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最近実施した統計から |
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![]() 獨協大学経済学部 助教授 阿部 正浩(あべ まさひろ) 労働力調査といえば、毎月1回の失業率の公表が有名です。「総務省が29日発表した○月の完全失業率(季節調整値)は4.5%となり、前月比で0.3ポイント上昇した…」というあれです。ですから、多くの人が、労働力調査は失業率を調べるためにあると思っていることでしょう。もちろん失業率は経済・社会指標として最も重要な指標ではありますが、労働力調査を失業率把握のためだけに利用するのは実にもったいないことです。 ところで、最近は労働力調査の使い方も幅が広がっており、これまであまり注目されなかった指標が脚光を浴びています。その代表がニートです。平成16年版労働経済白書によれば、2004年平均で全国に約52万人のニート(男女計、ただし白書では「若年無業者」と呼んでいる。)が存在していると推計しています。これは非労働力人口に注目した指標で、就業者や失業者などと違って従来は注目されなかった指標です。 非労働力人口がこれまで注目されなかったのは、「働くつもりがない」あるいは「働けない」人々だからであり、労働市場から引退や退出した人々だと考えられていたからです。しかし最近の研究は、非労働力人口の中には労働市場での様々な経験によりエンプロイアビリティを欠如させ、働く気がなくなったり働けなくなったりしている人が少なからずいることを明らかにしました。むしろ、非労働力人口は労働市場と大きく関わりがあるのです。 実は、非労働力人口の動向については、女性の失業率変動との関連で過去いろいろと研究されてきました。女性の失業率は平均失業率が高まる時期に男性よりも低くなることが観察されており、これを労働意欲喪失効果と呼んできました。しかし、バブル経済崩壊後の1993年から98年までの時期だけは、女性の失業率が男性よりも高く、労働意欲喪失効果で説明できない状況が続きました。その後は男性と女性の失業率は逆転しますが、労働意欲喪失効果だけでは説明できません。バブル崩壊後の女性の労働力供給は謎に満ちているのです。なかでも、いわゆる専業主婦と呼ばれることの多い、既婚の無業女性の行動に筆者は注目しています。 専業主婦の中には専業主婦をやりたくてやっているわけではない人が少なからずいます。育児や介護、あるいは家事のため、夫や家族がそれらを手助けすることが難しい状況にあるので、やむなく仕事を辞めて専業で主婦を行っているケースが多くあります。実際、専業主婦の3人に1人が就業を希望しており、うち5人に2人は実際に職探しをしているようです。 最近、企業は女性の積極的活用や仕事と家庭の両立政策などを積極的に行うことが重要だと考えるようになってきました。しかし、再雇用制度まで充実させている企業はまだ少ない状況です。専業主婦になった既婚女性の多くは、以前に働いていた経験があるのだから教育訓練次第では大いに戦力になるはずです。専業主婦の就業希望や職探しがどうなっているのか、教育訓練の効果はあるのかないのか、労働力調査でいろいろと分析できますし、これからの労働市場政策にとっても非常に重要な視点です。 もちろん、専業主婦問題以外にも労働力調査は利用できるでしょう。皆さんも労働力調査の新しい使い方を考えてみたらいかがでしょうか。
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