第73回 日本統計年鑑
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86 3 国民経済計算令和元年度県民経済計算は、国民経済計算(2008SNA・平成27年基準)に準拠した「県民経済計算標準方式(平成27年基準版)」に基づいている。 なお、県民経済計算は、各都道府県が「県民経済計算標準方式」に基づき作成したものであるが、基礎資料の整備状況、推計の発展段階の相違等により、その推計方法は必ずしも全都道府県同一ではない。計数の都道府県間比較に当たってはこの点について留意が必要である。 産業連関表(基幹統計) 産業連関表は、作成対象年次における我が国の経済構造を総体的に明らかにするとともに、経済波及効果分析や各種経済指標の基準改定を行うための基礎資料を提供することを目的とし、 10府省庁(総務省、内閣府、金融庁、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省)が共同作業により5年ごとに作成している。 産業連関表とは、国内経済において、一定期間(通常1年間)に行われた財・サービスの産業間取引を一つの行列(マトリックス)に示した統計表である。列(タテ)は財・サービスの生産に当たって用いられた原材料、燃料、労働力等への支払の内訳(費用構成)を示しており、「投入」と呼んでいる。行(ヨコ)は生産された財・サービスの販売先の内訳(販路構成)を示しており、「産出」と呼んでいる。このように、財・サービスの投入・産出の構成を示していることから「投入産出表」とも呼ばれている。「投入額」及び「産出額」は共に、内生部門(中間需要部門、中間投入部門)の各部門の内訳を念頭に置いた用語であるが、産業連関表の作成実務上は、内生部門、外生部門(最終需要部門、粗付加価値部門)を問わず、列部門のタテの金額内訳を「投入額」、行部門のヨコの金額内訳を「産出額」と呼称している。産業連関表は、全ての産業間の取引状況等を様々な情報を用いて作成する加工統計である。このようなことから、産業連関表は次のような特徴を有している。 <1> 我が国の経済構造の総合的把握が可能 <2> 目的の異なる各種一次統計が、産業連関表としてまとめ上げられることにより、一次統計だけを単純に比較しても見えてこない産業間の相互関係や各種比較が可能 産業連関表は通常、取引基本表、投入係数表、逆行列係数表等で構成されている。取引基本表は、産業相互間や産業と最終需要(家計など)との間で取引された財・サービスの金額を行列形式で表示したものであり、投入係数表は、取引基本表の中間需要の列ごとに、原材料等の投入額を当該列の生産額で除して得られた係数表で、ある産業において1単位の生産を行うときに必要な原材料等の単位を示したものである。逆行列係数表は、ある産業に対して1単位の最終需要があった場合、それが各産業部門に対して直接・間接にどれだけの生産波及を及ぼすかその波及効果の大きさを示した係数表である。産業連関表は、取引基本表自体でも産業構造を明らかにすることができるが、さらに、投入係数表や逆行列係数表を用いる産業連関分析によって、経済予測や経済計画の策定など広範に利用されている。 なお、平成27年産業連関表は、基本分類(行509部門×列391部門)の取引基本表や統合小分類(187部門)等の各種係数表のほか各種付帯表について作成されているが、本書には、13×13部門の統合表による取引基本表及び投入係数表を掲載している。

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