ローレンツ曲線

特徴

 ローレンツ曲線はある事象の集中の度合いを示す曲線で、所得や貯蓄の格差などを示す時に有効なグラフです。
 ローレンツ曲線は階級ごとに集計された数値を使用します。階級値の小さい方から順に並べ、横軸に、各階級の度数(人数など)を全体の度数で割った「相対度数」を累積して並べた累積相対度数をとり、縦軸に、階級値と度数を掛け合わせ、全体に占める割合を累積していった値(累積配分比率)をとります。
 中央の斜線は均等配分線といい、階級ごとの人数が同じになることなどにより、完全に均等に配分された場合を表しています。

ローレンツ曲線の作り方

 データを使用してローレンツ曲線を作成してみましょう。
① まず、横軸の累積相対度数を算出します。下図のように階級の小さい順に累積度数を作成します。
② 全体の度数で各階級の度数を割った累積相対度数を算出します。
 作成されたグラフが原点を通るよう、先頭に「0」の値を入れておくとよいでしょう。

表 累積相対度数の作成

累積相対度数の作成

 次に縦軸の累積配分比率を算出します。
①各階級の階級値(階級後の平均値などでも構いません。)を作成します。
②配分(階級値(所得)×度数(人))を算出します。
③配分を階級の小さい方から累積します。
④配分の合計値で各階級の累積配分を割ります。
⑤累積相対度数の値をコピーして均等配分線様のデータを作成しておきましょう。
 ※貼り付ける際は、範囲を選択後に右クリックして「値を貼りつける」をチェックして貼りつけます。

表 累積分配比率の作成

累積分配比率の作成

 データがそろったら、作図に入りましょう。
 「挿入」から散布図(線付き)を選択すると、グラフエリアが表示されますので右クリックして「データの選択」を選びます。

図 データの選択

データの選択

 表示された画面の「追加」を選び、「系列Xの値」に累積相対度数、「系列Yの値」に累積配分比率の値が入ったセルを選択し、「OK」を押します。必要であれば系列名も入れておきましょう。

図 系列の編集

系列の編集

 均等配分線は、「追加」から「系列Xの値」に累積相対度数を、「系列Yの値」に均等配分線の値を選択して下さい。
 最後に、「軸の書式設定」や「グラフツール」のレイアウト変更などの機能を使って、グラフの整備と必要な情報を追加して完成です。

図 ローレンツ曲線完成図

ローレンツ曲線完成図

※仮想のデータを使用しています。

ジニ係数

均等配分線と縦軸、横軸に取り囲まれた面積(下図A及びBの面積)のうち、均等配分線とローレンツ曲線に取り囲まれた面積(下図Aの面積)の割合をジニ係数といいます。

図 ジニ係数図示

ジニ係数図示

 ジニ係数は0から1までの値をとり、一般的にジニ係数が大きい場合は格差が大きく、ジニ係数が小さい場合は格差が小さいことを示します。

図 ジニ係数が0に近いローレンツ曲線

ジニ係数が0に近いローレンツ曲線

図 ジニ係数が1に近いローレンツ曲線

ジニ係数が1に近いローレンツ曲線