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福岡市地域包括ケア情報プラットフォーム

福岡県 福岡市 保健福祉局 総務企画部 政策推進課 政策推進係(ICT・AI等担当)

福岡県福岡市 統計局長賞 健康・福祉 公的統計データ

「福岡市地域包括ケア情報プラットフォーム」サムネイル画像

概要

 地域包括ケアシステムの早期確立に向け、保健・医療・介護等に関するデータを一元的に集約・管理・活用するための情報通信基盤「地域包括ケア情報プラットフォーム」を構築し、「地域ニーズの見える化」や「医療介護における多主体間の連携」などに取り組んでいます。このプラットフォームは4つのシステムで構成されています。

導入費・運用費

導入費 約89,500千円
運用費 約36,500千円

受賞

  • 「第3回 地方公共団体における統計利活用表彰 統計局長賞」(2018)
  • 「ICT地域活性化大賞 奨励賞」(2016)

取組の流れ

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    高齢化が進む中での「地域包括ケアシステム」の早期構築

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    ビッグデータとICTの活用によるEBPM*1の推進

  • PPDAC-dataアイコン画像

    230種29億件をこえる膨大なビッグデータ

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    住民一人一人の人生(ライフログ)に基づく分析

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    地域特性に合わせた政策策定とAIを用いた未来予測

ヒアリング・ここが知りたい!

取組のきっかけを教えてください。

科学的エビデンスに基づく施策立案に向けて

 急速な高齢化が進む中、各自治体は「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。在宅高齢者を支える家族や医療・介護関係者の負担軽減や、在宅生活で必要となるサービスや資源の効率的な拡充、また健康寿命の延伸に向けた効果的な保健予防施策に取り組むため、ビッグデータとICTを活用した情報通信基盤(プラットフォーム)の整備を行い、職員自らがデータ分析可能な環境を整えることでエビデンスに基づく施策立案を目指しました。

どのような計画を立てましたか?

利用者とともに成長するシステムへ

 初年度(平成27年)はコアシステムの開発を行い、次年度以降は庁内各課や関係機関と協力しながら試験運用を進め、利用者のフィードバックを受けながら機能を拡充していきました。現在は利用者向けの研修会や説明会を開催し、人材の育成やITスキルの向上を図るなど、本格的なシステムの定着・活用に向けた取組を進めています。

システム開発へのロードマップ
システム開発へのロードマップ

どのようにしてデータを収集しましたか?

230種29億件超のデータを保有

 福岡市の持つデータに加え、関連するデータを外部からいただいて集約しています。メインは住民情報で、それに加えて国民健康保険、後期高齢者医療制度の加入者情報、診療報酬データ、健診結果、介護保険被保険者情報などを収集・蓄積しています。特徴的なのは、医療や健診、介護に関わる情報を個人(住民情報)に紐づけて管理している点です。平成31年3月現在230種29億件を超えるデータを保有しており、最新のデータが毎月追加更新されています。

どのような分析を行いましたか?

ライフログに基づく分析を実現

 様々な情報が個人にリレーションされることによって、どのような環境に生まれ、どのような医療や介護サービスを受けて、どんな死因で亡くなられたのか。人の一生、いわゆるライフログに基づく分析が可能となっています。医療と介護・予防との相関分析や将来推計に加え、年齢階級や男女別、小学校区や自治会単位といった多角的な視点による分析を実現しています。

工夫した点や難しかった点は?

データ収集に説明責任や理解を求められた

 国内に先行事例もなく、コンセプトの整理から要求仕様の策定まで一から始めなくてはいけなかったことは、苦労の一つですが、最も大変だったのは、データの収集でした。提供元に負担をかけないように断片的なデータを集めるということ。また、データの使途、目的まで丁寧に説明することが必要でしたし、個人情報を守るための高度なセキュリティ環境も用意して関係者に理解していただくことを丁寧にやっていきました。

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

地区特性に合った保健指導が可能に

 本格的な活用についてはまだまだこれからです。現在は職員向けに研修会を開催し、EBPMの重要性と分析システムの操作方法の習得等に力を入れるなど、本格的なシステムの定着・活用に向けた取組を進めています。現在の主な活用方法としては、町内会ごとの人口動態や健診の受診状況、疾患別患者数などが分析できるなど、より詳細な地域診断が可能となったことで、担当保健師による地域特性に合わせたきめ細やかな保健指導等を支援しています。

地図情報による分析
地図情報による分析

今後の展望をお聞かせください。

施策形成プロセスにおけるEBPMの推進

福岡市保健福祉局総務企画部政策推進課政策推進係(ICT・AI等担当)の担当者
福岡市保健福祉局総務企画部政策推進課政策推進係(ICT・AI等担当)の担当者

 将来的には、全ての施策形成プロセスにおいて、データ分析による診断(Check)と目標設定(Action)を行い、それを施策に反映させた上で(Plan)、事業を実施(Do)するなど、EBPMとCAPD*2サイクルの導入による効果的かつ効率的な保健福祉施策の実現を目指しています。さらに、地域特性に即した街づくり推進のため、子育て、教育、防災、観光といった他分野への展開も検討していきたいと考えています。

脚注

 *1 EBPM:
 エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの頭文字を取った言葉。証拠に基づく政策立案という意。
 *2 CAPD:
 CAPDサイクルとは最初に「評価・検証(Check)」の視点で「改善点(Action)」を理解し、「計画(Plan)」を立て、「実行(Do)」すること。

参考サイト

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