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ゼミナール編(1) 〜データ利活用の進め方

1時限目 データ利活用の進め方
〜 実例で見るPPDACサイクル 〜

C(conclusion、結論)分析結果の考察・結論

最後のフェーズであるC(結論)では、以下の3つの手順が基本となります。

1 分析結果を解釈する。
2 最初の仮説に対して判断する。
3 問題の解決策を提案する。
※新たな問題が発見されたら、次の PPDACサイクル へとつなぐ。

結論は明確にし、わかりやすくまとめ、誰もがわかる表現をめざします。
最初のP(問題)に立ち返り、C(結論)がP(問題)に対応しているかも確かめましょう。

さらに、EBPM推進においては、この結論フェーズで強く意識したいことがあります。それは、もうひとつの「C」、コミュニケーションです。

つまり、結論をだすためのアイデア出しやディスカッション、他部門の意見の傾聴、結論を伝えていくための手法、住民とのコミュニケーション等、結論づけで終わりではなく、施策改善や政策立案等、次のステップへつなげるために、もうひとつのC、コミュニケーションをこの時点で意識すると、よりよいEBPMにつながるはずです。

滋賀県の実践例

1 分析結果

滋賀県は6要因に対し、いずれも全国と比較すると平均的な水準ですが、保育所定員比率の増加、女性正規雇用者割合の増加、性別役割分担意識の改善があれば、30歳代有配偶女性の労働力率をアップできると推察されました。

滋賀県の30歳代有配偶女性の労働力率の要因
(都道府県データに基づく全国平均との比較)

プラス要因(労働力率向上に影響)
  • 「男性年間賃金」の低さ
  • 「三世代同居割合」の高さ
  • 「女性「家事+育児」時間」の短さ
マイナス要因
  • 「保育所定員比率」の低さ
  • 「女性正規雇用者割合」の低さ

※「性別役割分担意識割合」は全国平均と同値。

2 解決策の提案 〜 次の行動へ

分析結果により、滋賀県では次の2事業が予算化されました。

【1】理科系女子等進路選択応援事業(啓発・広報事業)

(事業内容)
主要因の1つである「性別役割分担意識」の解消について、中高生の時から意識の浸透や自由な進路選択ができるように、保護者や教員も含めて性別役割分担意識の払拭を図る。
また、別の主要因である「女性正規雇用者割合」の向上については、科学技術などの専門分野に携わる女性を増やすことにより正規雇用者の促進、指導的立場への女性の参画を促す。

【2】滋賀の女性を応援するトップ会議事業

(事業内容)
主要因の1つである「女性正規雇用者割合」の向上のため、企業トップの意識改革を促し、組織の活性化には女性活躍が重要な柱であることから、女性が正規雇用者として働き続けることができる環境づくりを進める。

最後に、この「EBPMモデル研究事業」の原課である滋賀県女性活躍推進課の担当者にお話を伺いました。

Q&A ここが聞きたい
Q その後の効果や状況など教えていただけますか?
A 全国データとの比較により、本県の特徴が明確になり、施策の必要性等やその効果について説明がしやすくなりました。今後は、男女共同参画審議会における報告や次期男女共同参画計画の立案などに役立てていきたいと思います。
Q 本事業一連の流れの中で、大変だったところはどこでしょうか?
A どのようなデータが要因分析に有効であるかなど、データの収集や選択が非常に重要であることを痛感しました。特にその中でもデータ収集が難しく、データ収集や分析において、データ分析の専門家だけでなく、男女共同参画や女性活躍に関する知見を持った専門家など、当該分野の専門家の意見を聴く機会の必要性を感じました。
Q PPDACサイクルを通じて得た知見などありましたら教えてください。
A 分析の方法、特にブレインストーミングを経て、ロジックツリーを作成していく過程は有用であり、今後も使える手法だと思います。また、PPDACサイクルは、参加者全体でプロセスを把握し、各段階における作業の明確化などに役立ちました。

ここがポイント!

  1. 結論は明確に。
  2. 次のPPDACサイクルへつなげる。
  3. もうひとつのC、コミュニケーションも忘れずに。
  • 次は、いよいよ2時限目「データ利活用演習」です!

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