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統計とは?〜学習の入口〜

統計ってどんなもの?

辞書にはどう書いてあるの?

「統計」という言葉は日常生活でよく耳にしますが、あらためて「統計」とはどのようなものか説明しよ うとすると、意外に難しいものかもしれません。統計とはどのようなものか、考えてみましょう。
まず、辞書で「統計」という言葉を調べてみます。
「集団における個々の要素の分布を調べ、その集団の傾向・性質などを数量的に統一的に明らかに すること。また、その結果として得られた数値。」(例 統計をとる)(広辞苑より)
「集団現象を数量的に把握すること。一定集団について、調査すべき事項を定め、その集団の性質・ 傾向を数量的に表すこと。」(例 統計をとる)(大辞林より)
他のどの辞書でも、言い回しは少しずつ違いますが、ほぼ同様の解説がされています。いずれにも共 通なのは、「集団」の「傾向・性質」を「数量的」に明らかにすることです。

どんな実例があるの?

このような辞書の説明は抽象的で分かりにくい面もありますが、実例で考えてみると案外分かり やすいものです。例えば、あるクラスに20人の生徒がいて、英語のテストの成績は次のとおりだった としましょう。

表1 いろは中学校1年A組の生徒の英語テストの成績
生徒番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
得点 78 89 85 82 83 85 80 85 87 83
生徒番号 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
得点 80 87 89 85 90 85 95 87 83 92

このクラスのテスト結果の平均点を計算してみると、
(生徒の合計得点)÷(生徒数)= 1710 ÷ 20 = 85.5点
となります。
この平均点(85.5点)は、20人の生徒という「集団」について、英語のテストによって英語の力を「数量的」に明らかにする数値ですので、辞書で言う「統計」の定義に当てはまるものです。そして、英語のテストを行うことは、教育の一環ではありますが、「統計をとる」ための活動であると言えます。
このような「集団の傾向・性質などを明らかにする」数値は、世の中には他にもたくさんあります。例えば、みなさんのボール投げも何回か記録をとれば統計の一種です。ボール投げでなくても、50m走の記録でも、走り幅跳びでも、何でもかまいません。
「ボール投げの記録は、自分一人についての数字なのに、どうして「集団の傾向・性質」を明らかにしているのか」と疑問を持つ人がいるかもしれません。ここでいう「集団」には、学校のクラスのような人の集まりという意味での「集団」だけではなく、ボールを投げるという「出来事」の集まりとしての「集団」という意味も含まれています。ですから、何回かのボール投げの記録は、あなたがボール投げをしたという出来事の「集団」の性質・傾向を表わす統計ということになります。

<みんなで考えてみよう>

このように、「統計」は私たちの生活のいろいろなところで用いられていますが、暮らしの中では、その数字を「統計」と呼ばないで使うことがしばしばあるため、「統計」に気づかないこともあります。生活の中で、ほかにどのような「統計」があるのか、みんなで考えてみるとよいでしょう。

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統計はどのように役に立つの?

テストの平均点はどのように役立つ?

さて、このような「統計」は何の役に立つのでしょうか?
ここでも、平均点とボール投げの記録を例に考えてみましょう。あるクラスの英語のテストの平均点が分かると、そのクラスの英語の力が他のクラスに比べてどのくらい優れているのか、あるいは足りないのか、といった比較ができます。この数字によって、英語の授業がどれだけ生徒たちの身に付いたか、生徒たちがどれだけよく勉強したか、ということが分かります。また、他のクラスとの比較だけではなく、同じクラスのテストの平均点の時間的な変化を追いかけていくことで、そのクラスの実力が時間とともに向上しているかどうか、といった様子を観察することができます。
仮に平均点を計算せずに個人個人の点数しか見ないでいると、点数が上がった人も下がった人も混じっていたりして、クラス全体の傾向を見ることが難しくなってしまいます。そこで、「集団の傾向・性質などを数量的に統一的に明らかにする」ために、クラス全体の傾向をまとめて表わす平均点が計算されているのです。
つまり、「統計」には、異なる集団の間で比較をしたり、同じ集団での時間的な変化をとらえたりするための数字としての役割があるのです。

ボール投げの記録はどのように役に立つの?

