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統計Today No.135
「明治150年 統計の黎明とその歴史」(その2)
― 統計資料館における明治150年記念展示の開催 ―
総務省統計局統計利用推進課長 栗原 直樹
はじめに
統計資料館では、我が国の「統計」黎明期である明治の統計の歩みを振り返り、「統計」の意義と魅力を再発見する「明治150年記念展示」を10月から開催します。
我が国の近代統計の礎を築いた先人たちと統計の関わりについての資料や、貴重な統計史料の展示など、明治期以降の統計の歴史を直に感じることができる展示となっています。ここでは、これら展示のなかから、主なものについて紹介させていただきます。
[明治期の偉人と統計の関わりについての展示]
明治期の偉人である大隈重信、福澤諭吉、森鴎外、原敬、そして日本に統計を広めたパイオニアとしての杉亨二の五偉人を中心に、統計との関わりについて紹介したパネルを展示しています。
また、明治時代を中心とした統計の歩みをマンガで分かりやすく解説するコーナー(動画で見ることもできます)なども設けています。これらを通じて、明治期の偉人たちによる統計の発展への努力や統計との意外な関わりに気付くことができます。
また、以下のような貴重な統計史料を多数展示しています。
[日本政表]
我が国最初の総合統計書です。現在の「日本統計年鑑」の前身に当たり、1872年(明治5年)4月に「辛未政表(しんび せいひょう)」(明治4年の分)と題して刊行されました。以後、1873年(明治6年)に「壬申政表」(明治5年の分)、「明治6年政表」、「明治7年政表」として刊行され、1875年(明治8年)以降は、単に「日本政表」と題して、明治11年分まで刊行されました。
[甲斐國現在人別調(かいのくにげんざいにんべつしらべ)]
日本に統計を広めたパイオニアとしての杉亨二が太政官に在籍当時、我が国における国勢調査の実施に向けて、1879年(明治12年)に試験的に甲斐国(山梨県)で行った人口調査の結果表です。
この調査は明治前期において本格的な近代統計調査の手順を踏んで行われた調査として唯一のものでした。
[日本全國戸籍表]
本書は、明治4年の戸籍に関する太政官布告により、内務省戸籍寮が明治5年1月現在でまとめ、明治7年に刊行された我が国最古の戸籍表です。
内容は、戸数、人員のほか社寺数、皇・華・士族・平民の別、僧・神社・尼の別などに区分して収録されています。
[川口式電気集計機]
川口式電気集計機は、逓信省電信燈台用品製造所技師川口市太郎氏の研究・開発により作られた我が国初の統計集計機であり、当資料館が保有しているものは「明治37年人口動態統計調査」の一部集計用として明治38(1905)年に完成した試作機です。集計用に作製された穿孔(せんこう)カードを読み取り分類集計するもので、当時の情報処理技術レベルを知る上でも貴重な遺産※とされています。
指針は長針と短針からなり、長針は1回転100枚、短針は1回転10,000枚を示し、両針は一周すると零位に戻り、調査項目ごとの穿孔されたカード枚数をこの計盤から読み取ることができます。
※川口式電気集計機は、情報処理技術遺産に認定されています。
情報処理技術遺産とは、先人の努力の結晶である情報処理技術関連の歴史的文物を将来に永く保存し、次世代人に伝えることを目的に、一般社団法人情報処理学会が設けた認定制度です。 「川口式電気集計機」と「亀の子型穿孔機」(当資料館で展示中)は、同学会が制度発足後初めて認定した23件の情報処理技術遺産のうちの1件として、平成21年3月2日(月曜日)に認定されています。
おわりに
今回は展示のなかから、一部を紹介いたしましたが、このほかにも明治期の各種史料や第一回国勢調査に関する資料・調査実施の記念品など数多くの統計史料を展示しています。この機会に統計資料館で統計の歴史を直に感じてみてください。
統計資料館は、どなたでもご覧いただけますので、是非お立ち寄りください。
<統計資料館(総務省第2庁舎敷地内)>
詳しくは、統計資料館ホームページから
(平成30年10月1日)
の項目は、政府統計の総合窓口「e-Stat」掲載の統計表です。