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公的統計とGISを用いた人口減少を前提とする都市経営

新潟県 新潟市 都市政策部 GISセンター

新潟県新潟市 特別賞 人口問題 公共インフラ・まちづくり 公的統計データ 行政データ

「行政サービスの量を定量的に測定」サムネイル画像

概要

 公的統計とGIS*1を用いて行政サービスの現状や将来を定量的に評価しています。2009年に試行的作業報告書として「人口減少社会が新潟市へ与える影響とアセットマネジメント」を作成しました。地域間や世代間の公平性を視点とする「選択と集中」による合理的施設配置を明らかにしました。

導入費・運用費

導入費 −
運用費 −

受賞

  • 「第3回 地方公共団体における統計利活用表彰 特別賞」(2018)

取組の流れ

  • PPDAC-problemアイコン画像

    市町村合併に伴って公共施設増加

  • PPDAC-planアイコン画像

    地域間や世代間の公平性を基準とした施設配置

  • PPDAC-dataアイコン画像

    国勢調査小地域別GISデータ

  • PPDAC-analysisアイコン画像

    公的統計とGISを用いて利用者目線で行政サービスを定量的評価

  • PPDAC-conclusionアイコン画像

    GISが政策判断の新たな基礎となった

ヒアリング・ここが知りたい!

取組のきっかけを教えてください。

市町村合併に伴って公共施設が増加

 2007年、新潟市は15の市町村が合併し政令市となりました。合併以前、公共施設は旧市町村それぞれの政策判断により整備されてきたため、多くの公共施設を有することとなりました。今後、維持管理費の増大や人口減少による遊休化施設の出現が予測されるため、公共施設の再配置計画策定が必要となっていました。

どのような計画を立てましたか?

地域間や世代間の公平性を基準とした施設配置

 現状分析から着手し、国勢調査とGISを用いて利用者目線で行政サービスを定量的に評価しました。その分析結果を踏まえて、地域間や世代間の公平性を基準とした施設配置を明らかにし、試行的作業報告書として「人口減少社会が新潟市へ与える影響とアセットマネジメント」を作成しました。

どのようにしてデータの収集を行いましたか?

e-Stat*2から国勢調査小地域別の数値情報と境域データを取得

 利用者目線で行政サービス量を評価するために人口分布を子細に切り分けたデータが必要でした。そこで、総務省統計局の公開データ(e-Stat)から国勢調査の小地域別数値情報と境域データをダウンロードし、GISを用いて現状分析を行いました。

人口と施設のサービス量を空間的に結びつけた図
人口と施設のサービス量を空間的に結びつけた図

どのようにしてデータの分析を行いましたか?

人口と施設のサービス量をGISで結びつけた

 小地域と公共施設を利用距離により空間的に結びつけて行政サービスを定量的に求めました。これによって利用者目線で分析した行政サービス量の遍在性を明らかにできました。さらに今後50年間の需給の変容シミュレーションを実施し、長期的視点に立った政策効果について検証しました。

行政サービス量を定量的に測定
行政サービス量を定量的に測定

工夫した点や難しかった点は?

データ量が膨大でPCの演算限界を超えてしまった

 2011年以降、GISセンターでは人口減少を前提とした都市経営を主題として公的統計、行政情報、民間ビッグデータなどを利活用するようになりました。これらの異種データをGISで連結させるとデータ量は膨大となりPCの演算限界を超えてしまいます。ハードウェアの整備には予算制約があるので、PCの負担を軽くするためには、人が作業工程内に介在するような原始的労働集約型作業を行っています。

結果としてどのような政策に結びつきましたか?

施設配置についての新たな政策判断資料

 これまで供給者側からの目線で、コミュニティ系施設の整備評価を「中学校区に1ヶ所あれば妥当」としていましたが、国勢調査とGISを用いる事により、利用者からの目線による行政サービスの定量的評価が可能となり、政策判断の新たな基礎資料を得ることができました。
 その他にも行政分野を問わずに公的統計とGISを活用し、立地適正化計画の策定や潜在的待機児童の検出など成果を得ています。また、その間の作業を通して技術開発が進み、副産物として特許権の取得につながりました。

今後の展望をお聞かせください。

GISセンターを設置へ

新潟県新潟市都市政策部GISセンターの担当者
新潟県新潟市都市政策部GISセンターの担当者

 人口減少と公共施設適正配置を主題として公的統計とGISを用いた試行的作業が組織内外で一定の評価を得て2011年にGISセンターが設置されました。人口減少が都市へ与える影響は未知のことが多くあり、その検出のために公的統計や行政情報などの異種データを連結させ将来を予見することが必要です。今後も潜在的地域課題を明らかにすることにより、現実的解決手段について提示する作業を実施していくこととしています。

脚注

 *1 GIS:
 Geographic Information System の略称。日本語では「地理情報システム」と訳されている。地理情報をコンピューターの地図上に可視化して、情報の関係性やパターン、傾向を示した。
 *2 e-Stat:
 政府統計の総合窓口(e-Stat)は各府省等が公表する統計データを一つにまとめ、統計データを検索したり、地図上に表示できるなど、統計を利用する上で、たくさんの便利な機能を備えた政府統計のポータルサイト。

参考サイト

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