第5章 財政 この章は,国家財政及び地方財政で構成されている。 国家財政には,一般会計・特別会計・政府関係機関の歳入・歳出,国税,政府債務,財政投融資,財政資金収支及び国有財産に関する統計を掲載している。 地方財政には,地方財政計画,普通会計の歳入・歳出,地方税,地方交付税及び行政投資実績に関する統計を掲載している。 財政歳入及び歳出 財政は,国や地方公共団体が,公共的な需要を充足するために租税や公債などの形で財源を調達,管理し,必要な費用を支出する経済的な営みをいう。財政は,その主体によって国家財政と地方財政に分けられる。 財政活動はすべて予算に基づいて行われる。予算は,年度ごとに,国会又は地方議会の議決を経て成立する財政活動のプログラムであり,その年度内における国や地方公共団体の一切の収入と支出の見積りである。国の年間予算として当初に成立した予算を一般に当初予算(又は本予算),情勢の変化に応じて予算の追加や内容変更を行う予算を補正予算という。 予算の執行が終了すると,一定の手続で決算が行われる。決算は,会計検査院の検査又は監査委員の審査を経て,国会又は地方議会に提出される。決算額は,収納済歳入額及び支出済歳出額をいう。 国家財政 財務省が毎年度の予算及び決算について取りまとめている「財政統計」及び「財政金融統計月報(予算特集)」による。 国の会計は一般会計と特別会計に分けられ,予算もこの区分に従って作成される。ほかに政府関係機関予算があり,国会にはこれら三本の予算が一緒に提出される。 一般会計は,租税などの収入を財源として,教育,社会保障,防衛,公共事業など国の基本的・一般的な支出を経理する会計である。特別会計は,<1>特定の事業を行う場合,<2>特定の資金を保有してその運用を行う場合,<3>その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入・歳出と区分して経理する必要がある場合に限り,法律をもって設置するもので,令和3年度においては,特別会計の数は13となっている。また,政府関係機関は,国とは別個の法人格を有するが,政府が出資している特殊な法人で,その予算及び決算について,国の予算及び決算の例に準じて国会の審議を受けなければならない機関である。 地方財政 総務省が各地方公共団体から報告される決算額を中心として取りまとめている「地方財政統計年報」による。 地方財政は,地方公共団体のうち,都道府県,市町村,特別区及び一部事務組合の財政を総称したものである。各地方公共団体の会計は,国家財政と同様,一般会計と特別会計に分かれているが,特別会計の範囲はそれぞれの団体によって異なっている。そこで,地方財政として集計する場合は,一般会計及び特別会計の区分にかかわらず,公営事業会計と,それ以外の会計を総合して一つの会計としてまとめた普通会計とに区分して基準の統一を図っている。 また,予算及び決算とは別に,内閣は,毎年度標準的な行政水準における地方公共団体の歳入・歳出総額の見込額に関する書類を作成し,地方財政計画として国会に提出している。これは,地方財源の保障及び国家財政,国民経済との整合性の確保のために作成されるもので,地方公共団体の財政運営の指針となっている。 なお,各会計は,相互に複雑な依存関係があり,歳入・歳出に重複がある。したがって,財政の全体を判断するときは,重複分を控除した純計額を基準にしなければならない。純計は,国家財政及び地方財政の各会計間のみならず,国家財政と地方財政あるいは政府関係機関を含めたものなど種々作成されている。 130 5 財政
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