第70回 日本統計年鑑
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資本移転等収支 対価の受領を伴わない固定資産の提供,債務免除のほか,非生産・非金融資産の取得処分等の収支状況を示す。 金融収支 直接投資,証券投資,金融派生商品,その他投資及び外貨準備の合計。 金融資産にかかる居住者と非居住者間の債権・債務の移動を伴う取引の収支状況を示す。 対外資産負債残高 対外資産負債残高は,居住者が非居住者に対して有する金融資産(対外資産)と居住者の非居住者に対する負債(対外負債)について,ある時点における価額と構成を表す統計である。国際収支マニュアルに基づいて作成している。資産と負債に区分し,その差額は対外純資産(負債)となる。残高の項目は国際収支統計の金融収支と同じ基準で分類し,資産,負債とも,直接投資,証券投資,金融派生商品及びその他投資の区分を設け,さらに資産サイドに外貨準備を設ける。 外国為替相場 外国為替相場は,ある国の通貨と他国の通貨との交換比率のことである。我が国の場合,基準外国為替相場は財務大臣が定めることとなっているが,昭和48年の変動相場制移行後,基準相場と実勢相場とが大きくかい離する結果となったため,52年12月,基準外国為替相場は,半年ごとの実勢相場平均値として,年2回改定されることとなり,平成22年1月適用分からは,当該月の前々月の実勢相場の平均値として毎月公示されることとなった。これに対し,共通の通貨に対する為替相場から,二つの通貨の為替相場を計算した裁定相場がある。 インターバンク相場は,外国為替公認銀行間で取引する相場で,銀行間相場あるいは市場相場ともいう。これに対し,対顧客相場は,銀行が顧客との取引に適用する相場で,銀行側から見て顧客に売る場合の相場を売相場,買う場合の相場を買相場という。 外貨準備高 外貨準備高は,外国為替相場の安定のために行う為替介入等の原資として外国為替資金特別会計及び日本銀行が保有する外貨準備資産をいう。財務省が毎月公表しており,外貨資産は,金,外貨,IMFのリザーブポジション及びIMF特別引出権(SDR)から成っている。 経済協力 外務省が取りまとめている「開発協力白書」による。一般に「経済協力」には,政府開発援助(ODA),その他の公的資金の流れ(OOF),民間資金及び民間非営利団体による贈与を含む。開発協力は,「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」のことで,そのための公的資金をODAという。政府または政府の実施機関はODAによって,平和構築やガバナンス,基本的人権の推進,人道支援等を含む開発途上国の「開発」のため,開発途上国または国際機関に対し,資金(贈与・貸付等)・技術提供を行う。 政府開発援助(ODA) ODAは,次の3つの要件を満たす資金の流れを示す。<1>政府ないし政府の実施機関によって供与されるものであること。<2>開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること。<3>資金協力については,その供与条件が開発途上国にとって重い負担にならないようになっており,グラント・エレメント(G.E.) が25%以上であること。ODAは,資金の流れから二国間援助と多国間援助に分類される。二国間援助は形態別には贈与と円借款等があり,贈与は無償資金協力と技術協力に分類される。多国間援助は,国際機関に対する出資・拠出等である。 その他政府資金 政府開発援助以外の政府資金で,輸出促進を目的としたもの,国際復興開発銀行(世界銀行)が市場で発行する証券取引等が計上される。 民間資金 民間人による取引をいい,その中心は輸出信用及び直接投資である。輸出信用は,我が国の輸出業者が開発途上国の輸入業者に対して購入代金の繰延べを許容するものである。 168 6 貿易・国際収支・国際協力

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