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リサーチペーパー 第20号
タイトル
未就学児のいる世帯の家計状況について
―全国消費実態調査の個票分析から―
著者 (原稿執筆時の所属)
山田 昌弘(中央大学文学部教授)
金原 あかね(大阪成蹊短期大学非常勤講師)
刊行年月
2010年2月
要旨
未就学児のいる世帯について、世帯構造と経済状況の変動を明らかにした。その結果、世帯構造に関しては、1990年代に、拡大家族で育つ世帯が減少し、 核家族や母子世帯が増加していることが明らかになった。親の年齢も上昇している。収入に関しては、全体傾向として、1984年から世帯年収は上昇、 1994年にピークをむかえ、その後減少に転じている。その最大の理由は、父親の年収が1994年から2004年にかけて減少していることである(夫世帯主の夫婦家族では9%)。その間、夫婦家族では、母親の就労率が増えているため、世帯年収の減少率は小幅(2%)に留まっている。父親の年収と有業の母親の年収の相関は高く、 父母ともに高収入の世帯と低収入の世帯への共働き家族の二極化傾向が年々強まっていることが分かった。特に、母子家庭の収入低下と二極化は著しい。
キーワード:未就学児世帯、世帯収入減少、二極化