ボール投げの記録という「統計」についても同じことが言えます。ボール投げの記録が去年と比べてどれくらい良いか(悪いか)かということは、去年からの体力・技術の向上(低下)の程度を一目で表した数字です。このような数字で示さずにボール投げが得意になった、苦手になったと言ってみても、ただカンに頼って「調子が良い」、「調子が悪い」と言うのと変わりはありません。本当にボール投げが得意になったのか、得意になったとしたら、どのくらい得意になったのかといった「程度」をはっきりさせるには、それを数字で表すのが最も分かりやすいと言えます。成長して体力が向上しているはずなのにボール投げの記録が伸びないということなら、投げる技術に問題があるということであり、投げるフォームや投げるタイミングを見直したりして記録を上向かせる努力が必要になることでしょう。クラス全体のボール投げの記録があれば、自分の記録と比較することで自分のがんばり具合もはっきりと分かるはずです。
統計の数字は、きちんとした数量によって現在の状態をとらえたり、変化を見たりするために必要なのです。
一流選手であれば、仮に記録を見なかったとしても、自分を上手にコントロールできることでしょう。しかし、部活などで陸上競技や野球をしたりするみなさんは、個々の選手やチーム全体の記録あるいは打率(野球の試合でヒットを打つ確率)などの統計をとっておくと、ひとり一人の調子やチームとしての成績がよりよく分かります。それを参考にしながら、どのような練習やプレーをしたらもっと上達するか、もっと成績がよくなるのか、研究するのに役立ちます。

<みんなで考えてみよう>

暮らしの中にある統計の数字を見ながら、それがどのような意味を持っているのか、どのような実態を表しているのか、みんなで考えてみるとよいでしょう。

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「統計」、「データ」、「情報」は同じ意味なの?

「データ」と「統計」はどこが違う?

現代の社会は「情報化社会」と言われており、至るところにデータや情報があふれています。この「データ」や「情報」といった言葉は、「統計」ともよく似ているので、間違って使われることもあるようです。これらの言葉はそれぞれどのような意味で使われ、どのような違いがあるのでしょうか。
「データ」というのは、辞書によると「立論・計算の基礎となる、既知あるいは認容された事実・数値。資料。与件。」(「広辞苑」より)という意味だそうです。難しい説明のように思えますが、要するに、計算をするための「基になる数字の集まり」のことと考えればよいのです。
例えば、表1「いろは中学校1年A組の英語テストの成績」に含まれている20人分の点数は「データ」です。表1の「データ」を基にして計算することにより、平均点という「統計」が得られます。つまり、「データ」は「統計」を計算するための基になるものです。
なお、「データ」は必ず統計を計算するために用いられると決まっているわけではありません。「統計」を計算するためには基になる「データ」が必要ですが、「データ」があるからといって、それが必ず「統計」として表されているとは限りません。

「情報」は「統計」や「データ」とどこが違う?

