特定の日に消費が増える品物

毎年7月になると、「土用の丑の日」ののぼりが店頭で目立ってきます。

「土用の丑の日」にうなぎを食べる由来については諸説ありますが、讃岐国(現在の香川県)出身の平賀源内が発案したという説がよく知られています。

その説によると、夏に鰻が売れないことを悩んでいた鰻屋が、何とか売るため源内の所に相談に行ったところ、源内は、「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という民間伝承からヒントを得て、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めたそうです。すると、物知りとして有名な源内の言うことなら、ということで、その鰻屋は大変繁盛したそうです。その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着したといわれています。

実際に土用の丑の日に鰻が食べられているのか、家計調査(二人以上の世帯)の結果から見てみましょう。

「うなぎのかば焼き」について、平成20年の1世帯当たり年間支出金額に対する各月の支出割合をみると、1年の中で土用の丑の日を含む7月が最も高く、30.7%を占めています。(図1)

図1 「うなぎのかば焼き」の月別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ

さらに、7月の「うなぎのかば焼き」の月間支出金額に対する日別割合をみると、「土用の丑の日」に当たる7月24日の支出が38.3%と最も高く、また、その前後の23日及び25日もほかの日に比べると高く、この3日間の合計だけで約50%となっており、「土用の丑の日」に「うなぎのかば焼き」を食べるという昔ながらの慣習が顕著に表れています。(図2)

図2 7月の「うなぎのかば焼き」の日別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ

「うなぎのかば焼き」について、平成20年の1人当たり年間支出金額を都道府県庁所在市別にみると、神戸市が1,573円で最も多く、次いで奈良市(1,526円)、大阪市(1,507円)の順となっています。(図3)

昔から、「うなぎのかば焼き」は、関西では「まむし」と呼ばれて有名なことなどが、ランキングに表れているのでしょうか。

一方で、平成20年の「うなぎ」の国内収穫量(農林水産省漁業・養殖業生産統計)の全国に占める割合をみると、鹿児島県(35.5%)、愛知県(29.9%)、宮崎県(16.7%)、静岡県(7.8%)などが高くなっており、必ずしも生産地でたくさん食べられているわけではないようです。

図3 「うなぎのかば焼き」の都道府県県庁所在地 一人当たりの年間支出金額 二人以上の割合(平成20年)のグラフ

その他、家計調査に関するトピックスが知りたい方は、家計ミニトピックスをご参照ください。家計ミニトピックスでは、特定の日に消費が増える品物はもちろん、地域性や世帯主の属性(年齢別等)による支出金額の違い、時代の移り変わりによる支出金額の変化など季節やそのときどきの話題を紹介しています。

なお、特定の日に消費が増える品物として、チョコレート(2月)、ケーキ(12月)、テレビゲーム(12月)などがあります。

  • チョコレート

    「チョコレート」の月別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ
    2月の「チョコレート」の日別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ
  • ケーキ

    「ケーキ」の月別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ
    12月の「ケーキ」の日別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ
  • テレビゲーム

    「テレビゲーム」の月別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ
    12月の「テレビゲーム」の日別支出割合 全国二人以上の割合(平成20年)のグラフ

このほか、品物による日々の消費支出のパターンは、以下の統計表をご参照下さい。

統計局ホームページ 家計調査 統計表一覧 
家計収支編 > 4.詳細結果表 二人以上の世帯(平成12年から掲載)*月次 > 該当年月 > 第6−16表 品目分類による日別支出
−参考−
土用
暦法で、立夏の前18日を春の土用、立秋の前18日を夏の土用、立冬の前18日を秋の土用、立春の前18日を冬の土用といい、その初めの日を土用の入りという。普通には夏の土用を指していう。
丑の日
十二支の丑にあたる日。夏の土用の丑の日には夏やせの薬に鰻の蒲焼を食べ、また、灸をすえる。
【出典:広辞苑】
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