調査票は、質問文などを順序よく体系的に並べた用紙、または小冊子などのことです。調査票のできで、その調査の成否が大きく左右されるといっても過言ではないでしょう。
 以下では、調査対象者が自ら記入するタイプの調査票(これを「自計式」と言います。逆に、調査員などが対象者から聞き取って記入する場合は「他計式」と言います。)の例を中心に説明します。

 まず、調査票の全体像をみてみましょう

調査票の全体像

※調査の概要や記入上の注意などは、調査票に入りきらない場合、「調査票の記入の仕方」などを別に用意し、そちらに記載してもいいでしょう。

調査項目の検討

 簡潔にして、的確な調査票を作成していくためには、どういったデータを取りたいのか、そのデータからどんな集計ができるのかを結果表をイメージしながら作成すると良いでしょう。

 例えば、公開講座の例で、職業別に受講したい講義を知りたい場合は以下のような結果表の情報が必要になると考えられます。

結果表例の表

 この表を見て、さらに職業別に年齢によって受講したい講座が異なるのではないかと考え、分析する必要があるとなった場合は、調査項目に年齢について聞く項目を追加していく、ということになります。この表はクロス集計表と呼ばれるものです。

 さらに、以下の表のように、各表と集計する項目の対応表を作成しておくと、クロス表が整理できて、調査項目や結果表を作成するのに便利です。

集計クロス表の整理表

質問文の作成

  1. 調査票全体の構成  
    • 調査項目は重複なく、漏れなく作成する。
       調査項目や質問文が不必要に長くなってしまうと、回答者の負担が増大し、最後まで回答してくれる回答者が少なくなってしまったり、調査の時間や費用が増加してしまいます。一方で、調査に必要な調査項目や、回答の選択肢が不足してしまうと、正しい情報は得られません。調査票は調査したい事項を的確かつ簡潔にまとめましょう。重複なく、漏れもない状態をMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)と言います。
    • 回答者にとって明確な言葉を使う
       あいまいな言葉は避けて、回答者にとって明確で分かりやすい言葉を使用しましょう。場合によっては、読みにくい漢字や名称をひらがなにするなどの工夫も必要となります。

  1. 質問の順番
    • 回答を誘導しないように気をつける
       例えば、「高齢化問題についてどう思いますか?」という質問の後に「今の政治に望む事は何ですか?」という質問をすると、普段は経済対策を第一にやって欲しいと考えていても、この時に限って「高齢化対策」や「年金対策」と回答してしまう場合があります。こういった誘導を悪用すると、調査実施者にとって都合のよい調査結果が導き出されてしまいます。
    • 関連する質問は可能な限り続けて行う
       関連する質問を並べることで、回答者がスムーズに回答できるようになります。
    • 回答しやすいものから順に聞いていく
       回答者にとって回答しにくい質問を先頭に持ってくると、回答者が調査票を一見しただけで、不安にさせてしまったり、調査に対する信用を失ってしまい、最後まで回答してもらえなくなってしまう場合があります。質問は回答者の立場に立ち、回答しやすいものから順に聞いていきましょう。

  2. 質問項目
    • あいまいな言葉は避ける
       例えば「最近、映画館に何回行きましたか」という質問において、「最近…」という言葉が指す期間は、人それぞれの感覚によって異なるため、調査結果が全く意味を持たないものとなってしまいます。この場合、「1か月以内で・・」というように期間をはっきり書きましょう。
    • 答えを誘導するような質問にしない
      質問に答えを誘導するような文章等が入っている場合、調査結果は本来の姿とは異なった結果になってしまいます。
      例えば、以下の2つの質問を見てください。
      • (1)「あなたは運動の時間を増やしたいと思いますか?」
      • (2)「近年の若い人は、運動不足から生活習慣病になり、入院したり、ある日突然死亡してしてしまうケースが増加していると言われていますが、今後、あなたは運動の時間を増やしていきたいと思いますか?」
    •  両方とも、「運動の時間を増やしたいですか」という内容の質問ですが、(2)の文章は質問の前に、運動不足に対する危機感をあおる文章が入っているため、調査結果に歪みが生じてしまいます。
    • 固定概念を思い起こさせる言葉は使わない
       「ゆとり教育」、などの固定概念を思い起こさせる用語を使用したり、形容詞などによって名詞を装飾すると、調査結果に偏りが生じてしまうことがあります。
    • 同一の質問項目に2つの質問を入れない
       一つの質問項目に複数の質問が含まれないようにしましょう。
       例えば「食料や生活用品を専門店で購入しますか?」という質問に対して、食料はスーパーで買うが、生活用品は専門店で買っているという人は「はい」と回答してよいか、「いいえ」と回答してよいのか分からなくなってしまいます。
    • 調査対象にとって理解しやすく、明確な言葉を使う
       調査票を見て回答するのは、言うまでもなく調査対象者です。調査対象者にとって分かりやすく、明確な言葉を使用しましょう。
    • 同じ言葉でも世代間や地域で意味が違ってくる言葉にも注意する
       流行言葉や地域によって意味が異なる言葉を使用すると、調査客体のとらえ方が異なり、正確な調査が行えなくなってまうので、注意しましょう。

 このように質問文を作成することは簡単ではなく、構成や表現によって答えが変わってきてしまうことがありますので、注意して作成しましょう。また、調査の結果をみるときは、どの様な調査票、または質問で調査したのかを確認するとよいでしょう。

 質問文のほかに、その調査の概要を示す部分が必要です。例えば、タイトル(図2.1.2の例では、「国勢調査 調査票」)、調査実施者名、実施日、調査の概要(目的、どのように利用するかなど)、記入上の注意(黒の鉛筆で記入して下さいなど)、さらに、調査票提出の際の注意などを表示します。調査の概要や記入上の注意などは、調査票に入りきらない場合、「調査票の記入の仕方」などを別に用意し、そちらに記載してもいいでしょう。

回答方式

 回答方法には色々な形式があります。前もって回答形式を用意してそれぞれにコード(番号)を割り当てておき、その中から選択してもらう選択式回答方法(プリコード回答方法)と、回答を自由に書いてもらう自由記述回答方法があります。

 調査の質問形式は、大きく分けて二つの方式があります。

  1. 選択的回答方式(選択方式)
     いくつかの回答形式を用意してそれぞれにコード(番号)を割り当てておき、その中から選択してもらう方式です。
    • 単一回答方法(SA:シングルアンサー)
        長所:集計が容易
        短所:回答が一つに絞れない場合は選択が難しい
    • 複数回答方法(MA:マルチプルアンサー)
        長所:より回答者の状況にあった回答が可能。
           回答間の相互関係をみることができる。
        短所:集計が複雑になる
  2. 自由回答方式
     回答者に自由に記述してもらう方式です。
    •   長所:回答者の詳細な状況が分かる
    •   短所:キーワードを含む回答をまとめるなど、集計に手間がかかる。

上記の他に選択回答方式と自由回答方式を併せた質問項目の設定もすることができます。

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