同じ商品価格であっても、人によって高いと感じる人もいれば、安いと感じる人がいます。
企業が新商品の価格を決める際に価格を高く設定しすぎると、その商品は売れなくなってしまいます。逆に、低価格に設定しすぎると、消費者に品質の悪い商品ではないかと思われてしまい、かえって購入されない可能性があります。
このため、企業などでは消費者の商品に対する価格意識を調査することで、最も支持されやすい価格、どの範囲の価格帯が消費者に受け入れられるかを把握することが大切になっています。
このとき、商品価格を決める際に用いられるのが、PSM(Price Sensitivity Measurement)分析(価格感度測定法)という手法です。PSM分析は、消費者に対して新商品を提示して、どれくらいの価格であれば購入するかを聞き取り、消費者に受け入れられる価格などを明らかにするための調査・分析の手法(※1)です。
PSM分析では、まず消費者に対して対象となる商品を提示し、その商品の特徴などを説明した上で、以下の4つの質問をします。
ここで、新商品として販売を予定している商品Aについて、消費者に対して調査を行い、表1のとおり結果が得られたとします。なお、表1は、上に示した問1から問4までの質問に対する回答を累積度数割合で集計したものです。例えば、商品Aを高いと感じる人の割合は、2,500円で10%、3,000円で22%、3,500円では50%などと増加していくことがわかります。
1,500円 | 2,000円 | 2,500円 | 3,000円 | 3,500円 | 4,000円 | 4,500円 | 5,000円 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高いと感じる価格 | 0 | 0 | 10 | 22 | 50 | 75 | 93 | 100 |
安いと感じる価格 | 100 | 85 | 60 | 34 | 18 | 4 | 0 | 0 |
高すぎて買わない価格 | 0 | 0 | 0 | 10 | 18 | 32 | 78 | 100 |
安すぎて買わない価格 | 100 | 70 | 30 | 7 | 2 | 0 | 0 | 0 |
※表中のデータは架空のものです
表1をグラフにすると、図のとおりになります(※2)。
描かれた4本の線の交点の金額を求めることで、商品の適正価格帯などを把握することができます。例えば、「高すぎると感じる」と「安すぎると感じる」の交点は、消費者が望む理想的な価格と考えられ、最適価格といわれています(他の交点は、表2参照)。また、上限価格と下限価格の間の範囲は、受容価格帯といわれ、消費者に受け入れられる価格帯とされています。
交点等 | 意味 |
---|---|
最適価格 | 最も価格拒否感がないとみられる価格 |
妥協価格 | 高いと安いに評価が分かれる価格 |
上限価格 | これ以上高くなると、消費者に購入されなくなるとみられる価格 |
下限価格 | これ以上安くなると、消費者が「品質が悪いのではないかと不安になる」と感じる価格 |
受容価格帯 | 上限価格と下限価格の間 |
このように商品やサービスの価格は企業側の問題(商品のコストや利益)だけではなく、消費者に対する調査などから得られる消費者の価格に対する考え方(感じ方)も考慮した上で決められています。
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