さて、「情報」は、「統計」や「データ」とどこが違うのでしょうか?辞書(広辞苑)には、「情報」という言葉について二つの意味が書かれています。1番目の意味は「あることがらについてのしらせ」で、2番目の意味は「判断を下したり行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識」です。
1番目の意味の「情報」の例としては、「スパイからの情報」があります。これは、スパイが発見した事実(秘密!)についてのしらせです。2番目の意味の「情報」の例としては、「ガソリン価格の情報」があります。これは、ガソリンの価格が上がっているのか(下がっているのか)、どこの町のガソリン価格が安いのか(高いのか)といった「知識」を指します。この「情報」があれば、いつごろ、どこでガソリンを買ったら得になる(損になる)のかといった「判断」に役立ち、実際に買いに行くという「行動」の助けにもなります。
「情報」のうち「統計」や「データ」と似ていてまぎらわしいのは、2番目の意味のものです。「ガソリン価格の情報」を例として言えば、ある月のガソリン価格の平均値は、それだけであればただの数字ですが、その数字の動きを何か月も分析していくと、ガソリン価格が上がっているのか、下がっているのか、今後の見通しをどう考えたらよいか、といった「情報」が読みとれます。ガソリン価格が値上がりしている時には高くなる前に早めに買っておいたほうがよいでしょうし、逆に値下がりしている時にはもっと下がるまで待ったほうがよいでしょう。また、ガソリンの安い町が分かれば、そこに行ってガソリンを買うほうが得かもしれません。
このように、「判断を下したり行動を起こしたりするため」に必要な「知識」のことを「情報」と呼んでいます。「統計」の数字をひと目見ただけで判断を下すのは難しいですが、「統計」の数字をよく分析して、その背景にある事情などが分かれば判断を下すことができるでしょう。つまり、「統計」の数字があるだけでは「情報」とは言えませんが、それを分析して数字の意味を解釈して何らかの知識が得られたら、その知識が「情報」と呼ばれるものになります。「情報」には、「統計」や「データ」を分析して得られる数量的な(定量的な)「情報」ばかりではなく、ニュースや報告などを分析して得られる定性的な「情報」もあるので、「情報」という言葉のほうが「統計」や「データ」よりも広い意味を持っています。
学校の授業で「統計」を学ぶことの大きな目的の一つは、「統計」や「データ」を正しく的確に分析して、私たちそれぞれの判断や行動に役に立つ「情報」を導き出す力を養うことです。「統計」を学ぶことは、私たちの暮らしに大いに役に立つことなのです。

<みんなで考えてみよう>

身の回りにある数字について、それが「情報」、「統計」、「データ」のどれに当たるのかみんなで考えてみるとよいでしょう。同じ数字でも、見方によってどれに当てはまるかが変わることがあるかもしれません。また、実際の「統計」や「データ」を見て、それから役に立つどのような「情報」が得られるのか、といったことも考えてみましょう。

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中学校についての統計を見たことがありますか?

私たちの学校と日本全国の学校を統計で比べてみると?

私たちの学校と日本全国の学校を統計で比べてみると?
 自分のクラスに何人の人がいるかという数も「統計」の一種です。では、自分の学校全体だと、クラスの数がいくつあって、児童・生徒数は何人いるでしょう?これらの数字も「統計」です。
 みなさんの町(市・町・村)には中学校がいくつあり、クラス(学級)の数や生徒数はどうなっているのでしょう。日本全国ではどうでしょう。
これらの数字を総務省統計局日本統計年鑑(平成22年版)を使って調べると、次のようになっています。(http://www.stat.go.jp/data/nenkan/22.htm の22-4表より)

表2 全国の中学校の状況(中学校数、学級数、生徒数、平均生徒数)
年(西暦) 中学校数 学級数 生徒数(1000人) 1学級当たり平均生徒数(人)
1985 11,028 156,516 5,990 38.3
1995 11,194 137,075 4,570 33.3
2005 10,960 118,182 3,626 30.7
2008 10,839 119,933 3,592 30.0

1クラス(学級)当たりの生徒数は?

表2によると、2008年には日本全体に中学校は10,839校あり、クラス(学級)は11万9,933あり、中学生は359万2千人いることが分かります。
359万人というと、あまりに大きすぎて、どれくらいの大きさか想像がつきません。でも、これを1クラス当たりの平均の生徒数に直してみると、身近な大きさの数字になります。2008年の1クラス当たりの平均生徒数は、30.0人となっています。今のクラスは、これよりも大きいでしょうか、それとも小さいでしょうか?このように全国平均の数字があれば、自分のクラスの大きさを日本全体と比べることができます。
また、この表2の数字から、1985年から2008年までの20年余りの間に、日本の中学校の生徒数は599万人から359万2千人に減り、これにつれて1クラス当たりの生徒数も38.3人から30.0人へと大幅に減っていることが分かります。さて、今いる学校の1クラス当たりの生徒数は、10年前や20年前に比べて増えたでしょうか、減ったでしょうか?日本全国と同じような傾向があるでしょうか?
 このように、大きな数字を見る時には、例えば「1クラス当たり」のように目に見えやすい単位に合わせて割り算をしてみると、統計の数字をより身近なものとして見ることができます。

