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統計Today No.78

「経済の国勢調査」〜経済センサス‐活動調査結果から見えること

総務省統計局統計調査部経済統計課長 栗田 奈央子


「経済センサス」と「経済センサス‐活動調査」

 「経済センサス」は、我が国の包括的な産業構造を明らかにするために新たに創設した調査です。センサスという言葉はしっ皆(全数)という意味であり、事業所・企業の全数調査(注)として位置付けられる「経済の国勢調査」ともいえるものです。従業者規模等の基本的構造の把握に重点を置いた「経済センサス‐基礎調査」と、経理事項等の経済活動状況の把握に重点を置いた「経済センサス‐活動調査」の二つから成り立っており、それぞれ平成21年7月、24年2月に初めて実施しています。

(注)農業・林業・漁業に属する個人経営の事業所、外国公務に属する事業所などは調査対象外としていますが、こうした一部を除き、全国の全ての事業所・企業を調査対象としています。

 本稿では、「経済センサス‐活動調査」の結果から見えることを、いくつか具体例を挙げながら御紹介します。


日本の経済力が見える

 「経済センサス」が創設されるまでは、産業分野ごとに異なる年次や周期で統計調査が実施されており、我が国の産業構造の全体を同一時点で捉える統計はありませんでした。「経済センサス‐活動調査」で全数調査として初めて産業横断的に経理項目等を調査することにより、我が国の全ての事業所・企業の経済活動の総体を捉えることができ、まさに「日本の経済力」を詳細に知ることができるようになったのです。
 平成24年の調査結果によると、平成23年1年間の我が国の事業所・企業の「売上(収入)金額」(以下「売上高」という。)は1336兆円、「付加価値額」は245兆円となりました。
 ここで「付加価値額」とは、売上高から原材料費や仕入費などを除いた額で、我が国の「企業の経済活動によって新たに生み出された価値」の総額ということになります。この「付加価値額」は全数調査で実際に調査した経理項目から求めた計数であり、「日本の経済力」を表わす重要な統計値の一つであるといえます。
 産業大分類別に「付加価値額」を見ていくと、「製造業」が56兆円と最も大きく、次いで「卸売業,小売業」が45兆円などとなっています。また、「付加価値率」についてみると、「教育,学習支援業」(47.4%)、「学術研究,専門・技術サービス業」(37.0%)、「宿泊業,飲食サービス業」(36.9%)などが高くなっています(図表1)。


 図表1 産業大分類別売上高、付加価値額及び付加価値率

図表1 産業大分類別売上高、付加価値額及び付加価値率


 産業別の「付加価値額」は売上高が大きい「製造業」と「卸売業,小売業」が大きくなっています。他方、「付加価値率」はこれらの産業よりも前述のサービス業などの方が相対的に高い水準となっています。これは、産業の経済活動の構造上、「製造業」や「卸売業,小売業」では費用総額のうち原材料費や仕入費などの割合が相対的に大きいのに対して、前述のサービス業などは費用総額のうち給与総額の割合が相対的に大きいことなどによるものと考えられます(なお、計算上、給与総額は付加価値額に算入されます。)。このように、「付加価値額」によって各産業の我が国における経済活動の大きさを、「付加価値率」からは各産業の経済活動の特性などを見ることができます。


企業の事業活動が見える

 経済活動状況の把握に重点を置いた「経済センサス‐活動調査」では、全数調査としては初めて事業活動別の売上高も調査しています。企業は、必ずしも一つの事業活動だけでなく複数の事業を展開している場合がありますが、これらを調査することにより、企業の主業による分類から、更にそれぞれの企業産業においてどのような事業活動がどの程度行われているかを見ることができるようになりました。
 平成24年の調査結果によると、主業の売上高比率が60.9%と低い「宿泊業」では、主業以外の売上高の52.8%が飲食サービスの提供によるものとなっています(図2)。これについては、ホテルなどの宿泊施設でレストランを併設して営業しているケースなどが考えられます。


図2 宿泊業における事業活動別売上高の構成比

図2 宿泊業における事業活動別売上高の構成比


地域の産業が見える

 「経済センサス‐活動調査」では全国の全ての地域において農林漁家等を除く全ての事業所・企業を調査しています。これにより、都道府県や市区町村などの地域の産業別の詳細な状況を明らかにすることができるようになりました。
 平成24年の調査結果によると、産業別にみた都道府県別の売上高は、「製造業」では愛知県が最も大きく、2番目が神奈川県になっているほか、茨城県と三重県が上位に入っています。「小売業」では、東京都が最も大きく、2番目が大阪府で、北海道と福岡県が上位に入ります。「宿泊業」では、1番目と2番目は小売業と同じ東京都と大阪府ですが、長野県と京都府が上位に入ってきています(表2)。このように、経済規模の大きい都道府県が各産業の売上高上位を占める一方で、各地域の産業にそれぞれの特色があることも見ることができます。


表2 産業別にみた都道府県別売上高(上位10都道府県)

表2 産業別にみた都道府県別売上高(上位10都道府県)


次回の調査に向けて

 以上に御紹介したように、「経済センサス‐活動調査」が実施されて、我が国の全ての事業所・企業の経済活動の総体が捉えられるようになったほか、企業の事業活動別の状況や地域の産業別の詳細な状況などが分かるようになりました。経営者の皆様には、業界の実態を把握し今後の経営戦略にいかしていただけますし、成長戦略を始めとした国の施策や、産業立地、商店街・中心市街地の活性化、中小企業振興などの地元の産業政策をより的確に行うことにも役立てられます。本調査が実施された意義は、大変大きいものと考えられます。
 次回の調査は平成28年の実施を予定しています。本調査が産業横断的に経理事項等を把握する全数調査であることの意義を踏まえつつ、企業規模等に配慮して調査票の記入負担を軽減するほか、オンライン調査の環境をより使いやすく整備するなど、全ての事業所・企業の皆様が御回答いただきやすいような工夫をしていきたいと考えております。皆様には今後とも「経済センサス」への御回答、御支援を何卒よろしくお願い申し上げます。


 (平成24年経済センサス‐活動調査の結果についてはこちら(http://www.stat.go.jp/data/e-census/2012/kakuho/gaiyo.htm)を併せて御覧ください。)


(平成26年5月28日)


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