調査に必要な対象者数

 世論調査とは、一般に、個人を対象として行われる大規模な意識調査のことをいい、国、地方自治体、大学、新聞社・通信社・放送局などの報道機関などに行っています。
 世論調査といえば、マスコミなどで行われている内閣支持率や政党支持率などの世論調査が思いつくかと思いますが、国や地方自治体などにおいても世論調査を行っています。
 国(内閣府)では、基本的な国民意識の動向や政府の重要施策に関する国民の意識を把握するために世論調査を実施しています。また、地方自治体においても、住民の行政に対する要望・意見などを把握したり、条例や計画立案の際の基礎資料とすることなどを目的に行われています。
 これらの調査では、調査対象の一部を調べることで調査対象全体を推測する「標本調査」という方法が使われています。標本調査の設計段階においては、調査対象となる集団(標本)を偏らないよう標本が全国の縮図になるように選ぶ方法や調査の対象者数などは、統計的な理論に基づき決められています。


 ここでは、簡単な例として単純無作為抽出(調査対象者を無作為に選出する方法)により支持率などの賛否を問う調査を行う場合について、調査対象者数の決め方を紹介したいと思います。
 ある高等学校において、「学校生活では、制服と私服のどちらがよいか」について、生徒の意識を調査するために、アンケート調査を行うとします。生徒人数が多いことから、全員について調査することはできないため、標本調査で調査をすることにしました。
 学校にある生徒名簿を利用して無作為(ランダム)に調査対象者を決めたとします。このとき、調査に必要な調査対象者数を計算します。

 式の導出過程は省きますが、このような賛否を問う調査で必要な調査対象者数は以下の式により算出できます。

必要な標本数の計算

 回答比率とは、支持率や保有率などの調査対象者の回答比率です。事前に他調査で同様な調査結果がある場合はその比率を用いますが、事前に参考となる結果がない場合は必要な調査対象者数が最大となる0.5を入れます。
 標本誤差には、調査結果で容認できる誤差を入れます。例えば、調査結果の誤差を3%ポイント程度に抑えたいという場合であれば、0.03を入れます。
 信頼水準とは、正しく判断できる確率をいいます。例えば、信頼水準95%であれば、母集団(この例では高等学校内の全生徒となります。)の支持率の平均値が95%の確率で「標本平均(調査から得られる結果)ー標本誤差×1.96〜標本平均+標本誤差×1.96」の範囲に入る可能性を意味しています(※)。

 ここでは、回答比率0.5、標本誤差は5%ポイント、信頼水準95%(λ=1.96)として必要とな調査対象者数を計算します。調査に必要な対象者数は、

回答比率0.5、標本誤差は5%ポイント、信頼水準95%(λ=1.96)として必要とな調査対象者数を計算

となります。よって、この調査では384人の調査対象者から回答が必要となるわけです。
 なお、実際は調査対象者の全員から回答が得られるとは限らないため、想定される回収率を踏まえて、計算で得られた調査対象者数より多めに対象者数を見積もっておく必要があります。

(※)
一般的に国などが行っている標本調査は、信頼水準95%(λ=1.96)として調査の設計がされています。


参考文献

  • 標本調査法入門、松井博、財団法人日本統計協会
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