戦闘による死者より、衛生状態の問題による死者の方が多いことを明らかにし、グラフを用いてわかりやすく説明しました。 ナイチンゲールは、統計学の先駆者としても知られているのです。統計の重要性を知っていたナポレオンナイチンゲールと統計学

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