Japan Statistical Yearbook 2023
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第3章 国民経済計算 84 3 国民経済計算 この章は、国民経済計算、資本ストック、県民経済計算及び産業連関表に関する統計を掲載している。 国民経済計算(基幹統計) 国民経済計算(SNA: System of National Accounts)は、我が国の経済の全体像を国際比較可能な形で体系的に記録することを目的とし、国際連合で採択された国際基準(SNA)に準拠しつつ、国民経済計算の作成基準及び作成方法に基づき内閣府経済社会総合研究所が作成している。 我が国の国民経済計算が準拠してきた国際基準は、平成12年以降、1993SNA(平成5年(1993年)に国際連合で採択)であったが、平成28年に約16年ぶりに最新の国際基準である2008SNA(平成21年(2009年)に国際連合で採択)へと移行した。2008SNAは1993SNAをベースに、それ以降の経済・金融環境の変化に対応した改定が行われており、例えば、企業の生産活動における役割が高まっている研究・開発(R&D)支出が国内総生産(GDP)の構成要素である投資(総固定資本形成)に記録されるようになるなど、より経済の実態が包括的に捉えられるようになった。 2008SNAに基づく国民経済計算は、1993SNA同様、フロー編とストック編とに大別され、更に勘定(統合及び制度部門別)、主要系列表、付表及び参考表に区分され表章されている。 国民経済計算の推計には、四半期別GDP速報(QE)及び国民経済計算年次推計がある。国民経済計算年次推計は、毎年、最新年(度)の数値が第一次年次推計として公表されるが、その後も新たに利用可能となった基礎統計を反映させるため、1年遡って再推計を行い、第二次年次推計として、さらに、2年遡った年の計数について、供給・使用表(SUT)の枠組みを活用して統計上の不突合を縮減させるための再推計を行い、第三次年次推計として公表される。 また、産業連関表や国勢統計など、約5年に一度作成・公表される詳細かつ大規模な基礎統計を取り込み、過去の計数全体を再推計・改定する基準改定が約5年おきの周期で実施される。 令和2年には平成27年基準への改定が行われ、直近の平成27年産業連関表等各種基礎統計の反映や推計手法の見直し等が行われた。 勘定体系 統合勘定は、我が国全体の経済循環を総括した基本表であるが、フローの統合勘定は、モノ(財貨・サービス)の取引とカネ(所得及び金融資産・負債)の流れの結果を記録するものであって、一定期間における一国の経済活動の結果を総括したものである。一方、ストックの統合勘定は国民経済全体の資産・負債の一時点の量を表す勘定であり、期首貸借対照表勘定に、期中の資本取引を表す資本勘定・金融勘定及び価格変化による再評価等を表す調整勘定を加えて、期末貸借対照表勘定が作成されることにより、フローとストック間の整合性が確保されている。 勘定表には、統合勘定のほか、制度部門別勘定として所得支出勘定、資本・金融勘定、期末貸借対照表勘定及び調整勘定がある。制度部門別分類は、所得の受取や処分、資金の調達や資産の運用についての意思決定を行う主体の分類で、非金融法人企業、金融機関、一般政府、家計(個人企業を含む)及び対家計民間非営利団体をいう。なお、財貨・サービスの生産についての意思決定を行う主体の分類としては、経済活動別分類がある。 国内総生産 国内総生産(支出側)は、国内総生産に対する支出であり、国内の生産活動によって生み出された財貨・サービス(付加価値)が、輸出入を含めて、どのように消費、投資されたかを、最終需要面からとらえたものである。一方、国内総生産(生産側)は、国内の生産活動による財貨・サービスの産出から原材料などの中間投入を控除した付加価値の総計である。したがって、国内総生産(生産側)と国内総生産(支出側)は、理論上は一致すべきものであるが、統計上は両者における推計方法や基礎資料の差異などによる若干の不

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