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5.高齢者の家計
交際費、保健医療への支出割合が高い高齢者世帯
二人以上の世帯の世帯主が高齢者の世帯のうち、その大半を占める無職世帯(以下「高齢無職世帯」といいます。)について、消費支出の費目別の構成比を二人以上の世帯の平均と比較すると、「保健医療」が1.39倍と最も高くなっており、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出割合が高いという特徴がうかがえます。次いで「光熱・水道」の1.14倍、「住居」の1.11倍、「家具・家事用品」の1.11倍の順で高くなっています。
「その他の消費支出」の内訳をみると、「交際費※」が1.42倍と高くなっており、子や孫の世帯など世帯外への金品の贈与などが多くなっています。
一方、世帯主が65歳未満の勤労者世帯では、「教育」が1.58倍、「交通・通信」が1.15倍などとなっています。(図15、表4)
※)「家計調査」における交際費とは、世帯外の人への贈答用金品及び接待用支出並びに職場、地域などにおける諸会費及び負担費。なお、「世帯」とは、住居及び家計を共にしている人の集まりのこと。
健康に気を配り、旅行などの趣味を楽しむ高齢者
二人以上の世帯について、世帯主の年齢階級別に国内旅行や海外旅行などの「パック旅行費」の支出金額をみると、世帯主の年齢が60歳代の世帯で最も多くなっており、次いで70歳以上の世帯で多くなっています。最も多い60歳代の世帯の支出金額は、最も少ない30歳代の世帯と比べ2.4倍になっています。「園芸品・同用品」についても60歳代の世帯で最も多く、次いで70歳以上の世帯で多くなっています。
「スポーツクラブ使用料」やサプリメントなどの「健康保持用摂取品」についてみると、「スポーツクラブ使用料」では60歳代、「健康保持用摂取品」では70歳以上の世帯で最も多くなっています。(図16)
このように、運動やサプリメントなどにより健康管理に気を配りながら、旅行やガーデニングなどの趣味を楽しむ高齢者のすがたが見てとれます。
支出が収入を上回る高齢無職世帯
二人以上の高齢無職世帯について、平成25年の1世帯当たり平均1か月間の家計収支をみると、いわゆる税込収入である実収入は、217,412円となっています。内訳をみると、公的年金などの社会保障給付が190,813円と実収入の9割近くを占めており、そのほかに家賃収入や仕送り金の受取などが含まれます。また、実収入から税金や社会保険料などの非消費支出(30,314円)を差し引いた可処分所得(手取り収入)は、187,098円となっています。
一方、消費支出は246,085円と、可処分所得よりも毎月58,986円多くなっています。この差額分は金融資産の取崩しなどで賄われています。(図17)
◆「家計調査」の詳しい結果は、こちら(http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm)を御覧ください。
高齢者世帯でも増加するネットショッピングの利用
総世帯のうち世帯主が高齢者の世帯について、1世帯当たり1か月間のネットショッピングでの支出総額の推移をみると、平成25年は2,065円となり、14年からの11年間で4.3倍に増加しています。また、ネットショッピングを利用した世帯割合の推移をみると、平成25年は9.9%となり、14年からの11年間で5.2倍に増加しています。若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、高齢者でも利用が増えていることがうかがえます。(図18)
◆「家計消費状況調査」の詳しい結果は、こちら(http://www.stat.go.jp/data/joukyou/index.htm)を御覧ください。