第23章 社会保障 本章は、社会保障費用、社会保険及び社会福祉で構成されている。 社会保障費用には、社会支出、社会保障給付費及び社会保障財源に関する統計を掲載している。 社会保険には、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険及び労働者災害補償保険に関する統計を掲載している。 社会福祉には、社会福祉行政業務、高齢者保健(医療)福祉、福祉サービス、生活保護及び社会福祉施設に関する統計を掲載している。 なお、公衆衛生及び医療は「第24章 保健衛生」、労働災害は「第29章 災害・事故」を参照のこと。 社会保障費用統計(基幹統計) 社会保障費用統計は、国の社会保障全体の規模や政策分野ごとの構成を明らかにし、社会保障政策や財政等を検討する上での資料とすることを目的として、年金、医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護などの社会保障制度に係る1年間の支出(国民に対する金銭・サービスの給付)等を国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめ、毎年公表している。 社会保障費用統計は、国際機関が定める基準に則って集計された統計であり、社会支出(OECD基準)、社会保障給付費・社会保障財源(ILO基準)及び社会保障財源(EU基準)から構成されている。本章では、社会支出(OECD基準)と社会保障給付費・社会保障財源(ILO基準)について掲載している。 OECD基準に基づく社会支出は、その範囲を人々の厚生水準が極端に低下した場合にそれを補うために個人や世帯に対して財政支援や給付をする公的あるいは私的供給としている。ただし、集計する範囲は、制度による支出のみを社会支出と定義し、人々の直接の財・サービスの購入や、個人単位の契約や移転は含まない。当該制度が社会支出に該当するか否かの判断は、まず、その給付が一つ又は複数の社会的目的を持っており、制度が個人間の所得再分配に寄与しているか、又はその制度への関与が公的な強制力を持って行われているかによる。 社会支出では、社会的目的を次の九つの政策分野に分けている。 (1) 高齢 (2) 遺族 (3) 障害、業務災害及び傷病 (4) 保健 (5) 家族 (6) 積極的労働市場政策 (7) 失業 (8) 住宅 (9) 他の政策分野 社会保障給付費に比べて、その範囲が広く、施設整備費など直接個人には移転されない費用も計上されるという違いがある。社会保障費用を諸外国と比較するという観点から、重要な指標となる。 ILO基準に基づく社会保障給付費は、次の三つの基準を満たすものと定義される社会保障制度による。 (1) 制度の目的が、高齢、遺族、障害、労働災害、保健医療、家族、失業、住宅、生活保護その他、のリスクやニーズのいずれかに対する給付を提供するものであること。 (2) 制度が法律によって定められ、それによって特定の権利が付与され、あるいは公的、準公的又は独立の機関によって責任が課せられるものであること。 (3) 制度が法律によって定められた公的、準公的又は独立の機関によって管理されていること。あるいは法的に定められた責務の実行を委任された民間の機関であること。 ILO基準に基づく社会保障財源は、社会保障給付費(ILO基準)、管理費及び施設整備費等に充てられる財源であり、大分類では社会保険料・公費負担・資産収入・その他の四つに分かれる。 国民医療費 国民医療費は、国民に必要な医療を確保していくための基礎資料として、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用の推計結果を、厚生労働省が毎年公表している。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事、生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。 558 23 社会保障
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