Japan Statistical Yearbook 2023
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3 National Accounts 85一致は避けられない。このため、国内総生産勘定(生産側及び支出側)においては、この不一致を統計上の不突合として国内総生産(生産側)に計上することによってバランスを図っている。 国民総所得 国民総所得(GNI)は、概念上、当該国の居住者主体によって受け取られた所得の総額を示すもので、国内総生産に海外からの所得(雇用者報酬及び財産所得)の純受取を加えたものである。一方、実質国民総所得は、国内総所得の実質値に、海外からの所得の純受取の実質値を加えたもので、実質国内総所得は、実質国内総生産に交易利得・損失を加えたものに等しい。なお、海外からの所得の実質化は国内需要デフレーターにより行う。 国民所得 国民総所得(GNI)から固定資本減耗を差し引いたものが、市場価格表示の国民純所得(NNI)であり、更に純間接税(生産・輸入品に課される税-補助金)を差し引いたものが、要素費用表示の国民純所得である。この国民純所得を要素費用表示の国民所得(NI)という。要素費用表示の国民所得は、雇用者報酬、財産所得及び企業所得の形で分配される。 市場価格表示 市場で取引される価格による評価方法であり、消費税等の生産・輸入品に課される税-補助金を含んだ価格表示のことである。 要素費用表示 各商品の生産のために必要とされる生産要素に対して支払われた費用(雇用者報酬、営業余剰・混合所得、固定資本減耗)による評価方法であり、生産・輸入品に課される税-補助金を含まない価格表示のことである。 国民経済計算では、国内総生産、国民可処分所得は市場価格表示で、国民所得は市場価格表示と要素費用表示の両方で評価されている。 生産者価格表示 生産物を生産者の事業所における価格で評価しようとするものである。したがって、商品が需要者に至るまでの運賃や商業マージンはすべて運輸業や商業の生産とされ、個々の商品には加算されない。生産者価格表示は産業連関表において用いられている。 購入者価格表示 購入段階における市場価格で評価したものであり、個々の商品価格は運賃や商業マージンが含まれたものである。したがって、主として需要分析のための評価法である。 デフレーター 名目価額から実質価額を算出するために用いられる価格指数をデフレーターといい、デフレーターで名目価額を除して実質価額を求めることをデフレーションと呼ぶ。 固定資産 固定資産は、非金融資産のうち、生産活動の結果として生み出される生産資産に含まれるものであり、財貨・サービスの生産のために、原則として1年を超えて繰り返し使用される資産である。固定資産は、形態別には大きく、<1>住宅、<2>その他の建物・構築物、<3>機械・設備、<4>防衛装備品、 <5>育成生物資源、<6>知的財産生産物から成る。 県民経済計算 県民経済計算は、都道府県(以下「県」という。)民の経済の循環と構造を生産、分配、支出の3方面にわたり記録することにより、県民経済の実態を包括的に明らかにし、総合的な県経済指標として、政策運営に資するとともに、家計・企業の意思決定の基礎を提供することを目的としている。あわせて、国民経済における各県経済の位置を明らかにするとともに、各県経済相互間の比較などによる国民経済の地域的分析を可能とするものである。 県民経済計算は、内閣府経済社会総合研究所が「国民経済計算」に準拠して策定した「県民経済計算標準方式」に基づき、全ての都道府県で公表している。また、市民経済計算を政令指定都市17市(札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、新潟市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市及び福岡市)が作成・公表している。本書では、公表された最新の計数をもとに内閣府経済

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