保険料の算定

 ある個人について、その寿命や事故に遭う確率などを予測することは困難です。しかし、ある程度まとまった集団で考えた場合、亡くなる人の割合や事故などがどの程度起きるかを予測することができるようになります。このような考え方は、大数の法則(※1)と呼ばれています。
 保険会社では、この法則を前提として過去の統計データから得られた死亡率や事故の発生率などを基に生命保険や損害保険などの保険料を算定しています。

 生命保険について、保険料の算定の際に使われているのが生命表です。
 生命表とは、一定期間における性別や年齢別の集団の死亡状況を表にまとめたものです。生命表をみると、ある年齢の人が1年以内に死亡する確率(死亡率)や平均してあと何年生きられるかを知ることができます。
 生命表には、国民全体を対象として作成されている「完全生命表(厚生労働省)」や「簡易生命表(厚生労働省)」などがあります(※2)。
 完全生命表は、国勢調査(総務省統計局)などを基に5年ごとに作成しており、簡易生命表は、人口推計(総務省統計局)や人口動態統計(厚生労働省)を基に毎年作成されています(表1)。

表1 完全生命表と簡易生命表

 表2は、第20回完全生命表から死亡率について、一部抜粋したものです。例えば、18歳の死亡率の0.00043(=0.043%)は、18歳に達した人が19歳に達しないで死亡する確率を表しています。

表2性別、年齢別死亡率

 それでは、保険料の算出の簡単な例として、期間1年の死亡保険(保険加入者が死亡した場合に保険金が支払われる保険)の保険料を表2の完全生命表の死亡率(※3)を使って、算出してみたいと思います(ただし、会社の経費などは考えないものとします。)。
 表2をみると、18歳男性の死亡率は0.00043となっており、例えば10万人に対して1年間に43人が亡くなりうるということが分かります。

 ここで、保険加入者が10万人、死亡時に支払われる保険金が500万円の死亡保険を考える場合、必要な保険料は、


(保険金) × (想定される死亡者数) =(必要な保険料)
 500万円 ×     43人      =  2億1500万円


 2億1500万円となります。これを保険加入者(10万人)で割ると、保険加入者1人当たりの保険料は、

(必要な保険料) ÷ (保険加入者) = (保険加入者1人当たりの保険料)
 2億1500万円  ÷   10万人   =       2,150円

2,150円となります。

 保険料は死亡率などを基に算定しているため、仮に死亡率が上昇した場合、保険金の支払いの増加が予想され、保険会社は以前よりも保険料を高めに設定することが必要となります。このため、保険会社では死亡率の変化などに伴い、保険料の改定を行うことがあります。
 このように保険料の設定には、死亡率などの統計データが必要とされています。

 ちなみに、このような保険料の算定などは、「アクチュアリー(保険数理士)」と呼ばれる人たちが行っています。
 日本アクチュアリー会によれば、アクチュアリーとは、
 「確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う数理のプロフェショナル」、
 「確率論・統計学などの数理的な手法を活用して、主に保険や年金に関わる諸問題を解決し、財政の健全性の確保と精度の公正な運営に務めることを主な業務とする専門職」
 などとされています。
 アクチュアリーは主に保険会社や銀行などに所属し、保険や年金などの適正な保険料の算定、金融商品の開発などを行っています。

(※1)
大数の法則とは、個々では偶然と思われる事象でも、その事象を独立に繰り返していくと、ある一定の確率に近づくことをいいます。例えば、さいころを振ると毎回色々な目が出てくるようにみえますが、多くの回数を振ると、1〜6の各目は出る確率は6分の1に近づいていきます。保険では、各個人にとっては偶発的な事故であっても、ある一定規模の集団でみた場合、その発生率を全体として予測ができるということです。
(※2)
この他、生命保険会社の生命保険の加入者を対象として作成されている「生保標準生命表(日本アクチュアリー会)」があります。
(※3)
生命保険会社では「生保標準生命表」を参考にして保険料の算定を行っています。
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