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経済波及効果ってなに?

PEARSON CAFE

ほう!ここも外国人客が増えているからね。

ほら、訪日観光客用和食ブッフェの試食が半額でしょ。

すし、てんぷらちゃわんむし

これも東京オリンピックに向けての経済波及効果だね

オリンピックの経済波及効果?

東京オリンピックで訪日観光客が増えるとどうなる?

そうか! 飲食が増えるからピアソンカフェの売上も増える。風が吹けば、桶屋が儲かるってことね。

わお!日銀によると東京オリンピックの経済効果は累積で最大30兆円ですって!

すごい額だね!ある出来事が起ることで、国や地域に経済的なプラスがどのくらいあるかをシミュレートして、金額で示したものが経済効果だ。

経済効果は、どうやって算出するの?

これ、美味しい!

うん、うまいね

算出する際の基礎となるのが経済波及効果の考え方だ。

ある産業に新たな需要が生じ、その需要に対応する生産活動が拡大すると、原材料や資材などの取引や消費活動を通じ、他の産業に次々と、水面に投げた石が波紋を起こすように多方面へ影響を及ぼします。この過程のことを経済波及効果といいます。

訪日外国人の増加

建設

設備

資材

運送

通訳

備品

人材

材料

名物

食材

交通

宿泊

土産

飲食

情報

波及する取引先のデータを全部足すの?

そうだけど、個々の取引先のデータをいちいち扱うのは大変だ。ぼうちゃんは、産業連関表って見た事あるかな?

産業連関表??

各産業は相互に、あるいは家計と密接に結びついて、互いに影響を及ぼし合いながら営まれています。産業連関表とは、こうした各産業間、及び産業と最終消費者との間のモノやサービスの取引状況を一つの表にまとめたものです。現在、世界70カ国以上の政府が産業連関表を使って経済分析・経済予測・経済計画をしているといわれています。

なるほど、産業全体のデータから具体的な数字を出すのね。こんなこと、誰が考えたのかしら?

あの有名なレオンチェフ博士だよ!ね、平さん!ところで味はどうでした?

おっ!大くんの登場だ。

美味だよ

ワリシー・レオンチェフ

産業連関分析

ワシリー・レオンチェフ(1905-1999)

ロシア生まれのアメリカ人。産業連関分析の創始者であり、1936年に産業連関表を考案。産業連関分析による経済予測などについて、精度の高さと有用性が認められ、広く世界で使われるようになり、1973年ノーベル経済学賞受賞。産業連関表により大量のデータを系統的に整理することができるので、外国貿易の分析にも適用され、公害や環境汚染問題の解明にも適用が試みられている。

産業連関表は、経済バランスが取れている状態を前提として、考えられたんだ。

1 経済バランス  経済の大原則は、需要と供給が均衡していること。

総需要=総供給

2 総需要=中間需要+最終需要

3 総供給=生産+移輸入

以上から、経済のバランス式は以下になる。

4 バランス式

中間需要+最終需要=生産+移輸入

5 生産=中間需要+最終需要ー移輸入

中間需要は産業間のやり取り。最終需要は消費者。

生産は地域内と国内だけ。移輸入は国外と圏外。

話を簡単にするために、2つの産業しかない国の産業連関表があるとしよう。

産業1が、産業1、産業2、最終消費者にそれぞれ売る額、及びその生産額が、 Y11,Y12, f1, x1 だ。

産業2が、産業1、産業2、最終消費者にそれぞれ売る額、及びその生産額が、 Y21,Y22, f2, x2 ね。。

このとき、販路 からみた生産構造は、x1 = Y11 + Y12 + f1x2 = Y21 + Y22 + f2

レオンチェフは、ここで、生産量が2倍になれば、投入の原材量も2倍になるという常識的に自然と考えられる比例性の仮定を立てたんだ。

比例性の仮定

この仮定があると

Yijは、xjに比例するということになり、この比例係数を投入係数AijとするとYij = Aij ・ xj投入係数行列をAとすると、中間需要部分は、行列Axで表すことができるんだ。

このことは問題を非常に簡単化し、総合的な生産量を求めることを可能にした

1産業連関式(関連表の行をみる) x1 = Y11 + Y12 + f1 (産業1の販路構成) x2 = Y21 + Y22 + f2 (産業2の販路構成)2投入係数の仮定 Y11 = A11 x1 , Y12 = A12 x2 Y21 = A21 x1 , Y22 = A22 x23産業連関表の行列表現 産業iの中間需要部=aix ai=(Ai1,Ai2) xi = aix + fi (産業iの販路の行列表現) x = Ax + f (中間需要が生産額で表される)

生産xを最終需要fから計算することが可能になったのね。

4計算を可能にした レオンチェフの方程式x - Ax = f(I - A)x = f x = (I - A)-1 f

このレオンチェフの方程式がレオンチェフの功績なんだ。なぜかというと、この方程式は非常に重要な意味をもっているからなんだ。

この方程式は

(I - A)-1 = I + A + A2+ A3 +…と表せるので、x = f + Af + A2 f + A3 f + …となり、これは、最終需要fと最終需要fが発生させた中間需要の効果をすべて足し合わせたものが総生産額 x を表していることになるからなんだ。

Q最終需要x = (I - A)-1 f の時に最終需要の変化 [delta]f から生産額の変化(経済効果)[delta]x を求めたい

で、経済効果はどうやってわかるの?

レオンチェフは各産業の最終需要が発生したときに、各産業がお互い複雑に入り組んだ関係にあることを考慮に入れ、その総合的な生産量を求めることに成功したんだ。

A 最終需要fが変化してf + [delta]f になり経済バランスがとれると(x +[delta]x) = (I - A)-1 (f + [delta]f )これからx = (I - A)-1 f を引けば[delta]x = (I - A)-1 [delta]f

比例性と変化の前後ともバランスが取れた状態が続くことを仮定するだけで、最終需要の変化から経済効果が算出できるのね。

新たな需要は全て生産額に関係するからね。

だから、産業連関表の精度も要求される。

面白そうだから経済予測しててみたいけど、産業連関表は総務省にあるのかな?

もちろんあるよ!

日本は産業連関大国といっても良いほど恵まれた状況で、中央省庁だけでなく各自治体が実に多くの産業連関表を作成しているよ。

地域活性化に経済予測は必要よね。

なんで、今まで知らなかったのかな

消費者だからかな。

昭和  年から5年に一度、更新しているよ。

ある!ある!

産業連関表は、案外知られていないようだ。みんなもこの機会に産業連関表を使ってみよう!

さて、試食アンケートに答えて、部屋にもどろう!

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