第70回 日本統計年鑑
149/786

第4章 通貨・資金循環 この章は,通貨及び資金循環で構成されている。 通貨及び資金循環には,我が国で流通している各種の通貨量,資金の流れ等に関する統計を掲載している。 なお,金融及び保険は「第16章 金融・保険」,社会保険は「第23章 社会保障」,銀行取引停止処分は「第7章 企業活動」を参照のこと。 通貨流通高 通貨流通高は,日本銀行から市中に払い出された通貨の総量で,日本銀行券の発行高と貨幣の流通高を合計したものである。 マネタリーベースと日本銀行の取引 マネタリーベースと日本銀行の取引は,「発行銀行券」と「当座預金」を中心に構成されるマネタリーベースと,日本銀行の各種取引との対応関係を説明するため,基本的には,日本銀行のバランスシートを組み替えることにより作成される。 マネタリーサーベイ マネタリーサーベイは,マネーストック統計のうちのM3の変動を,金融機関等の資産・負債の変化と関連付けて捉えることを目的として作成されている統計である。具体的には,マネタリーサーベイは,現金通貨を発行する中央銀行と,預金通貨,準通貨,CDを発行する預金取扱機関の諸勘定を,統合・調整したバランスシート(月末残高)である。本統計では,M3が負債として表示される一方で,IMFが採用している国際基準に基づき,対外資産あるいは国内信用(政府向け,その他金融機関向け,地方公共団体向け,その他部門向けの内訳が存在)といった区分で資産が表示されている。したがって,負債であるM3の変動をこれらの資産の変動に関連付けて把握することが可能となる。 「総括表」は「中央銀行勘定」と「預金取扱機関勘定」を統合・調整し,その主要資産・負債を掲げている。 マネーストック マネーストック統計は,一般法人,個人,地方公共団体などの通貨保有主体が保有する現金通貨や預金通貨など通貨量の残高(金融機関や中央政府が保有する預金などは対象外)を集計したものである。マネーストック統計の各指標(M1,M2,M3,広義流動性)の定義は以下のとおりである。 M1=現金通貨+預金通貨(対象金融機関は,全預金取扱機関) M2=現金通貨+預金通貨+準通貨+CD(対象金融機関は,国内銀行等) M3=現金通貨+預金通貨+準通貨+CD(対象金融機関は,全預金取扱機関) 広義流動性=M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債(対象機関は,M3対象金融機関,国内銀行信託勘定,中央政府,保険会社等,外債発行機関) なお,国内銀行等及び全預金取扱機関の定義は,以下のとおりである。 国内銀行等=国内銀行(除くゆうちょ銀行),外国銀行在日支店,信用金庫,信金中央金庫,農林中央金庫,商工組合中央金庫 全預金取扱機関=国内銀行等+ゆうちょ銀行+信用組合+全国信用協同組合連合会+労働金庫+労働金庫連合会+農業協同組合+信用農業協同組合連合会+漁業共同組合+信用漁業協同組合連合会 資金循環統計 資金循環統計は,1つの国で生じる金融取引や,その結果として保有された金融資産・負債を,家計や企業,政府といった経済主体ごとに記録した統計である。 資金循環統計では,資金の動きを各経済主体を列,金融資産・負債を行とする表(マトリックス)上に展開して示している。 116 4 通貨・資金循環

元のページ  ../index.html#149

このブックを見る