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相手を理解するためにデジタルデータを解析する

  • データアナリティクスでは、データ解析やデータサイエンスを目的とするのでは無く、ビジネスや行政の品質の向上、企業の利益の向上などの成果を出すことが重要です。その成果を出すためには、そもそもの成果を定義できる人が解析をする事が大事になり、そのために、ビジネスの担当者、行政の担当者、顧客や市民と対話をとおしてコミュニケーションする能力が重要になります。デジタルデータを使って相手を理解するということを、大きなミッションとされている、アクセンチュア株式会社工藤 卓哉氏に伺いました。

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    どんな事業を行っているのでしょうか?

    アクセンチュア自体は、世界最大級の総合コンサルティングの会社として、55か国でビジネスを展開しています。企業や行政機関を対象に、経営課題の解決、新規ビジネスの立ち上げ、オペレーションの支援など幅広く事業を展開しています。とりわけ近年は、いわゆるデジタル化社会への対応が、企業にとっても行政にとっても喫緊のテーマとなっており、そのご支援をする組織を数年前にいくつか立ち上げました。私が日本で統括を務めるアクセンチュア・アナリティクスもその一つです。

    例えば、昔であれば商店街の方と対話をして物を買い、上顧客のお客さんはひいきをして、といったビジネスが成り立っていました。デジタル化された社会の中では、対象とするお客様の数や接点そのものは増える一方、一人ひとりの顔が見えにくくなっています。にもかかわらず、お客様は個別にカスタマイズされたサービスや体験を求められるわけです。そこで、我々アナリティクスグループには、「いかにして、マスに向けてカスタマイズされた丁寧なサービスを実現させるか」といったテーマが命題として課されるわけです。

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    どんなデータを収集されていますか?

    どんなデータを収集するかというのは、裏を返せば、どんなデータを取ってくる機械が実現されているかということになります。専門用語でそれはデバイスという通信機能を持った半導体ですが、たとえばスマホからもデータを収集していますし、人によって直接コンピューターに入れている可能性もあります。いずれにしてもデータは何らかの機械から収拾されていることになります。データを収集する機械はすごく多様化しているのです。

    我々の部隊は、旧来型の企業内にある構造化されたデータだけでなく、こうした社内外の様々なデバイスを通じて収集されるデータも対象にしています。

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    データをどのように分析されていますか?

    統計解析というのは、「傾向」を見る科学と言われていますが、要約すると、解析というのはデータを分かりやすく解釈できるレベルに落とすということになります。代表的な手法には最小二乗法を使った回帰分析や、その拡張版である分散分析等、いろいろなものがありますが、基本概念としては、人間が理解できない多変量、多数の次元のデータセットを分かりやすく「傾向」として一般的にして見せるというのが(一般化線形モデルの)解析手法になります。

    もう一つ、機械学習という手法があります。この手法では、例えばアクセンチュアの社員の「傾向」を見たい場合に、その社員データをまとめて放り込むと簡単にクラスター(似たような集団分け)を作ってくれます。

    機械学習の手法もいろいろあって、最近ではディープラーニングというのが有名です。これは、人間の脳の解釈に似た解析をしてくれるのです。人間は相手を区別する時に、ただの見た目だけでは判断できないのです。僕も久しぶりに会った人や、Facebookだけでつながった人は、初対面では絶対間違えます。でも人間は、二回目以降の出会いから学習をして、声や癖、身長と様々な外見を覚えますよね。ディープラーニングも同じやり方をしていて、繰り返して学習を行うのです。これは今までのアルゴリズムにない新しいやり方で、コンピューティングパワーが上がったことで、何万回も繰り返し学習ができます。その結果思考をしながら学習し、答えを出すというのがディープラーニングです。今までの一般化線形モデルなどの統計の解析モデルというのは、実はモデリングという作業があり、人間が仮説を立てることが必要でした。しかし、ディープラーニングが画期的なのは、今まで人間が仮説を持って繰り返しコード化していったモデリングのプロセスを、簡単に言うと自動的にやってくれるのです。

    アルゴリズム自体をプログラムする部分では人間が必要ですが、モデリングをするデータサイエンティストはいらなくなっているのです。人工知能が未来の職業を無くすと言われていますが、今やデータサイエンスの世界でさえ、それが起こり始めている。というのがすごく面白いと思います。

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    今後のビジネスでデータサイエンスは重要になってくるか?

    これはもう言わずもがな重要になります。

    ただ、データ解析やデータサイエンスなどの手段が重要なわけではなく、ビジネスとか行政の品質の向上や、企業の利益の向上などの成果が重要なのです。アウトカム(成果)を出すために何が必要かと言った時にデータがないとダメですが、データだけあってもダメなのです。膨大なデータだけあってもデータを解釈しないといけません。つまり、データアナリティクスが必要になるというのが、今後データサイエンティストが重要になる最大の理由です。

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    分析に対して必要と考える人材像は?

    博士号を持っていても、うまく分析できない人は、たくさんいますが、前提として博士号、もしくは適した学位は持っている方が良いのです。ただ、だんだんわかってきたのは数学の学位だとかは最重要な条件ではなくて、最も重要な条件はとにかく課題を解決しようとするコミュニケーション能力の高さです。成果を出すっていう事にコミットする上で、「そのためになにをすべきか」ということをビジネスの担当者、行政の担当者、顧客や市民と対話ができないと、成果が何なのかと定義できないのです。成果を定義できない人が解析をしても何にも生まれないのです。

    あと、コンピューターサイエンスのような領域は必須のスキルかと思います。分析に関しては、数学も分かった方がいいです。ただ、数字の感覚は、(僕は)それが最重要ではないと言いたいです。重要ではありますが、それが最初に来るかと言われるとコミュニケーション能力の方が重要です。

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    統計学習者へのアドバイスは?

    統計学習者に対してのアドバイスとしては、日々アルゴリズムっていうのは進化していますから、とにかく前提を変えてみるという事を常にやらないとダメな領域なのではないかと思います。とにかく前提を疑い、今あるものを壊す姿勢を身につけることが大事です。今は、オープンソース(OSS)で、昔は10億円とかするような処理基盤が無料で使えたりしますから、トライアルで使って、失敗してもどんどん学ぶことができます。特に技術者の人には、オープンソース使いましょうっていうのはいいアドバイスかなって思います。

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