<みんなで考えてみよう>

表2の統計を使って日本全国の中学校1校当たりのクラス(学級)数を計算して、自分の学校が、全国平均に比べて大きいか、小さいかなどを考えてみるとよいでしょう。また、この数字が過去からどのように変化してきたか、また、この表からほかにどのようなことが分かるかなどについて考えてみましょう。

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日本にはどんな統計があるの?

どんな統計を知っていますか?

日本では、社会や経済の実態をとらえるために様々な統計が定期的に作られ、公表されています。そのような統計は、テレビや新聞のニュースなどで毎日のように報道されたり、社会科などの教科書や参考資料などで数字が引用されたりしています。
 教科書などでしばしば引用される主な統計には次のようなものがあります。これらは、毎年や5年に1回の周期で数字が公表されるものです。日本全体だけではなく、都道府県別、市区町村別など詳細な地域別の統計が得られるので、自分の住んでいる地域のことを調べるのにも利用することができます。

国勢調査:
5年ごとに日本全国と地域別の人口・世帯とその内訳を調べる。
工業統計調査:
毎年、日本全国と地域別の工業の従業者数、出荷額などを調べる。
商業統計:
5年で2回調査。日本全国と地域別の商業の従業者数、販売額などを調べる。
農林業センサス:
5年ごとに日本全国と地域別の農家などの就業状態、農業生産、販売などの状況を調べる。

また、次の統計は、小中学校の教科書などに引用されることはあまりありませんが、最新の経済情勢を示す統計として毎月公表され、テレビや新聞などでも報道されます。これらは、会社を経営する人だけでなく、社会で働く多くの人々が注目しています。

消費者物価指数:
私たちの購入する商品やサービスの物価の変化が分かります。
労働力調査:
日本中に何人の就業者や失業者がいるかが分かります。また、その内訳(男女、年齢別など)も分かります。
家計調査:
日本中の家庭の家計の収入・支出の状況が分かります。
鉱工業生産指数:
日本中の工場などでの生産高の動きが分かります。

以上は、日本の統計のほんの一部で、このほかにも様々な統計が公表されています。
 日本にどのような統計があるか調べるには、次の資料が便利です。

何のために国の統計があるの?

日本にある様々な統計は、何のために作られているのでしょう?国の統計には、いくつかの大切な役割があります。
 まず第一に、国民自身が自分の国の状態を正しく知るための役割です。私たちは、社会の一員として、日本の社会がどのような状態にあり、どのような方向に向かっているかを常に正しく知っておく必要があります。私たちの暮らし向きは社会全体の動きによって左右されますので、個人個人が社会の変化に対応してどのように行動したらよいか考えておく必要があります。
また、国の統計を見れば、人々の暮らしが豊かになっているのかどうか、お金や資源が効率的に使われているのかどうか、生活に困っている人がどれくらいの人数いるのか、など国民の暮らしの実態や経済社会全体の動きなどが分かります。国民が自分の暮らしを工夫したり、政治に参加したりする場合には、このような統計や情報が役に立ちます。
つまり、国民それぞれが国の状態を正しく知るためには、それを客観的な数字で示した統計が必要なのです。そこで、政府は、日本の国のことがだれにでも分かるように、国の状態を表す統計を作成して公表しています。
 第二に、国や地方の行政の運営を公平・公正に行う基準を与えるための役割です。国や地方公共団体は、国民、県民、市民などを対象にして様々な行政を行っています。その例としては、公共施設の整備、公共サービスの提供、補助金の給付などがよく知られていますが、それを公平に行うためには、正確で信頼できる統計が必要なのです。もしも統計がなかったとしたら、例えばどこに施設を建設するか、だれにどのようなサービスや補助金を提供するかなどといった重要なことが、それを担当する職員の個人的な勘や判断、これまでの慣習などで決められかねません。そのような決め方は公平・公正とは言えませんし、お金(税金)の使い方として効率的でもないでしょう。
 このような問題が起こることのないように、行政を行う上で多くの人が納得できる客観的な基準として、国が統計を作成しています。
 第三に、国際社会の中で日本の置かれた状況を正しく理解するための役割です。日本は、外交、貿易、人的交流など様々な形で国際社会と密接なつながりを持っています。日本の人々が今後も豊かな暮らしを続けていくためには、「世界の中の日本」がどのような状態にあるのか、理解しておくことが必要です。例えば、日本は世界の中で何番目の人口規模でしょう?どの国からどれだけ天然資源を輸入しているでしょう?どのような物をどれだけ輸出しているでしょう?地球温暖化ガスをどれだけ排出しているでしょう?日本が世界の国々とともに平和に発展していくために、自分の国のことを知ることは大切なことです。また、外国の人たちも、日本はどのような国なのか、どのように変化しているのかということを知りたがっています。世界の国々がお互いの状況を正しく知ることができれば、無用な誤解や衝突を避けることもできます。統計は、世界の共通語として、日本の国が世界の中で置かれている状況を示してくれるものです。

