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リサーチペーパー 第4号
タイトル
高齢者の就業と人的資本の活用 ―「就業構造基本調査」に基づく過去20年間の変化にかんする分析―
著者 (原稿執筆時の所属)
清家 篤 (慶應義塾大学商学部教授)
山田 篤裕 (慶應義塾大学経済学部助教授)
刊行年月
2006年3月
要旨
本稿の目的は、総務省統計局『就業構造基本調査』5時点分(1982〜2002年の個票を分析することにより、過去20年間のわが国における高齢者就業の変化を概観することである。 とりわけ各歳別の有業確率関数や地域毎の有業確率関数を求めることにより、定年退職経験、疾病による退職経験や年金受給の有無の影響がどのように変化してきたかを明らかにした。 その結果、20年間にわたり自営業者比率が下がり雇用者比率が上がったことの反映として、60歳という年齢での定年退職経験および年金受給の有無による影響度が強まっていることが明らかになった。 このことは超高齢化社会において「支え手」を増やす施策を考える時、定年制や年金などの社会制度がますます重要な鍵を握るようになってきたことを意味している。 また、これまでデータの制約によりあまり注目されてこなかった70代における就業行動や各変数の影響にかんする地域性についてもいくつかの知見を得た。
キーワード:高齢者就業、年金、雇用保険、定年退職、地域格差