ここから本文です。

官民ビッグデータを活用したEBPM推進

群馬県 前橋市役所 政策部 未来の芽創造課

群馬県前橋市 行政運営 公的統計データ 民間データ

「官民ビッグデータを活用したEBPM推進」サムネイル画像

概要

 庁内ヒアリングを通じて、EBPM*1の社会実装に向けた課題を集約し対応策を検討しました。また、モデルケースを設定し、産学官が保有する情報や技術を組み合わせて可視化・分析し、EBPMの機会を創出しました。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 −

受賞

取組の流れ

  • PPDAC-problemアイコン画像

    人口減・高齢化社会で、スマートな自治体運営が求められている

  • PPDAC-planアイコン画像

    産官学連携と庁内へのアンケートで重点課題を選定

  • PPDAC-dataアイコン画像

    市のクローズドデータも活用

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    官民のデータを活用して実態把握

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    地域課題を同じ目線で認識し、スマートな自治体運営へ

ヒアリング・ここが知りたい!

どのような課題がありましたか?

人口減・高齢化に対して、スマートな自治体運営を

 群馬県の県庁所在地である前橋市は、大規模病院が集積した医療都市、市内6大学の連携が進んだ教育都市でもある一方、他都市同様、人口減少・高齢化問題が顕在化してきています。
 それに伴い、中心市街地の衰退や遊休不動産の増加、公共交通の整備など、地域に起きる様々な課題が相互に関係し複雑化する中で、従来の KKO(勘、経験、思い込み)に左右される自治体運営は限界を迎えつつあります。
 そのため今後は多岐にわたる関係プレーヤー間でデータなどの定量的な根拠に基づいて政策を立案する。これまでよりもスマートな自治体運営、地域経営が不可欠であると考えるに至りました。

エビデンス(データ)収集のために、どのような計画を立てましたか?

産官学連携と庁内へのアンケートを実施

市街地と赤城山

 EBPMの推進にあたり、東京大学空間情報科学研究センター、帝国データバンク、三菱総合研究所と連携協定を締結しました(平成29年11月)。また、前橋市役所内各課へアンケートをとり、データを活用して解決したい地域課題について案を募りました。
 各課へのヒアリングを重ね、10件を超える案が固まり、その中からまずは3つ(「赤城山の人流分析」「中心市街地の人流分析」「中心市街地の空き家推計」)のモデルケースを設定し、データ収集を行いました。

データの収集はどのように行いましたか?

携帯電話のGPSや住民基本台帳、水道使用量なども活用

 3つのテーマに対して、それぞれ次の通り必要なデータを収集しました。赤城山の人流分析については、携帯電話のGPSデータから、中心市街地の人流分析については、群馬県パーソントリップ調査データから取りました。
 また、中心市街地の空き家推計については、住民基本台帳データ、固定資産税台帳データ、水道使用量データから収集しました(市が保有する行政データのうち個人情報を含むものは、前橋市個人情報保護審査会による審査を経たうえで目的外利用を実施)。
(活用した統計データ:群馬県パーソントリップ調査データ、住民基本台帳データ、固定資産税台帳データ、水道使用量データ、携帯電話のGPSデータ)

どのような分析を行いましたか?

GPSで移動経路を把握、市が保有するクローズドデータから空き家推計

 赤城山の人流分析については、GPSデータから、いつ・どこから赤城山に訪問者が訪れているのかなどを分析しました。分析前は、「赤城山に来た人は山頂に行っている」という思い込みがあったのですが、全訪問者の約75%は赤城山南麓エリアに訪れていることが分かりました。
 中心市街地の人流分析については、群馬県の自動車保有率は全国1位である一方、高齢者の運転に対する課題もあり、その上で公共交通整備を行う必要がありました。そこで、鉄道・バス・自動車・徒歩、自転車に分けて、時間単位で中心市街地の行動調査を分析しました。
 中心市街地の空き家推計については、住民基本台帳、固定資産税台帳、水道使用量データを掛け合わせ、空き家の可能性が高い順にマッピングしました。
(活用したツール等:その他(産学の知見・ノウハウ))

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

コスト省略やリアルタイムでの実態把握が可能に

 赤城山の人流分析については、観光客にとって魅力的な観光資源・場所の特定やデータに基づく効果的な回遊策の検討、中心市街地の人流分析については、中心市街地の行動調査分析等に活用され、一連の過程を通じて政策立案者に意識の変革をもたらしています。
 中心市街地の空き家推計については、これまでの空き家・空き店舗調査は、年間を通して時間と労力と費用をかけて行っていました。しかし、データを活用することで、様々なコストを省略化し、且つリアルタイムで実態を把握できるメリットがあると分かりました。今後は遊休不動産の活用について政策を進めていきたいと思います。

交通情報

データ利活用(収集や分析)において工夫した点や難しかった点について教えてください。

個人情報も活用するため、ステークホルダー*2への意識醸成は欠かせない

 市が保有する行政データのうち個人情報を含むものの活用にあたっては、各自治体の個人情報保護条例に照らし、適切な手続きを経たうえで利用する必要があります。EBPMの必要性を正しく理解していただくことが重要ですので、引き続きステークホルダー全体への意識醸成を進めてまいります。

その政策によって、どのような効果が現れましたか?
また、今後どのような改善点や展望をお考えでしょうか?

各ステークホルダーが同じ目線で地域課題を認識

 データ分析を行うことで、新しい発見が次々に生まれています。同時に、EBPMの社会実装には複数の課題(意識の未醸成、ツール未整備、制度未確立、人材・ノウハウ不足、継続性・迅速性の確保等)が背景にあるということが分かりました。
 今後、異なるモデルケース設定による実証を通じて上記課題を解消し、政策立案に繋げていきたいと思います。
 また、前橋市では「めぶく。〜良いものが育つまち〜」というビジョンを掲げ、地域で共有していく方向性を定めています。EBPM推進を通じて、各ステークホルダーが同じ目線で地域課題を認識することが可能になると考えますので、産官学民連携をさらに強化し、「地域経営」を実現してきたいと思います。

脚注

 *1 EBPM:
 エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの頭文字を取った言葉。証拠に基づく政策立案という意。

 *2 ステークホルダー:
 企業や行政の活動に関わる顧客や株主、従業員、地域住民、官公庁などの利害関係者のこと。

参考サイト

サイトマップ
ページ上部へ アンカーのアイコン画像