選挙区割りの見直し

 衆議院議員選挙の小選挙区の区割りは、10年ごとに見直されることが法律で規定されています。具体的には、衆議院選挙区画定審議会において、総務省統計局が実施している国勢調査(大規模調査)(※1)の結果の公表から1年以内に区割りの見直し案を勧告し、内閣総理大臣が審議会から区割りについての勧告を受けた後、国会において、公職選挙法を改正することにより区割りが見直されます。

 平成24年(2012年)総選挙までの区割りの見直しの方法(※2)は、まず小選挙区の定数300議席のうち、まず各都道府県に対して1議席ずつ配分します(1人別枠方式)。そして、残りの253議席を「ヘアー式最大剰余法(※3)」と呼ばれる方法を用いて各都道府県の人口に比例して配分されます。この際、各都道府県の人口について、国勢調査による結果(大規模調査)が用いられています。

衆議院議員選挙の小選挙区の区割り(平成24年総選挙まで)(イメージ)

衆議院議員選挙の小選挙区の区割り(平成24年総選挙まで)

 衆議院選挙の小選挙区の区割り以外にも、地方議会議員の選挙区なども国勢調査結果による人口を基に設定することになっており、国勢調査による結果は、民主主義の根幹である選挙にとって大変重要なものになっています。

(※1) 国勢調査(総務省統計局)は5年に1度行われており、西暦の末尾が0の年は、「大規模調査」、末尾が5の年は「簡易調査年」として調査されています。

(※2) 平成23年(2011年)の最高裁判所による、衆議院議員選挙における一票の格差に対する違憲状態判決によって、1人別枠方式について早急な見直しを迫られました。平成24年(2012年)の区割りの見直しでは、各選挙区間における人口格差を緊急に是正し、違憲状態を早急に解消することを目的に、定数3議席の県のうち、5県(山梨県、福井県、徳島県、高知県及び佐賀県)について、選挙区間での市郡の編入等を行い、定数が1議席ずつ減らされています(0増5減。衆議院議員小選挙区の総数は、300から295へ減少。)

(※3) ヘアー式最大剰余法は、まず全国の選挙区平均人口(ヘアー基数)を求め、各都道府県の人口をヘアー基数で割り、商と剰余(余り)を求めます。そして、各都道府県には商に相当する議席が第1次配分として配分され、残りの議席を余りの大きい都道府県の順に定数に達するまで第2次配分として議席が配分する方法です。

 

参考

諸外国における選挙区割りの見直し、国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 782(2013年4月4日)