日本の統計の中核機関

  • ご意見・お問合せ
  • サイトマップ
  • 文字サイズ等の変更
  • English

ホーム > インフォメーション > 広報資料 > 統計Today 一覧 > 統計Today No.116

ここから本文です。

統計Today No.116

価格高騰時の消費者行動を探る
〜家計調査 数量集計結果の一歩踏み込んだ活用例〜

総務省統計局統計調査部 消費統計課調査官  佐藤  朋彦


1 はじめに

電子秤の写真。 昨年(2016年)は夏の天候不順により秋に販売された生鮮野菜の価格が急騰し、家計消費全体の動きにも影響を及ぼしました。そこで、この時に世帯(消費者)がとった購買行動について、「レタス」を例に家計調査の数量集計結果を活用して見てみることにしましょう。
 家計調査では、調査開始の1か月目に購入した生鮮野菜や生鮮果物などの重さを電子秤(はかり)(右の写真)を使って計量し、家計簿に記帳することとしています。しかし、重量データの調査は調査世帯にとって負担が大きいと言われており、調査の必要性や有用性について、しばしば議論されることがあります。ここではその重量データを使った消費分析の一例を御紹介します。

2 レタスの小売価格は2016年10月は54.5%上昇、世帯の購入量は35.0%減

 歯切れが良い瑞々(みずみず)しいレタスは、食卓に並ぶサラダの中心的な野菜です。1年を通して購入できる代表的な野菜でもありますが、春と秋はレタスが旬の季節と言われています。
 最初に、消費者物価指数から「レタス」の価格指数(2015年=100)を見ると、2016年10月は216.1で、1年前(139.9)に比べて54.5%も上昇しました。(図1)


図1 レタスの価格指数

2015年と2016年のレタスの価格指数を示したグラフ。2016年10月は、前年同月に比べて54.5%上昇している。

                                                              資料:消費者物価指数


 一方、家計調査の結果を見ると、2016年10月の購入量は281gで、1年前(432g)に比べて35.0%減少しています。
 なお、2016年10月の支出金額は1世帯当たり239円で、1年前(245円)に比べて2.4%しか減少していません。(表1)
 しかし、支出金額の変化分(2.4%減)から価格上昇分(54.5%)を除いた実質での変化率を計算すると36.8%減となり、購入量の減少幅(35.0%減)とほぼ同程度となります。
 また、支出金額(239円)を購入量(281g)で除して得られる世帯の平均購入価格は100g当たり85.2円で、1年前(56.8円)に比べて50.0%高くなっています。これをレタスの標準的な大きさでもある1玉300gの大きさに換算すると、2016年10月の購入価格は255円で、1年前(170円)に比べて1玉当たりの価格が85円高いレタスを購入したことになります。(図2、3)


表1 レタスの1世帯当たり1か月間の支出金額、購入量等

2016年10月と2015年10月のレタスの1か月当たり1か月間の購入金額、購入量等を示した表。2016年10月は前年同月に比べて支出金額が2.4%しか減少していないが、購入量は35%減少している。


                            図2 レタスの1世帯当たりの購入量                                                図3 レタスの平均購入価格

図2は、1世帯当たりのレタスの購入量を示したグラフ。図3は、レタスの平均購入価格を示したグラフ。


3 半玉の商品など1購入当たりの量を減らした世帯が増加

 上記2で示した内容までですと、レタスのような商品の場合、購入量の変化率(35.0%減)は実質増減率(36.8%減)と同程度となることから、実質増減率を求めれば、購入量の変化率はおおよそ見当が付くことになります。
 そこで、同じ集計表の中にある「購入世帯数(10,000分比)」と「購入頻度(100世帯当たり)」のデータも使って、もう少し深く探ってみることにしましょう。
 2016年10月の購入世帯数(10,000分比)は5,094世帯で、1年前(5,947世帯)に比べて853世帯少なくなっています。この結果を見ると、やはり価格が急騰したことでレタスの購入を控えた世帯の割合が増えたことが分かります。
 次に、「レタスを購入した世帯」の状況を把握するため、購入頻度を購入世帯数で除した値を計算してみることにします。その結果を見ると、購入頻度(100世帯当たり)は234回で、1年前(235回)とほとんど変わっていません。しかし、購入量を購入頻度で除した1購入の購入量は236gで、1年前がほぼ1玉に相当する309gだったのに対して23.5%減少しています。(表2、図4)
 この結果から、実際にレタスを購入した世帯では、月内にレタスを購入した回数(頻度)は1年前と変わらなかったものの、1玉で購入するのはちょっと価格が高すぎるため、半分等に割った品を購入した世帯がかなりあったことが分かります。

表2 レタスを購入した世帯1世帯当たり1か月間の購入量等

2016年10月と2015年10月のレタスを購入した世帯1世帯当たり1か月間の購入量等を示したグラフ。


図4 レタスの1購入当たりの購入量

2016年と2015年のレタス1購入当たりの購入量を示したグラフ。


 仮にレタスの販売が1玉300gと半玉(150g)の2種類だったとして、レタスの購入がそれぞれどの程度であったかを次式により簡易的に計算してみると、43%が半玉のレタスを購入したことになります。
          236 = 150 x + 300 (1‐x)
             x = 0.43

4 おわりに

 上記3で示した計算結果は、通常のレタス1玉の大きさを300gとし、1玉とその半分の150gの品の2種類しか存在しないと仮定した計算であり、厳密なものではありませんが、レタスが高騰した2016年10月の消費者の購買の様子をうかがうことができ、一歩踏み込んだ重量データの活用と言えるのではないかと思います。
 なお、同じ方法で他の品目についても見ることができます。例えば、米の1購入当たりの購入量について見てみると、世帯規模が小さくなったこともあり、30年前の1985年は11.6kgでしたが、直近の2015年は7.8kgと3割以上減少していることが分かります。(表3)
 家計調査で調査している重量データによって、1世帯当たりの購入量や購入単価の変化だけでなく、このように1購入当たりの購入量を分析することができ、より深い消費行動等の把握ができますので、是非御活用ください。

表3 米の1購入当たりの購入量比較

2015年と1985年の米の1購入当たりの購入量を比較した表。2015年は、1985年に比べて支出金額が-69.5%、購入量が-55.8%などとなっている。

                        (注) 1985年の「1か月当たり平均の購入世帯数(10,000分比)」は上位項目の米類の値


(平成29年1月25日)


バック ホーム

ページの先頭へ戻る