国の統計はどうやって作るの?

国の統計の作り方には、およそ3種類のものがあります。第一は、統計調査による方法です。第二は、官庁の持っている資料を集計する方法です。第三は、ほかの統計やデータを加工計算して推計する方法です。中でも特に重要なのは統計調査による方法ですので、ここでは第二、第三の方法は省略し、第一の方法について説明します。
 統計を作るためには、対象となる個人や世帯(家庭など、生計をともにして一緒に暮らしている人の集まり)に対して、同じ形にのっとってデータを提供してもらう必要があります。このため、一般には、まず「調査票」という統一的な形式の書類を作り、調査員が地域を巡回して対象となる世帯にこの調査票を配って回答を依頼します。調査票を受け取った世帯は、調査員からの説明や付属の資料など参考にして回答を調査票に記入して、それを調査員に提出します。
以上の例は、調査員が世帯を訪問して調査する方法ですが、このほかにも、郵送による調査方法や、新しいものではインターネットを利用したオンライン調査の方法もあります。
正確な統計を迅速に作るためには、調査員による調査が最も有効です。郵送による調査であれば、調査員の労力などは節約できますが、世帯の側で提出を忘れたり、提出が遅れたりすることが起こりやすくなります。調査票の提出の漏れや遅れがあると、統計が不正確になったり、公表時期が遅れたりして、統計の利用に差しさわりが出てきます。
みなさんの家庭(世帯)も、国の統計調査の対象となる場合があると思われます。調査票がみなさんの家庭に届けられた時には、それをよく見てみることで、統計調査がどのようなものか、実例としてよりよく理解することができます。
なお、統計調査がどのような手順で行われるかということについて、詳しくは「統計のできるまで」を参照してください。

国勢調査ってどんなもの?

