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統計Today No.43
国際連合アジア太平洋統計研修所における
「第2回ミレニアム開発目標の達成支援のための官庁統計の作成及び整備コース」開講式について
総務省政策統括官(統計基準担当)付国際統計管理官 木村 俊介
本稿では、去る2011年8月22日に当省の逢坂誠二総務大臣政務官(当時)御出席の下に行われた国際連合アジア太平洋統計研修所(SIAP)の「第2回ミレニアム開発目標の達成支援のための官庁統計の作成及び整備コース」(MDGコース)開講式の状況について紹介します。
はじめに
SIAP(ダバスーレン・チュルテムジャム所長)は、アジア太平洋地域の開発途上国の政府統計職員に対する研修実施を目的として、我が国の招請により1970年(昭和45年)に設立された国連唯一の統計研修機関です。設立以来41年にわたり、国際連合アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)加盟国を主な対象としグローバルな研修事業を展開しており、今までに127か国、延べ12,450人(平成23年3月末時点)の卒業生を輩出し、卒業生は各国の国家統計局幹部として第一線で活躍しています。我が国は、SIAPの重要性に鑑み、国連との協定に基づき、その設立以来、招請国として、現金寄与(平成23年度約1.5億円)や、施設・設備の整備等(同約1億円)を通じた支援に最大限努めているところです。
MDGコース
本コースは、統計調査手法、経済統計、社会統計等を習得する長期コースであり、SIAPと国際協力機構(JICA)の共催により行われる事業です。その前身となるコースを含めて40年にわたる実績を持つコースですが、今回は、本年3月の東日本大震災後という状況にもかかわらず、例年の参加規模を上回る14か国、30名の政府統計職員が参加することとなり、4か月にわたり腰を据えて日本国内で研修を受講することとなります。今回の参加国は、バングラデシュ、カンボジア、インド、ラオス、ミクロネシア、モンゴル、パキスタン、フィリピン、サモア、東ティモールのESCAP諸国のほか、エチオピア、レソト、タンザニア、ザンビアのアフリカ諸国により構成されています。今回の参加国を見ても、ESCAP地域にとどまらず各地から研修生を迎えており、SIAPがグローバルな事業展開を実施していることが分かります。
開講式
本コースの開講式は、去る8月22日(月)に千葉市美浜区にあるSIAPにおいて行われました。開講式には男性23名、女性7名から成る計30名の研修生のほか、5か国の大使・公使を含めた6か国の駐日代表の参加を得て、国際色豊かな雰囲気の下で挙行されました。総務省は、招請国である我が国においてSIAPへの支援を担当する行政機関であり、今回の開講式には、総務省代表として逢坂誠二総務大臣政務官に御出席いただきました。逢坂政務官は、御挨拶の中で、震災時の各国からの支援に深い謝意を示されるとともに、今回の震災において、総務省は、被害状況の把握や復興の一助とするため、津波により浸水した地区や人口に関して有している情報を関係機関に提供するなど、公的統計を被災地の復旧復興、被災住民の生活の改善にいかすよう取り組んでいることを紹介され、このような公的統計を国際社会の中で一層発展させていく必要性を強く提唱されました。また、「同じ釜の飯」を食しながら、一緒に研修し相互理解を深めることが有意義であることも強調されました。さらに、昨年度に40周年を迎え、本年度から50周年という大きな区切りの年に向けてグローバルな事業展開を図っているSIAPに対し、政府の厳しい財政状況の中にあっても、総務省として最大限の支援を行っていくことを表明されました。
開講式におけるダバスーレン・チュルテムジャム所長の式辞
開講式における逢坂誠二政務官の挨拶
研修生との交流
開講式後の研修生との交流会において、研修生、逢坂政務官を始めとする総務省等関係者、国際連合スタッフ等との間で意見交換が行われました。研修生からは、統計技術をしっかり学ぶことと併せて、各地を訪れ、日本の文化に接したい、研修を通じて多くの仲間を作りたい等の様々な抱負が語られました。
交流会のオープニング
交流会での意見交換
おわりに
世界各地から集まった各国の将来の統計機関を担う人材が、我が国において「同じ釜の飯」を食しながら統計技術を学ぶことを通じ、公的統計の国際的な発展に寄与し、更には諸外国と我が国の相互理解を深めてもらうことをSIAP招請国である日本国関係者として心より願っています。
(平成23年9月6日)