国の統計調査の中で、国勢調査は最も基本となる調査として広く知られています。国勢調査では、日本の人口と世帯(家族など、生計をともにして一緒に暮らしている人の集まり)について最も信頼できる詳しい統計が作成されています。日本という国や地域社会の状況を正しく理解するためには、人口を正確に知ることが何よりも大切です。
また、人口の総数だけではなく、その詳しい内訳として、どの地域にどれだけの人々が住んでいるか、また、どのような仕事に就き、どのような家族や世帯を形作って暮らしているかといった実態についての情報も必要です。
そのような統計を得るために行われるのが国勢調査です。
国勢調査は世界の多くの国々で定期的に行われていますが、日本では5年ごとに行われています。調査は、西暦の末尾が0と5の年の10月1日を期して行われ、日本にふだん住んでいる人は日本人でも外国人でもすべて対象となります。平成27年(2015年)は国勢調査の行われる年であり、9月最後の約1週間の間に、すべての世帯に調査票が配布されます。この機会をとらえてみなさんの家庭に届く調査票を見てみると、国勢調査がどのようなものか実感できることでしょう。
前回の国勢調査は平成22年(2010年)に行われ、その結果によると、日本の総人口は1億2805万7352人でした。調査結果は、都道府県別、市区町村別、さらに細かい地域区分についての人口も公表されています。また、総人口だけではなく、男女別、年齢別、国籍別、家族構成別、配偶関係(結婚しているか未婚かなど)の別、職業別などいろいろな切り口でみた統計も公表されています。
 国勢調査の結果は、様々な法律の中で基準人口として用いられており、「法定人口」と呼ばれることがあります。例えば、地方公共団体の財政の格差を少なくすることを目的として国が地方公共団体に配分する「地方交付税交付金」の配分の基準には、国勢調査による人口が用いられています。また、衆議院議員選挙の選挙区を画定するときにも、国勢調査による人口を基準とすることとされています。
 国勢調査の結果は、日本社会の実情を分析し、将来のあり方を考えるためにも広く用いられています。最近、日本の社会は人口減少に転じたと見られていますが、そのような見方も、国勢調査の結果及びそれに基づいて推計された「推計人口」によって分析されたものです。また、日本の将来の人口の見通しを示す「将来人口推計」も、国勢調査の結果に基づいて推計されています。
国勢調査の結果は、現状の確認だけではなく、将来の日本社会の在り方を考え、対策を立案するためにも用いられています。このように、国勢調査の結果は、国でも地方公共団体でも、公平・公正な行政を行うためや、国や地域社会の将来像を考えるためなど、様々な目的で利用されています。 国勢調査の詳しい情報については、総務省統計局の国勢調査のサイトをご覧ください。

国勢調査には必ず答えなければいけないの?

国勢調査は、「統計法」という法律に基づいて行われるものです。統計法には、国勢調査に代表される国の重要な統計調査(法律上、「基幹統計調査」と呼ばれます。)については、調査の対象となる人に対して答える義務(報告義務)があると定められています。
 統計調査では、すべての人が漏れなく正確な回答を提出することによって、初めて正確な統計が作成できます。調査対象になった人が、仮に「回答するのが面倒だから」とか「自分一人くらい回答しなくても平気だろう」といった安易な気持ちで回答しない場合には、得られる統計は不正確なものになってしまいます。統計が不正確になれば、行政の判断に誤りや不公平が生じることになります。
 例えば、国勢調査の人口に基づいて、地方交付税交付金が国から地方公共団体に毎年支払われていますが、もしどこかの自治体で調査から漏れている人がいれば、その人数分だけ自治体が受け取る交付金が少なくなり、その地域の行政サービスが低下してしまうかもしれません。

国勢調査では個人の秘密は守られるの?

国勢調査など、「統計法」に基づいて行われる統計調査では、調査の対象となった個人や企業などの秘密は厳格に保護されます。統計法では、調査に携わる調査員や調査を行う総務省統計局などの統計機関の職員に秘密保護の義務を課しており、それに違反した場合の罰則も設けられています。
最近、日本では、振り込め詐欺などで個人情報が悪用される事件がしばしば発生することから、他人に個人情報を知らせることを不安に思う人が増えているようです。しかし、正確な統計を作るためには、統計調査の対象となったすべての人に漏れなく正しい回答を提出してもらう必要があります。そのためには、だれでも安心して回答できるよう、提出された個人情報を保護する万全の仕組みを設けることが必要です。このため、統計法では、個人の秘密をしっかりと保護した上で調査を行うことが規定されているのです。なお、個人に対する調査だけではなく、企業に対する調査の場合も、企業の秘密は統計法によって個人情報と同様にしっかりと保護されます。

<みんなで考えてみよう>

国勢調査では、どのようなことがらを調べているのでしょうか。また、調査票とはどのようなものでしょうか。国勢調査の結果として、どのような統計表やグラフが公表されているのでしょうか。みんなでインターネットを使って調べてみるとよいでしょう。

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統計はだれのもの?

みんなで作る統計、みんなで社会に活かす統計

国の統計は、国の統計機関(総務省統計局など)が作成していますが、これは一体だれのものだと言えばよいのでしょうか?国の統計機関は、通常、国の予算に基づいて、各省の大臣の名において統計調査を行います。ということは、統計は国のものということでしょうか?
ここで少し見方を変えてみると、統計の基になっているデータは、統計調査により日本中の個人や企業などから集められたものです。ということは、一人一人の個人や企業のものなのでしょうか?
このことは、社会の中で情報がどのようにめぐっているのか、次の図を見ながら考えるとよいでしょう。この図は、統計がどのように作成され、利用されているか、大まかに示したものです。(丸印の番号は、図の中の矢印に対応しています。)

  1. 統計の基になるデータは、国民、つまり個人や世帯や企業(一番上の枠)から統計機関(一番下の枠)に提供されます。
  2. 集められたデータは、統計機関において統計として集計・加工され、世帯や企業に提供されます。つまり、データは、秘密を守った上で、最終的には国民に戻されるという循環ができているのです。
  3. 統計データは、一般の世帯や個人にも利用されますが、中央の枠が示すように、統計を専門的に利用している人たちもたくさんいます。例えば、国や地方公共団体は、公平・公正で効率的な行政を行うために統計を利用しています。学界(大学・研究機関など)では、統計を使って研究を行っています。報道機関では、ニュース報道や論説などで統計を利用します。企業では、商品・サービスの企画や販売戦略を作るために統計を使います。海外の利用者は、日本の状況を理解するために統計を利用します。
  4. 統計を専門的に利用する人たちは、統計から得られた情報を基にして、国民に対してサービスなどを提供しています。例えば、国や地方公共団体は、統計に基づいて行政サービスを国民に提供します。学界では、統計を用いた研究成果を世に発表して、社会に役立つ提言などをします。報道機関はニュースや解説記事を通じて、国民に知識や情報を提供します。企業は、統計を用いて消費者のニーズをとらえ、消費者の求める商品・サービスを提供しています。
    このように、統計を利用して得られた結果は、政策、サービス、商品、情報などの形で最終的には国民に還元されるのです。

統計は国民の共通財産―統計情報は社会をめぐる

以上のように、統計情報は、ちょうど体の中を血液が循環するように、社会の中を循環しています。国民は、統計調査への回答を国の統計機関に提出し、国の統計機関は、それを統計に取りまとめて国民に還元しています。その統計は、多くの機関や企業、個人に活用されることを通じて、国民にとって豊かで暮らしやすい社会を作るのに役立てられます。
このように見ていくと、統計は社会の共有財産であることが分かります。
人によっては、統計調査に回答することを面倒に感じたり、自分の情報の取扱いについて不安を感じたりする場合もあるのではないかと思います。しかし、この図のように、統計は社会全体の協力によって作成され、社会の共通財産として活用されるものです。統計法では厳格な秘密保護の仕組みも設けられています。統計調査に対して漏れなく正確に回答することがひいては豊かで暮らしやすい社会につながっていくのです。
また、統計調査の結果として得られる統計については、国民一人一人がその見方・使い方をよく身に付け、自分たちの暮らしている社会の実情をよく理解することが必要です。
統計は、みんなで作るもの、みんなで社会に活かすものなのです。学校で「統計」について学ぶのは、私たち一人一人が様々な統計から役に立つ情報を導き出す力を身につけるためです。みんなで「統計」を学んで、様々な統計を上手に暮らしに活用しようではありませんか。

<みんなで考えてみよう>

日本にある様々な統計を活用するためには、統計についての用語や見方・使い方についてよく学ぶことが必要です。統計局ホームページの中にある「統計学習サイト」を入口として、自分の興味のある統計を見つけ、その見方などを自分で考えてみるとよいでしょう。